【ラブダック村】村の北東・二
『リレイド』ゼフィオン国に仕える遊撃隊兵。
『ロッドライズ』ゼフィオン国遊撃隊隊長。
午の刻。リレイド、ロッドライズ、ラブダック村の、村の北東にて。
『リレイド』あなたはよく、面白い話をみんなに聞かせて周囲を楽しませていましたね。絵に描いたようなムードメーカーで、あなた自身もいつも笑っていた。……あなたは、女である私を対等に扱ってくれる人の一人でした。私が兵になったばかりのころは、あなたのような人に救われたものです。……あなたは……。
『ロッドライズ』おい、大丈夫か。話しかけても……死人は蘇らんぞ。
『リレイド』隊長……ええ、確かにそうです。でも……それでも何か言ってあげたくて……。届かないのはわかってますが、それでも……。
『ロッドライズ』そうか。……この後、姫様のもとに連れて行く。そういうお達しだからな。
『リレイド』隊長は……隊長は何も感じないのですか。
『ロッドライズ』感じないわけなかろう。……だが……私も兵になって長い。今回ほどではないにせよ、このような場面には幾度も出くわしてきた。その度に死人を見てきた。私が兵になった当初は、こんな感情をこれから何回も抱えるのかと、ひどく憂鬱な気持ちにもなったが……誤解を恐れずに言えば、慣れてしまったのだよ。いちいち絶望していたら、私の方も死んでしまう。……先に逝った者たちは、私が、そんな死に方で人生を終えるのを望んではいないだろうしな。
『リレイド』……すみません。突っかかるようなことを言って……。
『ロッドライズ』いや、よいよい。十代の私が今のこの私を見たら、確実に同じ質問をしたろうな……。さ、行くぞ、お前も手伝……、む?
衝撃音、低く森に響く。
『ロッドライズ』何だ?
『リレイド』……まさか……。




