魔王と修繕
やはり、この宿の飯はうまかった。
フラムレは前線にそこそこ近い町だけあって長期の戦いの時に必要になる保存食の技術が高く、香辛料を使った料理が多いらしい。
ここの料理は旨味を引き立てる上手な香辛料の使い方をしている。さっぱりとしていながらもはっきりと肉の旨みを感じることができる。
この街特有の料理を堪能できて満足だ。
この宿を選んだ甲斐があった。
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魔王はあてがわれた部屋のドアを開けた。
「…きれいだがボロボロだな。」
要は掃除によって清潔に保たれてはいるが壁や床、イス、テーブル、ベッド、どこを見ても欠けたりしている。
魔王は使っている途中で壊れるのも嫌なので、とりあえず修繕を始めた。
パーツを取り替え、新しい木材に張り替え、シーツも枕の布地と中身も…
結局ほとんど全部を新しく取り替えた。
この部屋だけ生まれ変わったようになってしまった。
しかもつい凝ってしまう魔王は装飾まで施している。
さすがに部屋全体変えるのはやりすぎたかもしれないな…
「…この部屋だけどっかの高級宿と繋がってたりする?」
ビクリ
「直してくれたのは嬉しいんだけど、なんかもう、やりすぎでは?」
開けたままにしていた部屋のドアの前に驚きを通り越して呆れた表情のアリスがいた。
・・・・・・・・・
「なるほど、趣味で物作りをすることがあると。趣味の範囲に収まってない気がするけど。まあ、それにしても装飾まできれいですごい…あ!もし良かったら泊まってる間は料理タダで提供するから時間がある時に他の部屋もこんな感じで直してくれない?」
金には困っているからタダでと言われてもな。
それにうまい料理にはしっかり対価を払うべきだと思うのだ。
「…タダでなくていいから色々な料理を作ってくれると嬉しいんだが。」
メニューには三種類しか料理がないからな。
「うーん、あの三種類の料理以外あんまり作ったことないけどそれでいいなら…」
これで契約成立だな。
さっそくもう一部屋直してから寝よう。
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とりあえず今泊まってる部屋と同じように直せたな。
うまい料理のためならば苦ではないしそもそもこうやって何か作ったり直したりするのもなかなか楽しいものだ。
...最近料理のことばかり考えてしまっている気がするな。魔王としての威厳も大事だ。
ん、部屋二つ分修繕作業したからかもう夕方だ。
作業で腹が減ったし飯を食べよう。
「あ、もう一部屋の修繕終わったんだね?料理作るからちょっと待っててね。」
「ああ、楽しみにしてるぞ。」
ちょっと威厳ありそうな感じで話す魔王。
んん!?さっきよりもなんか凛々しく見える...
やっぱお金持ち、イケメン...超優良物件なんだよねぇ...
威厳ありそうな話し方がなぜかアリスの心にクリティカルヒットしたようだ。
ちょっと顔を赤くしたアリスはそそくさと厨房に向かった。
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魔王は運ばれてきた料理を味わっていた。
「うん、うまいな。...今思ったんだが、受付も料理もやってるが、一人で宿を経営してるのか?」
「そんなわけないでしょ。というか知らないの?たいていの宿屋は子供がある程度宿のことをできるようになったらほとんど任せて経営のために必要な料理のための食材の仕入れだとか併設する馬小屋の方の手入れとかそういうのをやってるのよ。周りとのつながりも大事だからそういう部分もいろいろやることがあるし、噂とかの情報も意外と宿の経営に影響することもあるからそういう情報を仕入れることもあるの。」
「な、なるほどな。」
結局また呆れた表情で見られる魔王だった。




