↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【戦国時代 ー人の難 衆の狂ー】  作者: ヒデキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/148

【富子と義政1】

 日野富子は、八代将軍足利義政の正室である。父は内大臣日野政光、母は従三位苗子。兄は権大納言日野勝光。大叔母・日野重子は足利義教の室で、義政の母である。一四五五年八月二十七日、十六歳の富子は、兄と重子の奔走で、義政(二十歳)に嫁いだ。


 さて、問題は、当時から言われた「夫義政との不仲説」である。ここで例示すべきは、「義政の父義教が日野重子にとった対応」だろう。元来、父義教の正室は、重子の姉宗子(出家後、観智院)である。重子は妹、側室である。義教は日野家への当て付けと警戒か、正親町三条家や洞院家からも室を迎えた。あげく、一四三一年六月、正親町三条尹子(ただこ)を「上様」(正室を指す)と呼べと宣言した。これでは、日野姉妹は立つ瀬がない。

一四三四年二月九日、重子は義勝(義政の兄)を生んだ。歓喜した義教は伊勢神宮への参詣を延期した。しかし、十四日、京で東西六町・南北十四町の大火事が起きた。義教は、何を思ったか重子の兄・裏松義資の邸を訪れた人々を調べ、弾圧を始めた。二十二日、洞院家も所領を没収され、側室「西御方」(洞院家)は後日二条持通に与えられた。その際、彼女の兄が自害している。六月九日、裏松義資が“自邸で盗賊に殺害”された。

その後、義教は、義勝を尹子の猶子(簡単な養子)とし、重子以外の女性と多数の子をもうけた(義政の弟義視は、尹子に仕える女房・小宰相局が一四三九年生んだ。伊勢貞国邸で育った義政と違い、正親町三条実雅邸で育った。その関係で、“義視は政所執事・伊勢家と仲が悪い”。なお、小宰相局はすぐ亡くなった)。実は、義教の横死がなければ、重子の生んだ義勝や義政が将軍となれたかは、怪しかった。「不仲」とはこれをいう。


 義政は、「句が奇絶」と能阿弥が評し、銀閣寺を建立するような、温厚芸術肌の男性。富子は、七万貫(70億円)を蓄財し、諸大名・公家を統御するような、理知外向的な女性。二人の夫婦生活は三十五年に及んだ。その間、義政は、理詰めの富子に何度も家出し、また富子がいる館に戻った。晩年、銀閣寺に掛かりきりとなるが、富子は何度も大金を持って義政を訪ねた。都人は「不仲」と評すが、そうでもない。富子は容色に優れた美人で、義政と三男三女をもうけた(娘・光山聖俊は一四六二年生まれ。宝鑑寺住持。一五〇五年まで生きた)。これらを鑑みると、「富子と別れて隠居する」とわざわざ正月に小川御所を飛び出し、諸大名の参賀も受けなくなる大人げない義政は、結局、正室が好きなのだろう。

●富子登場前の子供:長女(一四五三年二月、母:五伊上、一色左馬頭娘)・次女(一四五四年七月、阿茶子、伊勢造宮娘)・三女(一四五五年一月、サンコ、大館兵庫頭妹)

注目すべきは、三女であろうか。母親が大館一族の娘なので、乳母今参局の一族である。

●富子登場後の子供:四女(一四五八年閏一月、赤松伊豆娘)

この四女は、赤松再興策の一環であろう。この年、長禄の変の恩賞で、赤松政則が富樫成春に代わって加賀北半国守護に就いている。富子登場後、十人子供が誕生する(男五人、女四人、不明一人)が、うち六名が富子の子なのだから、富子と義政は仲の良い夫婦であった。


やっと、日野富子登場です。

【富子と義政3】で、久々に足利尊氏が「九州」絡みで登場するので、せっかくですから。


特別企画!

【世界一分かりやすい東アジアの地政学 初級編】 

 【富子と義政3】で久々に登場する足利尊氏は、相変わらず、九州のことを気にしています。何故でしょうか。

「天の夢 地の道」を未読の人のために整理しましょう。

●足利尊氏の晩年、東アジアでは、「元朝→明朝」の動乱が起きようとしていた。

●尊氏は、京で中国式の儀式を実演してみせるほど、東アジアの情勢に敏感であった(【尊氏の舞台】)

●尊氏は、死の直前、もう起き上がれない状態になりながらも、九州の南朝勢力を討伐すると騒いでみせた。(もっとも、尊氏一流の腹芸で、取り敢えず騒いで見せているだけ。本当に九州遠征を行うとなると、準備に年単位の時間が掛かりますからね。取り敢えず、死の床で騒いで見せて、息子の義詮や細川頼之らに「えっ、、九州ってそんなに大事なんですか?」と印象付けたうえで、あの世に旅立ったのです→義詮が山名・大内を何とか幕府に復帰させ、九州への道を確保→細川頼之が主君足利義満・今川了俊らと、九州奪回)

なので、この辺の尊氏の行動は、日本の国土九州を護った救国的行動で、足利尊氏はもっと評価されないと、どう考えてもおかしいのです。


尊氏の頭脳を覗いてみましょう。

東アジアの流通路は、次の構成になっています。

「元朝(明朝)→高麗(朝鮮)→対馬→太宰府→京→東国

       →(台湾)→琉球→薩摩→→→     」

このうち、尊氏の生きた1350年代、

台湾の開発は手付かずで、琉球に統一勢力はないので、

「元朝→(台湾)→琉球→薩摩」について、防衛上の心配はありません。少なくとも、このルートで万以上の大軍が、ユーラシア大陸からやってくる可能性は極めて低いのです。

かくして、”日本を外国から護る征夷大将軍足利尊氏”が心配すべきは、「元朝→高麗→対馬→太宰府」ルートでした。


つまり、ユーラシア大陸から軍勢がやってくる場合、「朝鮮半島を経由する他ない」のが、”軍事的常識”で。その最重要拠点の太宰府がピンチになったから、尊氏は死に掛け状態で、大騒ぎしてみせた訳です。


以上が、

「日本側から見た、東アジアの地政学 初級編(日本の国土だけで考えた場合)」です。

(中級以上は、豊臣秀吉の登場となります)



では。次に、ユーラシア大陸側から見てみましょう。

明帝国・永楽帝の登場です。


永楽帝は「靖康の変」で即位した、明朝最盛期の皇帝です。

永楽帝の功績は、目立つ所で以下です。

①(建文帝を倒し)明の都を「南京→北京」に移した。

②ヴェトナムやモンゴルに何度も遠征し、領土を拡大した。

③鄭和の南海遠征を行った。

これらは、それぞれ、”明の内実”を物語っています。

①→明の本体は「華北平原」である。大事なことなので二度言いましょう。明は領土広大ですが、”本体は華北平原である”。つまり、現代でいう、北京・天津・南京・上海・寧波がある、この平原が、日本式にいえば「譜代」。

逆にいえば、現代でいう、広州とかは、「半外様」的な立地ということです(だから、清代初めに、三藩の乱とかが起きる)。

華北平原を中心に、明の地政学を考えた時、北京は、北に高地を持つ、”比較的、安全度の高い土地”です。かくして、新たな都となりました。

ですが、南京とは異なり、北京には、別な地政学的問題があります。

●高地であるモンゴル方面から軍勢がやってきたら、「高地の軍勢から逆さ落としを受ける立地である」(だから、北方のタタールに苦戦したり、ウイグルなどの異民族の動向に気を配らざるを得なくなるわけです)

●北東の、瀋陽・大連方面の防衛も意識しなければならない(つまり、朝鮮半島の付け根が混乱すると困る、訳です)

以上の「呪縛」は、近代史・現代史でも、続いています。

→かくして、朝鮮半島方面の流通路は、「本土防衛上、死活問題」なわけです

(豊臣秀吉は、これに目を付ける訳です。おっと、これ以上は中級編だった)


②③→そうなんです。「南は、基本的に陸路を使うしかない」。“敢えて、海路を使う場合は、乾坤一擲の大プロジェクトを立ち上げる、というくらいの準備が要る”わけです。

あるいは、南の海を使いたい場合、

“チャンパー(南ヴェトナム)・マジャパイト王国(インドネシア)などの、東南アジア有力国と、何らかの協調が不可欠”です。で、陸路の北ヴェトナムは、容易に屈する相手ではないから。

結局、東アジア的(東シナ海・南シナ海的)には。

●「寧波→厦門→広州→陸路:北ヴェトナム

          →海路:東南アジア諸国と協調ルート

    →(台湾:未開発)→使いにくいルート→琉球」

日本に至るには、

「明→太宰府」の直行ルートは、無理がありすぎて、使えないので、琉球経由の“遠回り”ルートしかなかった訳です。

→かくして、室町時代・戦国時代。日本の防衛上、このルートに問題はありませんでした。


中級編以降では、

「どこに軍勢を配置し、どのように展開されれば、東アジア(日本・朝鮮半島・華北平原)では効率的に用兵が可能であるか」を分析し、解説していくとしましょうか。

















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。