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いかにして犬は姫と出会ったか

オオカミ男のお話です。が、流れ星っぽいです。でも扱うのは現代です。でも本筋はSFです。あくまで本筋は。とんでもモノですが。実は別に本筋の話がありますが、そっちはもっと荒唐無稽です。

魔王と犬と吸血姫 その1


 僕はオオカミとしてこの世に生を受けたはずだった。オオカミと言っても現代社会の常で、ことここ日本国においては、自然環境はそこまで厳しくないものの、他にめぼしい肉食獣がいなかったこともあってか時の為政者、つまり人類に危険物扱いを受けて狩られ、ほぼほぼ絶滅宣言を受けるまでになっている。もちろん、オオカミだって狩られるのは嫌だ。ではどうするかで、ご先祖様は考えたらしい。考えたからどうできたというモノではないと思うのだけど、ともかくご先祖様は、少なくとも僕が生まれた頃までは命脈を保ち得たらしい。その生存戦略が、小さく、可愛らしくなることである。小さければ目立たない。可愛らしければ殺されにくい。ご先祖様たちはそういった方向に自らの姿を変えていったらしい。ついでに人化の術まで身につけたらしく、僕の両親も甲斐犬とアイヌ犬?でサイズとしてはミドルクラス。人間としてもまあまあ人並みの容姿を持って生まれて、それぞれに田舎から東京に出て、本当に狭い同族のコミュ二ティーで偶然出会い、縁あって日本の片田舎の仙台市に居を構える事になったらしい。らしい、というのは僕はここ、山形県舞沢市に捨てられたからに他ならない。僕を育ててくれた優しい人たちが語るには、僕が生まれる事は両親とも喜ばしい事であったらしい。ただ、生まれた僕を、正確には生まれて4年目、初めて狼化僕を目の当たりにして、両親は悲嘆に暮れたらしい。何故なら僕は、同族が辿ってきた歴史に逆行するかのような存在であったから。僕の変化した犬種は秋田犬であったのだ。同族は、小型犬種であればあるほど、力が凝縮す凝縮する為か小型犬種の姿で生まれた者ほどオオカミとしても、人型をとった場合においても、爆発的力を持ち知性も高いという傾向があるのだ。それ故に、はっきりと分かる大型犬種として生まれた僕は、それが判った時点から、両親にとっては忌むべき存在とかしてしまったのであった。そこで僕は、そんな人狼たちの保護活動をしているとんでもなく奇特な人々の庇護のもとで犬として暮らすことになったのである。僕も両親の悲嘆に暮れる姿に動揺した故か、人化が上手くできなくなっていたため、苦情を言える筈もなく、それよりも申し訳ないという思いが強すぎたためか、ただ状況に流されるままこの地に残ることを選択し(と言うか、それしかなかったのだけれど)、隣町の犬の宮という所で番犬生活を送ることになったのだ。

 僕の飼育、いや生活の面倒を見てくれたのは、舞沢市の高名な謙信神社で禰宜をしていて引退したお爺さんと、元巫女であったお婆さん(職場結婚だね)のご夫婦で、子供がいなかったお二人にとても可愛がられて成長した。謙信神社の巫女さんと権禰宜であるその旦那さん(規範さんだ)にも大変お世話になった。お二人にもお子さん(アリアという娘さんだ)と、その従弟で、やはり僕と同じ人狼族である、メイくんという男の子がいて、その子たちがよく遊びに来てくれた。メイ君のお父さんもやはり、そして立派な人狼で、その妻である聖歌さんと一緒に、僕がここに来るのと入れ違いくらいのタイミングで、なんでも北欧の方に一族の命運をかけて旅立ってしまったらしい。それ故か同じような境遇であるメイ君は、こんな情けない僕の遊び相手になってくれた。とはいえ、小さい頃は互いの実力差なんて解らないもので、今にして思えばかなりハードな遊びを共にしていたものだ。なにせメイ君のお父さんである明さんは、純正そのもののポメラニアン犬種の人狼であり。メイ君も変化するのは秋田犬にそっくりではあるもののその実は豆柴、という血統で、まあ強いのなんのって。そんな彼の無自覚のぶちかましで、何度死線を彷徨ったことか。今でこそ慣れもあってかそれとも僕自身がかなり頑丈だった為か、なんとか耐えられるようになったけれど、良く生きてたなあ、僕。アリアちゃんのお母さんには、「お父上だけでなくお母上まで人狼なんて珍しい、と言うか聞いたことがないから、そのおかげかも、ね。」と言われたことがある。でも人狼が、じゃあ何なのかはやっぱりよくは解らないみたいで、僕も深くは考えないことにしている。

 ともかく、同じような境遇の友人がいたおかげもあってか特に寂しさを感じることも無く小中学生期を過ごして、地元の有名高校に進学できたのは、出来の良い友人たちの協力の賜物であろう。けして優秀だと誇れる成績ではなかった僕が、進学し2年生に進級できたなんて、自分でも信じられない。テスト勉強も基本的なところはメイ君が、ヤマは何故かアリアちゃんが得意で助かっている。憶えるのは苦手だけれど、根気だけはあるつもりだ。これもメイ君に鍛えられたおかげだろうか。そんな彼らがこの春、やんごとなき事情で北に旅立った後、僕の換毛期が始まろうとしていた頃、それは起こった。

 春先はいつも眠くなる。その日の放課後も高校の屋上で、北の大陸(半島じゃ無いよ)に旅立った二人に思いをはせるふりをして学友達に内緒でひと眠りを決め込んでいたのだけれど、突然轟音を上げて編隊を組んだ戦闘機が僕らの町の上空を飛んで行ったのだ。何事かと目を覚まし上空を眺めやると、はるか上の方から何か小さなものが落ちてくるのが見えたんだ。僕の耳はそれに付属するのだろう発砲音も捉えていたから、そして、飛び去った戦闘機が某コメの国のものであることも見えたから、またかの国か、それも日本の上空でとんでもない事をしているのだなと驚いたのだけれど、ともかくも見つけた小さな存在が意識を失っているらしい少女であることが見て取れたので、オオカミの姿に変化して校舎の屋上を飛び降り、校庭を駆け抜け、落下点であろう隣町の田圃地帯の中央を目指した。人目を気にしている余裕もない。まあ、学校の友人たちはメイ君に対するのと同様に、見て見ぬふりをしてくれるから、まだあまり慣れていない新入生が驚いたくらいだけど、生徒会長への言い訳は後で考える事にして、兎にも角にも急いだ。国道を突っ切り住宅街を疾走して、県道の、足場の良いアスファルト路面で後ろ脚に力を込めて大ジャンプ。道路崩れなかったかな。気にする暇もなく落下してくる女の子を背中で受け止める。この時期の僕の背中の毛並みなら柔らかく受け止めてくれるだろう。当然それなりの衝撃はあるだろうけれど・・・あれ、そうでもない。羽のようにと言っていいほど軽い感触。そしてその後に柔らかい女の子の感触。そして何かとても良い匂い。そのまま田圃に着地した僕は(まだ水を張って無くて良かった)、背中にその子を乗せたまま、とりあえずは爺ちゃん婆ちゃんがいる犬の宮に向かった。なるべく目立たないように。だけど迅速に。そんな予感がしたから。




今回はまだ序盤。果たして犬はどうするのか、ですがどうもできないと思います。お米の国が出るので、どんな風にひっくり返されるのか。上の方で決めるのでしょう。でも魔王は別の方です。コメの国の方は下っ端ですから。

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