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第39話

翌朝待ち合わせ場所に行くとミーニャさんは既に来ていた。


「お待たせ。ミーニャちゃん。」

「大丈夫だにゃ。にゃーは楽しみで眠れなかったにゃ。」

「ふふ。楽しいダンジョン探索になるといいわね。」


ミーニャさんの索敵能力は優秀だった。ベルさんに勝るとも劣らない能力。本人曰く罠設置が苦手気味なのと腕力があまりないのがネックらしい。身の軽い短剣使いである。青のダンジョンでは罠はないが、宝箱を2つ発見したので罠解除をお願いしてみた。本人が得意というだけあって失敗しなかった。中身はガラクタだったけど。青のダンジョンの宝箱はあまり期待できないっぽい。

魚はいっぱい取れた。ミーニャさんはベルさんが収納バッグを持ってると知って羨ましがってた。当然だが私のジョブとスキルはまだ秘密である。【エンチャント・雷】を使っているので、『エンチャンター』だと思われている可能性が高い。


「みんなすごい強いのにゃ。『シェリナ守護隊』とは大違いにゃ。」


ミーニャさんは興奮気味である。私は完全なジョブ頼りだけど、他のみんなはすごいからねえ。


「ミーニャちゃんも中々の索敵能力に身のこなしよ。」

「有難うにゃ。照れるにゃ。」


でかい鮪の魚人が群れで来たので全員で攻撃する。

相変わらず動きがキレッキレなシータさんとイシュさん。【エンチャント・雷】の効果もあって、ザクザク切り刻んでドロップに変えている。鮪の部位がごろんとドロップする。でかい魚は部位ごとにドロップしたりするんだよねー。鰯とかは逆に1匹しか倒してないのに数匹ドロップする。ダンジョン内の不思議。


「あら海老が来たわ。」

「今日は海老が多い日なのでしょうか。」


海老の襲撃は本日14度目である。ドロップに変える作業に勤しんでいると…


「イシュ君!」

「はいっす!」


ベルさんが声を上げてイシュさんが盾を張った。矢が飛んできたのだ。


「昨日はよくもシェリナちゃんの前で恥をかかせてくれたな?」


『シェリナ守護隊』の皆さんだ。シェリナさんはいないけど。


「アンタたち…今殺す気だったでしょう?殺人は犯罪よ?」

「ダンジョンの中ならわかりゃしねえ。昨日の詫びにお前らにはきっちり死んでもらう。」


ギラリと剣を抜いた。


「不味いにゃ。あれはロックソード。土属性の魔法剣にゃ。銀の匙の使ってる【エンチャント・雷】とは相性最悪だにゃ。しかも切られると石化の状態異常を起こすにゃ。」


銀の匙のパーティーメンバーは誰も慌てなかった。


「ジゼルちゃん。風属性エンチャントで。」

「はい。」


ベルさんの指示で、私はみんなに【エンチャント・風】をかけた。


「なっ!?雷使いじゃなかったのか!?」

「そんなこと一言も言ってないと思うが。」


シータさんが呆れている。

『シェリナ守護隊』は驚いているようだが、気を取り直した。


「ふ、ふん。いくら属性を変えようと、石化からは逃れられない。」


攻撃を仕掛けてきた。当たり前だけどイシュさんの盾が防ぐ。


「く、くそ!当たりさえすれば…!!」


イシュさんの盾に守られながら、シータさんが攻撃する。ザクザク『シェリナ守護隊』の体を切り刻む。特にシータさんの剣はフローレスソードなので属性剣の効果は倍だ。


「くそくそ!」


がむしゃらに剣を振るって、何とかシータさんの脛を浅く切る。足がじわっと石化した。


「やったぞ!一気に畳みかければ…」

「【キュア】【ミドルヒール】」


あっさり状態異常も怪我もベルさんに回復させられてしまう。『シェリナ守護隊』の絶望する顔が見えた。イシュさんがシータさんの様子を見ながら他のメンバーを叩いている。

向こうは殺す気満々でかかってきたが、こちらは殺す気はないので、どの程度加減するかは思案のしどころだが、イシュさんとシータさんは利き手首の先を切断することで矛を収めるつもりらしい。ベルさんは当然【オーバーヒール】などかけるつもりはない。手首の先を【ハイヒール】で丸める。当然だがこれで彼らの冒険者生命は断たれた。慣れないうちは普通の生活も難しいと思うが、もう片手があるし、後の事は知らない。ロックソードを売れば細々と生活できるんじゃない?

私達は青のダンジョンを出た。


「なんかにゃーのせいでトラブルに巻き込んで申し訳ないにゃ。」

「別に大したことなかったからいいわよ。」


その日も居酒屋に魚介類を持ち込んで調理してもらった。海老が多かったので、海老餃子というのと、エビチリというのを食べた。海老料理はバリエーションが豊富らしいので色々食べたい。


「ほうほう。ベルさんとジゼルが付き合っていて、シータとイシュが付き合っているのにゃ。」


酒の肴に恋愛事情を話した。


「ミーニャさんは浮いたお話はありますか?」

「ないにゃ。というか恋愛脳じゃないし興味もない。にゃーは沢山稼いで美味しいもの味わって、時々貯蓄出来たらそれで満足にゃ。」

「美味しいものはいいよなあ。」


シータさんが同調した。


「でも本当は『温泉』って言うのに入ってみたかったにゃ。にゃーは貧乏だから日々食べるだけで、温泉宿に泊まれる資産はないにゃ。」

「うちの宿、入浴だけなら1000ギルで入浴できるわよ。泊まるのは別料金掛かるけど。」

「ホントかにゃ!?ならにゃーも…」


温泉宿の温泉に入浴する計画を立て始めた。


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