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9. 朝は美形で始まる

タイプの違う美形さん登場です。

「おはようございます。シューゼットさんにユージンさん」


 朝のキラッキラの光に負けない二人の姿に思わず目を細めた。今日は二人とも黒い衣装だ。シューゼットさんは、ゆったりした黒のローブ?。良く映画やゲームの世界で賢者が着る様な裾の長い、布をたっぷり使った感じ。腰には黒い石の付いたベルトをしていて、よく見れば細かなビーズ刺繍がされている。黒いローブに明るい銀色がかった紫色の髪が良く映えて、少女めいた美貌が神秘的なシャーマンの様に見えないこともない。美人さんだ。

 ユージンさんも黒い騎士の制服?を着ている。こちらは細身のカッチリしたデザインで、肩飾りや勲章の付いた西洋風の騎士様が着る様な感じ。うん。誰が見ても騎士様だと思うわ。黒一色の衣装に金髪が映えるのなんのって。額を出してオールバックにしているせいか、精悍な感じがして何だか別人に見える。


 つい、二人をまじまじと見詰めてしまった。



「ルイ様?如何されました?私の顔に何か付いていますか?」


 ニコニコしたまま、シューゼットさんが聞いてきた。見とれていたとは言えませんよ・・・


「あっ。ごめんなさい。昨日とお二人が随分違う印象になったので・・・」


「ああ。そういうことですか。弔いの儀は二日間は黒衣装になります。普段が白色しか着ないのでだいぶ変わるでしょうね。ルイ様も昨日とは随分変わりましたよ?」


 シューゼットさんは、そう言うと一歩下がって私の姿全体を見た。


「良くお似合いです。黒い髪と黒い瞳、白い肌がとても良く映えます。お綺麗ですよ」


 目を細めてにっこり微笑む彼の言葉に顔がボッと赤くなったのが判った。イヤイヤ!そんなこと言われたこと無いから!




「本当にお美しいです。昨日のドレスもお似合いでしたが、今日の黒いドレスもとても・・・」




 ユージンさんはそう言って、私の前に来ると片膝を付いた。そして、右手を優しく取ると手の甲にキスをした。き、キス!?


「貴方のお姿を見られて大変光栄です」


「!?」




 何故にキス?挨拶?西洋風ならキスの挨拶もアリなのか!?異世界でもアリなの?ドギマギしているのは私だけで、ユージンさんの顔は少し赤いような気もするけど、シューゼットさんは変わらずニコニコ顔だ。 

 侍女さん二人は・・・・


 二人とも目がハートになってるわ・・・確かに、こんな美形騎士様の()()()()()()を見れば私だって()()()ならヒューヒュー言ってるかも。



「あ、ありがとうゴザイマス?」


 ちょっと、イントネーションが可笑しくなってしまった。何か、ユージンさんがクスっと笑った様な気がしたけど・・・



「さあ、ルイ様、朝食に参りましょう。今日はこれから忙しくなりますよ」


 シューゼットさんはそう言ってドアを開けてくれた。勿論魔法ですよね。ユージンさんは立ち上がると、私の右手をそのまま自分の左肘に置いた。これはエスコートというものかしら?とユージンさんの顔を見上げると見下ろす目とバッチリ合ってしまった。


「ダイニングルームまで、ご案内しますので」


 はあ。そうなんですね。頷いて前を向くと、シューゼットさんの目線が肘に添えられた私の手に注がれていた。へっ?ダメ?


「ユージン。ルイ様を()()()()ご案内して下さい?」


 シューゼットさんの言葉に何か()()()()()感じがしたけど。ユージンさんが澄ましているので気に留めないでいよう。





 朝の光に溢れた廊下を3人で歩く。太陽は日本で見たような赤い太陽だけど、空には光を失った2つの月?が浮かんでいる。この月は夜に輝くのだろうか?そんなことを考えながら、白い神殿の回廊を歩いていた。




 ダイニングルームの前に、昨日は見なかった紺色の制服を着た騎士が二人立っていた。帽子を被り真っすぐ前を向いて直立不動で立っている。ちょっと物々しい感じがした。




「ああ。もういらっしゃってますね」


 シューゼットさんはそう呟くと、二人の騎士に目配せをした。中に誰かいるのだろうか?


「さあ、ルイ様どうぞお入りください」


 ドアが開けられ、ダイニングルームに通された。







「お待たせしてしまいましたか?グレアム殿下」


 えっ?殿下?ってことは王子様?


 ダイニングルームの窓辺に立っている長身の男性が振り向いた。


「いや。今来たところだ」




 グレアム殿下は王子様だった。以前少しだけ嵌っていたゲームの王子様みたいだ。

 すらっとした細身の長身に、艶々の銀髪はストレートで背中の真ん中位までに長い。エメラルドグリーンが美しい瞳は賢そうだし、細い鼻梁にスッキリとした頬は凛々しい青年の美しさ全開だ。物腰は柔らかいが、威厳というか圧が凄い。でも、少しお疲れのように見える。気のせいだろうか。





「シューゼット殿、そちらが聖女様か。紹介をしてくれ」



 おっと、いけない。王子様に眼がくらんでいたわ。私はユージンさんの肘から手を外すと、背筋を伸ばして姿勢を正した。この世界の正式なご挨拶の仕方など知らないから、以前教わった某国のお姫様の施術を担当した時のご挨拶をする。そういう社員教育をしてくれた会社、ありがとう!




「グレアム殿下、こちらが次代の聖女であるルイ・タカトウ様です。ルイ様、こちらがエルグランド王国の第一王子のグレアム・ランドルフ・エルグランド様です」


「ルイ・タカトウと申します。よろしくお願いします」


 ゆっくりと、膝を沈めてカーテシーをする。慣れない姿勢だけど出来る限り優雅にと思う。


「ああ、顔を上げて下さい。本来ならば王である父がご挨拶に伺うはずですが、体調が思わしくなく私が名代で伺ったのです。朝早くから押しかけてしまい申し訳ありません」


 グレアム殿下は、そう言って近づいてくるとカーテシーをしている私の手を取って姿勢を元に戻させた。近くで見ると、その超絶美形振りに目が潰れそうだ。本当に絵に描いたような王子様だもの。




「グレアム殿下、ルイ様、朝食を頂きましょう。食事をしてからこれからの打ち合わせを致しましょう」


 シューゼットさんの声掛けに、我に返った私はユージンさんに促されて席に着く。正面にグレアム殿下が座られた。すっごく緊張するけど・・・。


「ルイ様、紹介しましょう、私の側近であるシャール・フォルドム・フレッドリーです」


 グレアム殿下の後ろに立っている、これまた雰囲気の違う男性を紹介してくれた。側近ということは、当然貴族様だよね?普通の方であるわけない。


「聖女様、お会いできて光栄です。以後宜しくお願いします」


 シャール様は、濃茶の前髪がはらりと一筋落ちた短めの髪型だ。神経質そうな細い眉の下、赤みが強い茶色の瞳には感情が見えなかった。薄い唇は何とも冷たそうな印象を受けるけど・・・厳しそうな人だ。


「シャール、お前はもう少し愛想よくできないか?ルイ様が怖がっているぞ?」


 じっと見ていて返事が遅れてしまったのを、グレアム殿下が私が怖がっていると思ったらしい。


「いいえ!。ごめんなさい!そんなことはありませんよ!殿下の側近と言われたので、偉い人かなぁーって考えていただけです。あの、こちらこそよろしくお願いします」


 私は慌てて、シャール様に頭を下げた。多分、顔が赤くなっていると思う。だって頬が熱いし!


「ルイ様、これから王宮との連絡はシャール殿が窓口になって下さいます。この方は、こんな愛想無しですがそんなに堅苦しく考えなくてもいいですよ?ねえ。シャール殿?」


 シューゼットさんは相変わらずニコニコ顔で、そのフレンドリーさは一体どこから来るんだろう?ユージンさんも殿下も、シャール様も普通に見えるけど。シューゼットさんの問いかけに、無言のままグレアム殿下の隣に座ると、私に向かって軽く頭を下げた。無口なのかな?




「とにかく、朝食にしましょう。話はそれからです」





 そう言ってシューゼットさんはパンパンっと手を打って給仕に合図をした。


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