魔王とフラムレの宿
前回の部分、サブタイトルがおかしかったので直しときました。
フラムレは結構大きい、都市といえるほど栄えた所であるようだ。
街自体の大きさとしてはもっと国の中心地に近い主要な都市ほどではないが、人口密度は負けていないほど多いのがわかる。そこかしこからたくましい商売人たちの声が聞こえてくる。
そして、こう見回しただけでも冒険者らしき者たちが多く見れる。
ちなみに馬車の乗合所は門の近くにあり、すでに降りた後だ。
まず最初はこの街のギルドに登録してもらうのが暗黙のルールだと聞いた。
冒険者は血の気が多いやつも多いため、たいていの街では登録してないうちに問題を起こすと通常より重い罰が課せられたりするらしい。
もちろん俺は問題を起こす気などさらさらないが、暗黙の、とはいえルールには従うのが賢明だろう。
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この街の中心部に建てられた領主の屋敷の隣にあるのがこの街のギルドであるらしい。
領主の屋敷より少し小さいが、それでもダスエルステのギルドの1.5~2倍ほどありそうである。
「どのようなご用件でしょうか?」
「カードの登録をしに来たんだが。」
「かしこまりました。お兄さんはこの街に来たばかりの冒険者の方ですよね?」
「ああ、そうだが。」
登録しに来たところなんだからそりゃそうだろうとは思うが、口には出さない。
「もしよければ、私が街の案内をしますが、どうでしょうか?」
いつのまにかほかの受付嬢の視線もさりげなくこちらに向けられている。
デジャヴと同時に嫌な予感がした。
「いや、自分で街の散策をするのが好きだから大丈夫だ。」
魔王は反省を生かせる賢い男なのだ。
女性との関わり方は慎重になったほうがいいと学んだばかりである。
魔王はギルドからそそくさと去っていった。
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受付嬢たちの肉食獣のような視線から逃げ延びた魔王は、ギルドへの登録の次に重要である、宿探しをしていた。
部屋の状態も値段も重要だが、飯だ。飯のうまさが一番の決め手だと思う。部屋の埃やらなんやらは魔法で何とかできるし、なんなら軽い修繕等もできる器用さはある。値段も宝石細工を売ればだいたいは問題ないだろう。
そんなわけでかれこれ2,3時間ほど評判を聞いたりして料理の評判が一番いい店にたどり着いた。
はっきり言って結構古いのが外見から伝わってくる。
ちなみに値段はそこまで高くはないらしい。
入ってみると、受付で暇そうにどこかを向いている少女がいた。
「ここに泊まりたいんだが、部屋は空いてるか?」
「ふぇ?あ、お客さんね?最近近くにできた宿に客が流れていってほとんど来なくなったから気づかなかった。で、もちろん部屋は空いてるよ。一泊銀貨四枚だよ。」
「とりあえず何泊かするだろうから大銀貨十枚渡しておいていいか?」
「そんなに?...私が言うのもなんだけど変わってるね、お兄さん。全部使うんだとしたら二十五泊分だよね?」
「まあ、飯がうまいって聞いたし、この街にはしばらく滞在するからな。余ったらもらってもいいぞ。」
「いいの?お兄さん心までイケメンじゃん。養ってほしいくらいだわ。...まあ、それは半分冗談だけど、私はアリスっていうの。何かあったら名前を呼んでくれればすぐ行くから。ほかにお客さんいないし。」
この少女、アリスも十分変わっている気がするんだが。
まあ、それより早速飯でも頼むか。




