内乱11
遅くなりました。
時風艦内。
『長門、陸奥発砲!!』
「っ!?回避せよ!!」
「緊急回避ぃ!とぉりかぁじぃ」
放たれた砲弾は合計四発。
2隻の駆逐艦は回避行動に入ったことで直撃は免れたが至近弾を食らい、海水が船体を洗う。
「被害報告!」
『左舷艦底部に小規模の亀裂を発見。浸水を確認。工作班が現在対処中』
至近弾でもやはり被害はあったか。
『CIC問題なしッ』
『機関室異常なしッ』
先の亀裂以外被害はなかった。
随伴艦の紅風も僅かに浸水はあれど他は問題なかった。
「やはり長門、陸奥は奪われていたか」
「艦長。このまま突撃し、乗り込みますか?」
副長の言葉に一瞬考えたが拒否した。
「いや、退避だ。現海域より退避せよ」
「しかし・・・」
「我々の任務は確認だ。それにこのまま突入しても殺られるだけだ。今は退避する」
「ハッ・・・・・」
二隻はこの海域から離れた。
それを海中から覗く目が海面に出ていた。
潜水艦知多
「駆逐艦は退避したか」
潜望鏡を覗きながら呟くように言った知多艦長。
クルッと一回りして周りの海域に長門、陸奥、駆逐艦二隻以外に艦がいないかを確認。
「潜望鏡を下ろせ」
「潜望鏡下ろします」
逆向きに被った軍帽を直しソナー員の下へ。
「ソナー、海中に潜水艦は他にいないか」
「本艦以外に海中には確認できません」
今のところは他にいない。
長門、陸奥は移動することなく停船している。
合流のために止まっているのか、それとも動かせる人員がいないのかはわからないがもうすぐ日が沈む。沈んだら海神の仕事の始まりだ。
「海神に連絡。用意をしておけと」
前例のない戦艦の奪還が間もなく開始されようとしていた。
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