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まぼろし使いの少年は今日もまた誰かを騙す  作者: ネム
第一章 ひびの入った仮面
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第六話 彼女は万能らしい

「よお、よく眠れたか?」

「あ、おはよう」


 朝起きて彼らの部屋に向かうと、アレックスさんは何のためらいもなく僕たちを部屋に迎え入れてくれた。

 部屋の奥を見れば荷物がまとめられていて、もうすでに出発する準備はできているようだ。


「あれ、パウロナさんとミュリエルさんは?」


 ソラが襲われないよう警戒していたのだけど、そもそも部屋の中に二人の気配がない。

 どこへ行ったのだろう。


「ん? そりゃあいつらなら別の部屋だ。当然、のことでもないんだったな、探索者は。けど俺らはよっぽど余裕がない時以外男女で部屋を分けてんだよ」


 ああ、それはそうだ。

 誰かと旅をしたことがないから忘れていたけれど、探索者には性別の違いを気にしないものだけじゃないと聞いたことがある。

 個人的な意見としては壁の外で活動する探索者が男女の違いを気にするのは非効率だと思うんだけど。

 でもここは街の中、野宿みたいな警戒しなきゃいけないわけじゃないんだから同じ部屋にする必要もないんだろう。


「なるほどね、まぁそれならそれでいいや。いつ頃出発するのか決まってるの?」

「いや、準備ができ次第ってだけだ、だから用があるんなら待てるぞ?」

「ううん、大丈夫。僕たちはいつでも行けるよ」


 最近僕を探す盗賊の仲間を街中で見かけることが増えていた。

 だから三人と会う前から移動するべきだとは思ってたんだよね。

 そもそも一人旅だから荷物自体もそんなに多くないし。

 自分たちのことだけなら逃げる時にひっつかんできた分で十分だ。

 

「ソラの荷物は全部その中に入ってるもんね」

「きゅ!」


 ソラはもう僕の背負う袋の中に入っていて、そこからソラの大切なものを色々と掲げている。

 今日は朝からこうして袋に入っているが、いつもこうという訳ではなく全てはソラの気分次第だ。


「きゅー、きゅー、きゅ!」

「今日はご機嫌だね、ソラ。良いことでもあったの?」

「キュ!」

 

 新たに綺麗な輝く石を掲げながら頷いている。

 どうやら良いことがあったらしい。


 なんてそんな風にソラを愛でていると、部屋の扉がガチャンと音をたてる。

 ゆっくりと開くその扉から入ってきたのは眠そうなミュリエルさんだった。


「ふわぁ、おはよー……あ、ロウル君、ソラクリア君。君たちもおはよー、早起きだねー」

「あれ、そんなに早起きかな?」


 少し前に七の鐘がなったので今は七時から八時の間くらい。

 壁の外に出る探索者は明るいうちに戻ってくるためにも早起きが基本だし、そうでなくともこの時間なら多くの人がすでに活動を始めている。


「うん、やっぱり早くない、というか少し遅いくらいじゃないかな?」

「そうだな、確かにそうなんだが」


 アレックスさんとミュリエルさんは顔を合わせて苦笑する。


「うちには一人寝起きが悪い奴がいるからな、感覚が狂ってたみたいだ」

「あははー、ロナも時間が決まってるときはすんなり起きてきてくれるんだけどねー。今日みたいに自由がきくときはどうしても、ねー」

「へー、ならさ、今のうちにパウロナさんについて教えてくれないかな?」


 人物の評価は自分以外からのものがあった方がいい。

 その場にいない人物についてなら遠慮も忖度も減るからなおよしだ。


「おう、いいぞ。ロナの人柄については、まぁなんとなくわかってんだろ。んであいつの使う魔術は火と水と土と光だ」

「なるほど、結構万能だね」


 四属性の魔術が使えるというのも珍しいけど、それでも魔術師が百人いたら一人はいる程度の珍しさだ。

 それよりも基本属性四つというのが珍しい。


 魔術には六つの基本属性と無数の派生属性、純粋な魔力である無属性に分かれている。

 また属性とは違うけれど、その種族や血統にしか扱えない魔術も存在している。


 基本属性というのは火、風、水、土、光、闇の六つ。

 そして派生属性というのは熱や嵐、氷に自然みたいな文字通り基本属性から派生した属性のことだ。


 そんな基本属性と派生属性の違いには、基本属性はその派生先の属性も扱えるということがある。

 水であれば氷の魔術も扱える、けど氷属性には水は扱えない、みたいな感じだ。


 とはいえ派生属性が劣化という訳ではない。

 魔術や儀式は代償が大きいほど効果が高くなる特徴を持っている。

 これもそれと同じで氷属性では水を操ることはできないが、その分氷を操ることであれば水属性より優れている。

 つまりパウロナさんのように火と水と土と光が使えるのなら、その派生属性も全部扱えることになる。

 それに派生属性より劣ると言っても、魔力を多く使用したり別の代償を用いたりすれば同じ威力だって出すことはできる。

 

 だから僕は万能と言ったんだ。



 ちなみに、派生属性の中には複数の属性を元とするものも多く存在する。

 なんなら派生属性をもとにして生まれた派生属性も存在する。

 その場合にはもとになった属性全てを扱えないと使えないんだけど、例え全部の属性が扱えたとしても、全ての派生属性が扱えるとは限らない。


 水属性でも氷を操れると言ったけど、その場合は一度魔力を氷属性のものへと変質させなければいけない。

 それは派生属性の派生属性でも同じだ。

 そして派生属性は数え切れないほど存在している。

 一体どの属性がどの派生属性のもとになっているのか分からないものも多い。

 だから全部の属性を扱えても全ての派生属性を扱えることにならないんだ。


 まあ元の属性が判明しているのも多いからやっぱり基礎属性の適性を持つなら扱える魔術は一気に増えるんだけどね。

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