戦いの果てに…そして新たなる謎と出会う。
鉄の重い扉をあけ中に入るとそこには1匹のサンドビーがいた。
ただ他のサンドビーと違うのは、このサンドビーも2足で立っていた。
「よく来たね。」
サンドビーはまっすぐこっちを見ながら話しかけてくる。
「お前がここの女王蜂か?」
「そうだよ。近隣の街を襲った主犯格さ。」
サンドビーは滑らかに言葉を離す。知能が低いと言われている昆虫の魔物とは思えないようだ。
「なんであんなひどいことをしたんだ!」
「なんで?子供には親を選ぶことなんてできないんだよ。質問があるならば私を殺してからにしな!」
そういうと女王蜂は砂の嵐を巻き起こし一瞬視界を完全に失う。
横でラッキーがふっ飛ばされていく。
こんな目隠し効くか!
砂嵐をかき消すように風魔法で打ち消すと女王蜂の姿がいない。
サンドビーの独特の羽音も聞こえなかった。
どこにいる?
空からラッキーが落ちてくる。
俺はラッキーを抱えたまま走る。
ラッキーの状態は麻痺になっていた。
今の一瞬の間にラッキーが戦闘不能にさせられてしまった。
今までほぼ無敵だったラッキーが麻痺にかかるなんて…。
敵は今までのように甘くはないようだ。
ラッキーに回復薬を飲ませて身体にもかけて壁際に置く。
女王蜂は無音で空中から毒液を飛ばしてきた。
ラッキーから離れてこっちに注意を引かなければ!
毒液を避けながら、蜂の弱点を探す。
まずはあの羽をどうにかするしかない。
この閉鎖された部屋で特大魔法はもろ刃の剣になってしまう。
空高く飛びあがり、空気の足場を作って女王蜂に切りかかる。
でも、さすがに空中戦では分が悪かった。
無音の羽音に、女王蜂の高速移動。
こちらかの攻撃は当たらないのに向こうからの攻撃は俺のすぐ横に通過する。
ビックビーもそうだったがこの女王蜂も人の背後に回るのが非常に上手いのだ。
向こうの攻撃も、こちらの攻撃も1発当たれば終わってしまうだけの威力がある。
緊張感の続く戦いの中先に奥の手をだしてきたのは向こうだった。
「ここまで私と戦えたのはお前が初めてだったよ。まさか人間が空まで飛べるようになるとはね。長生きはするもんだよ。ヒヒヒ…でもそれもこれで終わりだね。」
女王蜂が今までまいていた毒液が毒の霧となって襲ってくる。
うっ!!呼吸ができない。
少し吸い込んだだけで身体が痺れ、吐き気とめまいがしてくる。
閉鎖された部屋の中では逃げ場がない。
何かないか。
当たりを見渡しても起死回生になりそうなものはない。
その間にも女王蜂本体からの執拗な攻撃は続く。
毒液が身体にかかり防具が溶ける。
このまま毒を放置したらば死ぬ。
毒を消すか?いや今回復薬を飲んでも毒の量が多すぎる。
ならば毒を薄める?
―――もっといい方法がある。
俺は魔力を集中させ部屋全体から中心に風の壁で毒の霧を中心に集めてくる。
空気を圧縮して毒霧玉を作った。
部屋の中の毒の霧が薄まった。
急いで呼吸をして回復薬を飲む。
女王蜂は何が起こったのかわかっていなかったが、一瞬困惑の表情を浮かべた。でもそれは俺が切りかかっていくのをと同時に一瞬の差で逃げられる。
「ヒヒヒ。今のは危なかったよ。でも残念だけど今のが最後のチャンスだね。お前はもうここで終わりだね。」
女王蜂は再度、毒液をまき散らしながら逃げ回る。
時間がたてばたつほど向こうが有利になっていってしまう。
何か決定打が欲しい。
捨て身の火焔竜巻でも放つか?
その時ラッキーが女王蜂の隙をつき体当たりで体制を崩す。
ラッキーは無残な格好で落下していく。
ラッキーの身体にも毒が回っているのだろう。
上手く着地ができていない。
ただ、俺はその一瞬を見逃さなかった。
ラッキーが作ってくれたこの好機を逃すわけにはいかない。
女王蜂の首を狙って俺の魔剣が振り下ろされる。
が…ギリギリのところでかわされる。女王蜂はニヤニヤとこちらを見ながら笑っている。
それでも負けるわけにはいかなかった。
何とか体制を崩しながら女王蜂の羽をなんとかつかみ1枚むしりとることに成功した。
今まで攻撃を受けたことがなかったのだろう。
急に女王蜂から余裕の表情が消える。
「よっよくも…私の美しい羽をとったね!絶対に許さないね!!死ね小僧!!」
冷静さを失った女王蜂の攻撃は急に単調になる。
残った羽は俺がキレイに切り落とし、落下した女王蜂との肉弾戦になった。
空の王者だった女王蜂はそれが地面に落ちたとしても強かった。
でもそれは一般の魔物と比べてという話しだ。
最後は女王蜂は潔く負けを認めた。
地に落ち命が風前の灯となった女王蜂に
「何かいい残すことはあるか?」
と聞くと、
「あんたを親だと思っている私の子供たちを幸せにしてやってくれ。私は魔人なんかを親だと思ったから強くはなれたがこんなことになっちまった。頼むよ。子供たちを幸せに…。子供は親を選べないんだから。」
そう言い残すと女王蜂は息を引き取った。
ここでも魔人が絡んでいるらしい。魔人はここでいったい何をしようとしていたのだろうか?
これだけ目立つ行動をすれば魔王なりに目をつけられるはずだ。
それでもかまわないのか、もしくは目をつけられるのが目的か。
俺はラッキーの元に行き回復薬を飲ませる。
「マスターありがとうです。上には上がいるですね。僕ももっと強くなるために頑張るです。」
「そうだね。俺も頑張るよ。」
そう言って俺も回復薬を飲む。
「それじゃあ上に戻ろうか。」
そう言って俺がラッキーから顔をあげると部屋の入口に誰かいる。
その男はゆっくりと拍手をしながら、
「まさか僕の作った魔物に勝ってしまうとは驚いたよ。こんなところで計画がとん挫したというのに実に気持ちがいい。」
男からは怖い感じが一切ない。でもだからこそ不気味な威圧感があった。
「マスターあの男は前に会った魔人と同じ魔力操作を感じます。注意してください。」
シェル―の声が頭に響く。
どうやら彼もラッキー同様能力が隠蔽されているようだ。
「なかなかいい戦いでしたよ。でも、あの子にこれだけ時間がかかってしまっていては他の魔物には勝てませんのでこのあたりで手を引いた方がいいですよ。まもるくん。」
魔人はなぜか俺の名前を知っていた。
「お前の目的はなんなんだ!なんで俺の名前を知っている!?」
「目的…ですか?しいてあげるなら混乱と混沌、そしてこの世界への復讐ですかね。平和になってしまったらば面白くないじゃないですか。誰かが暗躍をするからこの世界は面白くなるんですよ。最近の魔王たち平和主義になっているようなのでここらへんで目を覚まさせてあげないと。名前をなぜ知っているか?うーんそれは秘密です♪謎があった方が楽しいでしょ?」
「お前の…お前のそんな理由のせいで多くの魔物や人間が苦しんでいるってことか!!」
「勘違いしてもらっては困るのは何も私だけのせいではありませんよ。これはただの魔人のゲームです。お遊びですよ。魔物の命も、人の命もあなたが考えている程この世界では重くないんですよ。
転移者のあなたにもそのうちわかりますよ。まぁ最弱のテイマーなんて職業を選んでしまった時点で生き残るのは難しいかも知れませんが。あなたの活躍を期待していますよ。」
「ねぇそろそろ次の場所で遊ぼう。」
その男の肩には黒い妖精が乗っていてそう話しかけた。
「その黒い妖精はオークを進化させて暴れさせた妖精か!?」
妖精がこっちを向いてあっかんべーとしてくる。
「さぁどうですかね?あなたにもいずれわかりますよ。さて、ここでのゲームは終わってしまったので、またどかのゲームでお会いできるのを期待していますよ。まぁそれまでにあなたが死ななければですが。」
「待て!まだ聞きたいことが!」
その男はそう言うと影の中に消えていってしまった。
ゲームだと!?必ず見つけ出して聞きだしてやる。




