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完結!他サイトで350万PV! 無能と蔑まれた能力値1の転生した元社畜のオッサンが、地球知識で爆鳴魔法を編み出し、常識を変える!  作者: だい


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第123話:愛する妹への別れと、バケモノたちの旅立ち

『嘘告のおかげで、最期に彼氏ができました。』夏休み明けに死ぬ予定の私と、嘘だったと泣き崩れる君~さよならのためのアオハルを、君と。

https://ncode.syosetu.com/n6784mp/


今までの作品と毛色が違うのですが、

魔法も無いチートも無い現実の高校生の切ない夏を書いてみました

作者初の恋愛ものです

良ければ読んでやってください

 ノキア王都。見慣れた屋敷の扉を開けると、柔らかい日差しが差し込むベッドの上で、愛する娘が静かに身を起こしていた。


「……お母さん。お兄ちゃん」

 少し痩せた頬に涙を伝わせながら、シーナは俺たちを見つめる。

 無事に目覚めてくれた。その事実だけで、胸の奥底から安堵の吐息が漏れ出した。俺とセリーナはベッドに駆け寄り、彼女の小さな体を壊れないようにそっと抱きしめる。


 だが、再会の喜びも束の間。

 俺の胸に顔を埋めながら、シーナは絞り出すような声でポツリと呟いた。

「……私が欲しかったのは、かたき討ちでも、敵の国の人達の命でもない。お兄ちゃんとお母さんだったのに……」


 その言葉を聞いて、俺の心臓がトクリと跳ねる。

 彼女が求めていたのは、狂おしく気持ちや肉体を求め合う『愛する男』の姿ではない。ただ純粋に、自分が傷ついた時に傍で手を握ってくれる『愛する家族のお兄ちゃん』だったのだ。

 たまたま血が繋がっていないから結婚もできると盛り上がっていたけれど、結局のところ、それはブラコンの延長線上の感情に過ぎなかったらしい。


 実のところ、俺自身もそのことには薄々気づいていた。

 かつて俺は「シーナが好きだし可愛いと思っている。でもそれは、今現在は『妹として』なんだ」と口にしたことがある。時間をかけて女として愛していこうと婚約した最大の理由は、ヴォルガン伯という貴族の立場上、爆鳴気を使いこなす彼女を他国や普通の貴族へ嫁に出すわけにはいかなかったからだ。


 だからこそ。

「……すまなかったね、シーナ」

 俺は彼女の背中を優しく撫でながら、静かに告げた。

「俺たちの婚約は、解消しよう」


 もし俺の生き方に疑問を持ち、普通の幸せを望むのであれば、シーナは俺と一緒にいても絶対に幸せにはなれない。俺は目的のためなら敵国を無慈悲に殲滅するような、狂った人間なのだから。

 もしこれが、ザラやセリーナ、レナだったら。俺と同じ方向を向いていないと知れば、深く絶望し、ひどくショックを受けたはずだ。なぜなら、彼女たちは『女として愛して、絶対に離したくない女たち』だからである。


 しかし、俺は今、ひどく安堵していた。

 シーナが、俺の残酷な生き方に疑問を持ってくれたことが、心底嬉しかったのだ。

 ああ、良かった。この子は、俺みたいなバケモノとは違う。誰かを慈しみ、愛する人にただ寄り添ってほしいと願える、優しい心を持ったままでいてくれた。

 それならきっと、真っ当で当たり前の幸せを掴むことができるだろう。


 幸いなことに、俺はすでに貴族の座から降りている。平民に戻った今の俺と貴族であるシーナの婚約破棄など、当たり前だ。彼女のこれからの立場や処遇については、侯爵や次期国王であるシャルにある『貸し』を使って、いくらでも安全な道を整えてやれる。


「……いつでも、お前が呼べば駆けつける。世界中どこにいても、必ず助けに来る」

 俺はシーナの体をそっと離し、彼女の真っ直ぐな目を見つめる。

「約束するよ、シーナ」

「……うん。大好き……お兄ちゃん」

 ポロポロと涙を溢れさせる彼女のおでこに、俺は一度だけ優しくキスをして、ベッドから立ち上がった。




 ---




 シーナの部屋を出て廊下を歩いていると、壁際で居心地悪そうに立っている人影を見つけた。

「よお、クロエ」

「……ケント、あのね」

 何かを言い淀む彼女に向けて、俺はあっさりと告げる。

「あ、側室の件はなしな! 俺、もう貴族じゃなくなったしな。後のことは親父がちゃんと後見してくれるから心配するな」

「あ、アンタねえ……! 私がどれだけ悩んで決心したと……」


 文句を言おうとするクロエの言葉を遮り、笑いかける。

「あと、早く誰かいい男を見つけて嫁に行けよ。お前はいい女で、すごく働き者だからな。俺みたいなろくでなしじゃなく、まともな奴とちゃんと幸せになって欲しいんだ」

「ケント……」

 その真っ直ぐな言葉に、クロエの瞳がじわりと潤む。

 いい雰囲気になりかけた、その時だった。


「はいはーい! 今更、余分な女を増やさないでくださいねー!」

 廊下の角から、レナがひょっこりと顔を出した。

「クロエちゃんも、あの真面目な文官さんが居るのに、うちのケント様にちょっかい出しちゃダメよ?」

「な、何言ってるの!? 彼とはまだ、何もないわよ!?」

 図星を突かれたのか、クロエは顔を真っ赤にして後ずさり――そのまま自らのドレスの裾を踏んづけて、派手にすっ転んだ。

 バサリとスカートが捲れ上がり、可愛らしい純白のパンツが丸見えになる。

「お、お嫁にいけない……」

 顔を覆って蹲る彼女を見て、俺たちは思わず吹き出してしまった。




 ---




 その後。

 応接室に集まった侯爵と、慌てて駆けつけてきたシャルに向けて、俺は明確な意志を伝えた。

「じゃあ、俺とセリーナ、ザラ、それにレナは、ノキアを出るよ」


 今回のシン帝国滅亡における、俺たちの戦果はあまりにも大きすぎた。

 他国から見れば、ノキア王国だけが『機嫌を損ねれば国を一つ消し飛ばす大量破壊兵器』を保有しているようなものだ。これから動き出すヴェレツケール連合の構想において、俺たちの存在は不必要かつ、過剰すぎる戦力になってしまう。

 事実、非公式ながらもノキアに対して『ケントたちを国外へ出してほしい』という打診がいくつか届いていたようだ。

 俺自身も、これ以上この国に迷惑をかけるつもりはない。ヴェレツケール連合の加盟国やアマテラスにも近づかず、完全に姿を消すつもりである。


「どこへ行くんだい、旦那?」

 ザラが楽しそうに大剣を肩に担ぎながら尋ねてくる。

「……実はさ、シンの奥地にあるキュリア山脈の辺りに、『龍』が棲んでいるって話を聞いたんだよ」

「龍!? 幻の獲物じゃないか!」

「どうせなら、みんなで龍狩りに行こうぜ」

「ふふっ、楽しそうねえ」

 俺の提案に、セリーナも目を輝かせた。


 そこへ、見送りのために部屋の入り口に立っていたシーナが、羨ましそうに唇を尖らせる。

「お母さん、いいなあ。私も『ドラゴンバスター』って呼ばれたい」

「ダメよ。そのうちお土産を持って帰ってくるから、大人しく待ってなさい。あなたの結婚式にはこっそり帰るから、早く素敵な相手を見つけなさいな」

「ちょっと、失恋と婚約解消をしたばかりの娘に言うセリフとしては酷くない!?」

 ぷんすかと怒るシーナの顔を見て、俺たちは声を出して笑い合った。


 こうして、四人の厄介なバケモノたちは、ノキア王国からひっそりと姿を消した。




 ---




 それから、半年後のこと。

 ノキア王都に、はるか遠くアマテラスを経由して、とんでもない量の『ドラゴンの素材』が送り届けられた。


 次期国王であるシャルは、その信じられないほど上質な素材を用いて、自身の戴冠式のための豪奢なマントを作り上げた。

 そして、晴れて国王となった彼の隣には、正妃として二人の女性が並び立っていた。

 一人は、大国ウルの皇女。

 そしてもう一人は、ノキアの貴族から迎え入れられた、美しく心優しい少女。


 彼女の名は、シーナ・ルミナス。

 王妃となる為に、侯爵の養女となって嫁いでいったのだ。

 バケモノと呼ばれた男が慈しみ、愛し、何よりもその幸せを願い続けた、たった一人の妹であった。


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さて、ヴェレツケール編いかがでしたか?

遂に、周りに未亡人か熟女しかいなくなった主人公(笑)

次回の舞台は、今までとはかなり違うので、一度完結とさせていただき、『転生したのに転移で地球に戻っちゃった?! しかも何故43歳?! 王国の魔法革命児 〜爆鳴の鬼と呼ばれた男Ⅱ』となります。よろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n9032mo/

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