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蝶カッコいいパリス様VSクスクータ

周りの植物の元気がない。

パリスたちはなんとなく周囲の植物が枯れ気味なのに気が付いていた。植物が弱る要因はいくつもある。

ぶっちゃけパリスたちなどの虫による食害だってその要因の一つだ。

しかし食害にしては葉や根が齧られた様子はない。


ティケなんかはもうそろそろ限界だ。

「く…らら…そ~。く、らら? そぉ……。」


偏食家の蝶の中でも偏食家のアズールバタフライ(幼虫)の中でも偏食家なティケは最近クララソウが見当たらなくなってから死にそうだ。

前にゲニンジンを食ってから何も食べてない。



そんななか遂にパリスたちの前に再びクララソウが数株生えているのを発見した。

「おいっ、ティケッ。クララソウだぞ。クララソウ。」

「…く……らら…そう?………くららそうっ。くららそうっ。」

クララソウを発見してヤバいぐらいテンションが上がったティケと、

その様子を見てちょっとテンションが上がったパリスだったが、

クララソウには先客がいた。

一株のクララソウが見る見るうちに枯れていく。

「わたしの…くらら…そうが…」



クスクータ RANK D+ 植物族ヒルガオ系ネナシカズラ型モンスター


(途中の草が枯れてたのはコイツか…)

全体がラーメンの様な紐の黄色い蔓で本体は極めて小さい、ほぼ蔦で構成されたモンスターが、

幾つも蔦をクララソウに絡みつかせ、絡み付いたところから根を生やし養分を奪っていく。

もうすぐ今吸っているクララソウが枯れ切り次のクララソウへ向かうだろう。

ここのクララソウが全てからし尽されればティケは助からないかもしれない。

ゲニンジンの葉っぱを食べた時とクララソウを食べた時では回復力がかなり違う。

ティケ達アズールバタフライの幼虫がクララソウを好むのはそのことを本能的に理解しているからなのだろうとも

パリスは考えている。

こうなる前に少しでも食事の好き嫌いを改善できればよかったが、

今この状況でそれを言ってもしょうがない。

ここでクララソウを食べさせなければティケは恐らく…


そんなことは……





「させるわけねーだろーがっ!!」


ティケの王子様が再び助けてくれそうだ。












芋虫の体で出せる限界の速度でクスクータに向かう。

クスクータはしばらく2株目のクララソウから養分を奪っていたが、

蔦の先にパリスが当たったことでようやくパリスを確認した。


一斉に絡み付く根を中に収納した蔦を絡み付かせるが、パリスはそれを食い破りながら進む。

滋養強壮に優れた精力剤にも使われる成分を含んだクスクータの身体はパリスの力を高めるが、

それ以上に多くの蔦を更に絡めてパリスの動きを封じ込める。

動けなくなり蔦に覆われてどんどん狭まっていく視界の端に倒れそうな体でこちらにやってくるティケの姿が見えた。


いや、お前のその状態じゃ無理だろ…離れとけよ


そう言いたいが口もふさがれて声も出せない。


「つぎは…わたしのばん…だから」


何のことを言っているのかさっぱりパリスにはわからなかったが、このままではティケが此方に来ることぐらいは解かっていた。



クスクータも気づいたのかパリスに絡みついた蔦の何本かをティケに伸ばそうとしている。

確かにこれで拘束は弱まった。注意もそがれた。勝率は上がった。

虫1匹が囮になれば勝てるかもしれない。




―――――だがそれでいいのか?


「いいわけ…ないだろうがこの馬鹿野郎っ。」


一秒前の自分を心の中で殴り飛ばしながらパリスはその身体を回転させる。

ローリングキャベッジから奪った『回転』で、だ。


回転するパリスに一瞬だけ弱まった拘束を起点にしてクスクータの本体へと向かう。

クスクータは本体を中心に無数の蔦が伸びているという構造上、中心に近づけば近づくほどツタの密度が濃くなる。

それは蔦を足場にする者にとって利点にもなる半面欠点にもなる。

単純に攻撃の密度が上がるのだ。

しかしパリスは拘束せんと触れてくる幾つもの蔦の中で最も力が加わっていない部分を『蝶感覚』で察知し、

常に最善のルートを導き出しクスクータの本体に接近し回転の速度を殺さぬまま食い破る。


本体を食い破られ完全に弛緩した蔦から回転状態から止まることまで考えていなかったパリスは

蝶族驚異の平衡感覚と姿勢制御ももっても落下は避けられなかった。


(あっ、ヤベ、頭から落ちた)



そう思っていたパリスだったが、その頭部はぷにっとしたものに受け止められた。


「きゅー」


下敷きになったティケだった。

完全にHP残り1状態になったティケは気絶から回復後パリスにクララソウを食べさせてもらいご満悦だった。


スキル『滋養強壮』『ヒモ』『体温上昇』『免疫低下攻撃』を獲得した。

クスクータ

ネナシカズラのモンスター。

基本的に他の植物に憑りつく寄生植物。

蔦をゆがくと美味しいらしい。

土地によって周瑜風味だったり味噌風味だったり豚骨風味だったりするという話。

浜辺にいけばビーチクスクータという種がいる。コイツは塩味らしい。

後に爬虫類人の手により非モンスター化された植物ラーメンノキが作られた。


マルモリモール

クスクータを好む超デブなモグラ。そんなに丸くて穴には詰まらないのかという心配はあるだろうが、

安心して欲しい。大丈夫だ問題ない。よく詰まってる。

穴から出てきて食って太って穴に入れないということもよくある。

体重は見た目よりもかなり軽い。

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