若者(!?)たち でも姫は一万む、むむむ
さあ、終わりの始まりです。後少々で終わりです、異世界大統領。でもこの呼称、いいんでしょうか?まだ何にもライドオンしてないけど。
初登校の一件以来、ソラちゃんはすっかりクラスメイトの寵愛を受ける身になった。それは喜ばしいことだけれど、どうにもソラちゃんにとって、高校の授業は退屈で仕方ないものであるらしい。いいな、僕にはチンプンカンプンなのに。早くメイ君たち帰ってこないかな。放課後僕はソラちゃんの隣でため息をついていた。最初、日本語、しかも山形弁、に苦労してたけど、今では「おしょうしな」も上手に言える、正しい山形、もとい置賜ガールだ。もっとも金髪なので街に出ると目立つ目立つ。神社お仕着せの巫女服を着ているにもかかわらず、観光客の外人さんから「おう、芸者ガール!」とか言われてたりする。そこにお巡りさんが来て、「OHH、淫行ダメね。」とか言うものだからソラちゃんの期限も悪くなる。クラスでは先生も含め、僕の言った「ソラ姫」で統一されてるけど、何故ゲイシャ?もしかして・・・
「ねえ、ソラちゃん。」
むすっとしてソラちゃんが訂正する。
「ソラ姫でしょ、はっちゃん。はい、やり直し!」
そんな、気だるげに言われても。心配になっちゃうよ。
「疲れてますか、ソラ姫様。」
僕は出来る限り恭しく姫様に語り掛けた。どうも最近、ソラちゃん、もといソラ姫は、気だるげに北西の空を眺めていることが多くなった。前に何げなく聞いてみたけど、頭が痛いとかって机に突っ伏してたっけ。本人曰く、記憶障害があるという事だったけど。ホント、初登校の頃はみんな興味津々ソラちゃんばかりか僕にまで質問の雨あられ。担任の栗田先生はおろか宮さんにまで迷惑をかけたけれど、このごろは社交的な姫の性格故か、ただ単に飽きたのかはわからないけど、騒ぎは一旦沈静化している。夏が近づいたこの頃は、大陸に渡ったまま帰らないメイ君、アリアちゃんについて「やっぱり駆け落ち?」とかそういう話になって盛り上がっている。そういえば夏だなあ。僕、暑いのは苦手なんだけどなあ。秋田犬だし。そんな事を思って空を見ていたら、突然眩い光が上空を襲って、一瞬ソラちゃんが見えないくらいになった。すぐ光はやんだけど、ソラちゃんの顔は蒼白になって、ぶるぶる震えていた。
「ソラちゃ・・・ソラ姫様、凄かったね、何だろ、今の。って、ソラちゃん、どうしたの?具合だ悪いの?保健室行こうか?」
ぶるぶる震えたままのソラちゃんは、その目を僕に向けて、絞り出すように言った。
「あれは・・・間違いない。ソーラーレイ。・・・はっちゃん、歌音の所に行くわよ、今すぐ。」僕の手をひっつかむようにとると、引っ張るようにして廊下に移動して、教室にいたみんなの「今度はお前らか?ひゅうひゅう」という声を無視して(ほとんどは今の現象について夢中だったけど)、校門を通って謙信神社に向かった。学校からは一本道なので背中に乗せようにもその余裕はない。鳥居をくぐり社殿まで来た時に、僕等は再び玉ちゃんの姿を見たのだった。それも、九尾の正体を見せた玉藻様としての姿を。
「ど、どうしたの、こんな昼間から。久しぶり、玉ちゃん・・・でいいんだよね?」
驚いてみている僕と対照的に、ソラちゃんは玉藻様としての姿を見せた玉ちゃんに臆することなく、大きな声で問い質した。
「してみるとやはり、あれはソーラーレイか?」
玉藻様形態の玉ちゃんも答えて、
「そうじゃ。妾の知る限り、な。歌音の舞沢上空に仕込んだ防御機構のおかげで事なきを得た様じゃが、な。お主が残した日記を手掛かりに、あの異世界魔王が仕掛けてきたのよ。と、歌音が言っておった。」
ソラちゃんはそれを聞くと考え込むような表情になった。
「あのプチンにそこまでの科学力があるとは思わなかったわ。でもそれょり、あの光から・・・防御機構って?」
玉ちゃんは警戒態勢を解くと一つトンボをきって小型玉ちゃんに戻り、説明してくれた。
「妾も詳しいところまでは解らぬが、何でも仮想鏡面を上空広くに展開する技術だそうじゃ。その反射角を調整すると真っすぐ射出先に反射するのだそうじゃ。汝の故郷にアレがおったら、お前の星も無事だったのかも知れぬな。」
ソラちゃんの顔はホッとした半分、何故か悔しさ半分といったところだ。そんなところに巫女さん他神社のスタッフに囲まれた歌音さんがやってきた。他の皆に指示を飛ばしている。
「おそらく、敵は何があったかわかっていない筈よ。だけど警戒は怠らないように。監視体制をB1級まで上げて国内の敵勢力に動きがないかどうか確認するように。今回は玉藻様のご連絡のおかげで事なきを得ましたが、こういう事態がまたいつ引き起こされないとも限りません。皆、気を引き締めるように。・・・あら、英斗君、ソラ姫様。お帰りなさい。とりあえずと言うか、危機は脱しましたわよ。さあ、どう報復してあげましょうか、あの異世界大統領。」
舌なめずりする歌音さん。これはあまりに危険すぎる。でも、何か言おうとする僕を遮って、ソラちゃんが歌音さんに聞いた、
「歌音、あなた、あれは何?仮想鏡面の反射システム何て、私でも思いつかないというか、どこの技術よ。そんな精緻で制御が難しいシステム、考えられても実現何て出来ないわ。あなた、それを・・・」
「私もただ、この星で主様なんていわれていたわけではありませんわ。今はまあ、アリアちゃんですけどね。あの子が大陸に渡る前に、このシステムを整備し終えていたのは正解でした。」
そしたら何か決断したように、ソラちゃんが歌音さんに宣言した。
「これが、あのソーラーシステム、いえ、あえて言うわ。あの火星のソラシステムを応用した攻撃だったというのなら、私はプチンを許さない。私の手で葬り去ってあげる。」
ソラちゃんの目は本気だ。だけどプチンって?そう言えば魔王とかって言ってたな。メイ君たちが言ってたのと同じかな。じゃあアリアちゃんも・・・。
「貴女が行くことは賛成しかねます、ソラ姫、いえ、自分で名乗られたのだから言いますけれど、火星のマッドサイエンティストことプリンセスソーラー。何で太陽光についての単語は同じなんでしょうね。別にあの戦争はあなたのせいではないのでしょう。逆にあなたに構われるなら本人は喜ぶかもしれませんよ。それでも行きますか?」
それでも決意したように
「行くわ。止めないでよ、歌音。」
多少、苦笑交じりに歌音さんが答える。
「わかりました。兵糧他、必要な物資は揃えましょう。でもおj一人で?」
ソラちゃん、いやソラ姫は、何かを言いたげな顔をしたけど、僕の目を見て、こう言ってくれた。
「はっちゃん、一緒に来てね。」
否はなかった。
技術的な事。そもそもソーラーレイシステムはパクリかつ架空のものです。こんな対応でいいんでしょうか。仮想鏡面は良いけど、反射したところで熱エネルギーとか残りますよね。どう始末つけてんだろう。私物理ワカラナイ。なお、歌音、アリアの科学力は遠い外宇宙のシリコン的生命体由来のもので、ソラ姫たち太陽系生命体の科学とは趣を異にしています。太陽系生命体は精神干渉とかそういうのが得意そうです。あと、歌音やアリアはとある事情で干渉を受けやすくなってはいます。アリアはちょっとどうかなあという所ですが、有機生命体に惚れた歌音はまあそうでしょう。以上設定より。




