魔王とモグラ
ダンジョンの狭い通路を進む魔王。
天井の高さも中腰にならなくてはいけないほどに低く、なかなか面倒だ。
・・・・・・・・
モグラのような魔物が飛び出してくる。
拳で粉砕する。
先ほどから中腰で進みながらこの繰り返しだ。
モグラたちは何がしたいんだろうか。
飛び出ては殴られただけで簡単に倒れている。
まあ、他の魔物も同じようなものではあるが。
…それにしても倒しても倒してもきりがないし、これだけ倒してもレベルが上がらないな。
魔王も精神的に疲れてきた頃、狭い通路の先に、ぼんやりと青い光が見えた。
何があるのかわからんが、モグラよりはマシだ、よな?
だんだんと通路の先が見えてくる。
青い光の光源へと近づいている。
そして、視界が開けてきたところでようやく光源の正体がわかった。
それは、青く透き通った水晶のような結晶だ。
淡く光を放つそれが壁に並んで生えている光景はなかなかの絶景と言えるだろう。
「ほう、これはすごいな…」
魔王がそれに見とれていると、どこからかガリガリと硬質な音が聞こえてきた。
「ん?そっちの方か?」
音のする方へ振り向くと、先ほどのモグラが青い水晶(仮)をかじっていた。
…美味いのだろうか?
と、それよりも早く倒すべきか。
かじるのに夢中で魔王に気がついていないモグラは炎魔法で一瞬にして灰になった。
こういう鉱物は長い時間をかけて成長するものだからな。
利用するわけでもなくかじられると困るというものだ。
さて、少し採掘していくか。
・・・・・・・・
これくらいでいいだろう。
さっさと奥に進まなくてはな。
(ゴゴゴゴゴ…)
何か
ダンジョンは奥に進ませたくないのだろうか。
轟音とともに壁を巨大な何かが突き破り、飛び出してきた。
水晶と岩壁の破片が勢いよく飛び散る。
風魔法で土煙ごと吹き散らす。
土煙が晴れると、巨大なモグラがキョロキョロと辺りを見回していた。
「なるほど。こんなのがいればモグラがあれだけいたのも納得だな。」
声に反応したようで、モグラがいきなり突進してくる。
幸い、天井に届くほど大きくはないため跳躍して避ける。
上から見れば、巨大モグラの背に青い水晶のような鉱物が装甲のようにぴったりと覆っているのがわかる。
あのモグラが水晶をかじっていたのもそのためだったようだ。
さておき、これ以上水晶を破壊されても困る。
さっさと経験値になってもらおう。




