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ラッキーの死…!?

サンドビーを倒し、魔人との遭遇を経験した俺とラッキーは上に戻ることにした。


下る時には体力を消耗していなかったのでたいしたことがなかった螺旋階段も、登る時になると憂鬱になる。ちょうどこの螺旋階段は真ん中が空洞になっている。


俺はラッキーを抱えるとサクッと上まで飛んでしまう。

「マスターのこの魔法はどうやってるですか?」


ラッキーはこの魔法が不思議なようで聞いてくる。

確かにラッキーはいつも戦闘の時に魔法で飛んでいるのではなく、相手を踏み台にして攻撃をしていた。


「これはね。風の魔法を操って自分のまわりの風を押し出して飛んでるんだよ。俺も説明しにくいんだけどね。」


「そうなんですね。ラッキーもやってみるです。」

そう言うとラッキーは俺の腕の中から急降下していく。


えっ!?

いやこの高さは死んじゃうでしょ。


急いで方向転換し戻ろうとするが、とっさのことで上手くいかない。

あっ危ない!


ラッキーの姿がスローモーションで大きく広がっていく。

ダメだラッキー!


オイッ!死ぬな!!

くそ!今から行っても間に合わないのはわかっている。

でも、ここまで一緒に戦ってきたラッキーが高所転落で死んだなんて笑い話にもならない。


ラッキーは大きく広がり、そしてまた少しずつもとの大きさに…


ビューン!!!


もの凄いスピードで俺の横を何かが通り過ぎていった。

なんだ!?


そんなことよりもラッキーを助けなければ。

下を見るとラッキーがいない。


…嘘だろ。

ラッキーは跡形もなく消えてしまっている。

こんな理由で…。

なんで俺はあの時にラッキーに地面についてから教えなかったんだ。


俺の後悔をよそに横から

「マスター何か悲しいんですか?僕も悲しいです。」


「ラッキーが…」


「ラッキーが?」


横を見ると空を飛ぶスライムがいた。


…ん?


「…さっき下に落下して潰れなかった?」


「すごいスピードで身体が平らになったです。」


ラッキーはにこやかに言っている。

つまり、俺が見たのは落下して潰れたのかと思ったらば、高速移動に身体が耐えられなくて伸びたってこと…?


なんだよ。あのスピード規格外すぎんだろ。

スライムって飛べるの?

いろいろ頭が痛くなってきたが、俺の常識をもって考えたらば負けだ。


「ラッキー無事でよかったよ。潰れたのかと思ってさ。」


「大丈夫です。ラッキーは強くなるです。」


そういうとラッキーはふわふわ浮きながら、

「マスター上に行くです。」

と俺と一緒にとびあがった。

本当に規格外のスライムだ。





上に行くとオークたちが装備を身につけてちょうど螺旋階段を降りようとしていた。


「おっ?どうした?」


「いや、マスターがお戻りにならないと地下からものすごい音が聞こえたので、これはもしかしてと思いまして。」


どうやら戦闘をしていたのが上まで響いたようだ。俺は今倒してきたのを教えると、

「魔人…」

「サンドビーの女王蜂が!?」


それぞれみんな驚愕の表情を浮かべている。

その中で一人が、

「ラッキーさんはなんで空を飛んでいらっしゃるのですか?」


と聞いて来た。

「…スライムだからだな。」


「いやスライムは空を飛ばないと…。」


「…」

それ以上は誰もツッコむのをやめた。

規格外を常識ではかろうとしても無駄なのだ。


そこへ妖精の魔王が飛んできた。

「あんたも規格外なら連れてる従魔も規格外なのね。」


「いや、魔王ほどではないと思うぞ。」


それからは、もう雑務ととりあえず終わらせる。

サンドビーの子供に言葉や常識を教えなんだかんだやっているうちに3日が過ぎた。

よし、コボルトのところに戻ろう。


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