第24話 ゾゾゾ……八鬼祭③
ゴーン……ゴーン……
再び、鐘の音が境内に響き渡る。
「始まるな」
アキラがぽつりとつぶやいた。
俺たちは顔を見合わせ、御社へと足を向ける。
御社前には、すでに三百人ほどの村人たちが集まっていた。
──うわっ、めっちゃ人いるじゃん。
この村、こんなに住人いたのかよ!?
御社の正面には、八つの家の象徴である仮面が描かれた旗が、風に揺れている。
その中央には、白装束をまとったツグミさんが立っていた。
まっすぐに伸びた背筋。朝日を受けて揺れる長い髪。
その佇まいは、まさに神聖そのものだった。
そして──
「これより、八鬼祭の儀を執り行います。
八家の者は、前へ」
八乙女家の当主が、甲高い声で告げる。
その合図とともに、家の者たちが動き出した。
一人ずつ、顔に陶器の面を装着し、列を成して前へと進んでいく。
俺も遅れを取らないよう、皆の動きを真似て列に加わった。
「……うわぁ、マジかよ……」
御社の正面には、簡素ながらも格式を感じさせる野外舞台が設えられていた。
その前には、深紅の絨毯が厳かに敷かれ、美しい刺繍の座布団がずらりと並んでいる。
係の者に促され、腰を下ろした瞬間──
ふわりと、松の木の清らかな香りが鼻先をかすめた。
それはまるで、儀式の始まりを告げる合図のようだった。
やがて、静寂の中で──
楽師たちが舞台へと登壇する。
しん……と空気が凍るような静けさの中、
ひときわ澄んだ笙の音が、ゆっくりと境内を満たしていった。




