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最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


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第008話「まずは、知ることから」

 北西の大型百足は、今の俺が正面から勝てる相手じゃない。


 昨日は、通路の奥にいると分かっただけで引いた。


 今日はもう少し近くで動きを見る。


 ……倒すためじゃない。


 北西へ近づいてもいい距離を知るために見る。


 勝てない相手でも、どこまで来るのか分かれば避けられる。


 俺は池で水生甲虫を1匹食べ、三叉路へ向かった。


   ◇ ◇ ◇


 三叉路の手前で止まり、顎を床につけた。


 北西通路の奥から、細かい揺れが続いている。


 百足の脚だ。


 北東の小さい百足とは違う。


 脚の数は多いはずなのに、揺れのまとまりが大きい。


 床そのものが細かく叩かれ続けている。


 俺は北西通路へすぐ入らず、入口から少し離れた岩陰に体を寄せた。


 まず距離を取る。


 大型百足がこっちへ来るなら、逃げる時間がいる。


 揺れは少しずつ近づいてきた。


 通路の奥から、こっちへ向かっている。


 まだ熱感知には映らない。


 だが、床の揺れだけで分かることもある。


 あの体は大きい。


 通路を歩くだけで、他の小型とはまったく違う振動が来る。


 俺はさらに後ろへ下がった。


   ◇ ◇ ◇


 やがて、熱感知にも輪郭が入った。


 大型百足の体は長く、通路の幅をほとんど使っている。


 脚が左右の床を叩き、硬い外殻が岩にこすれている。あれに正面から噛みに行ったら、牙が入る前にこっちの頭が挟まれる。


 大型百足は北西通路の出口近くまで来た。


 俺は岩陰から動かない。


 あと数メートルで三叉路に出る。


 三叉路へ出る少し手前で、大型百足は止まった。


 触角らしい熱が左右へ動く。


 こちらを探しているのか、通路の出口を確かめているのかは分からない。


 胴体は三叉路へ出てこない。


 しばらく止まったあと、大型百足は向きを変えた。


 大型百足は北西通路の奥へ戻っていく。


 俺は息を殺すつもりで、体を石に押しつけた。蛇に息を殺すという表現が合っているかは知らないが、とにかく余計な動きはしなかった。


   ◇ ◇ ◇


 大型百足は、北西通路の奥と入口近くを往復している。


 1回だけでは偶然かもしれない。


 巡回か確かめるため、俺は岩陰で待った。


 大型百足が奥へ消える。


 しばらくして、また戻ってくる。


 出口近くで止まり、三叉路へは出ない。


 そしてまた奥へ戻る。


 3回見たところで、だいたい分かった。


 あいつの縄張りは、今のところ北西通路の中だけだ。


 三叉路の手前までは来る。


 だが、東や北東までは入ってこない。


 大型百足が三叉路より先へ出ないなら、東と北東はまだ使える。


 北西だけ避ければ、三叉路もまだ使える。


 床から拾える情報も増えていた。


 大型百足が奥へ向いたのか、入口へ戻ってくるのか。前より早く分かる。


 体の向きまではっきり分かるほどじゃない。


 それでも、大型百足が奥へ向いたのか戻ってきたのかを読むには十分だ。


 その時、通知が浮かんだ。


『振動感知がLv2に上昇しました』


 顎を床につけ続けた成果が、ここで出たらしい。


 地味だが、これは当たりだ。


 暗い通路で、熱感知に映る前から相手の位置が分かる。


 大型相手に先に逃げられるだけで、生き残りやすさがかなり変わる。


   ◇ ◇ ◇


 俺は北西通路から離れ、東の小部屋へ向かった。


 大型百足の動く範囲が分かったなら、今日は安全に食える場所を使う。


 東には、昨日より小さい岩トカゲが1匹いた。


 水を飲んでいる個体ではない。壁の苔を食っていて、頭の位置が高い。


 正面から首へ行くと避けられる。


 俺は岩の影から回り、後脚の外側へ噛みついた。岩トカゲが振り向く前に離れ、蹴りが届かない場所へ下がる。


 岩トカゲは追ってきたが、数歩で足が乱れた。


 首の横へ2回目の毒を入れる。


 今度は深く入った。


 岩トカゲが倒れたところで、食う。


 腹に肉が落ちると、さっきまでの嫌な感じが少し薄れた。


 勝てない相手を見たあとに、勝てる相手を食う。


 勝てない相手を見たあとでも、東と北東でちゃんと食えるのは大きい。


   ◇ ◇ ◇


 北東では、小さい百足を2匹狩った。


 入口の狭い場所に1匹ずつ引き込み、頭の横へ噛む。


 小さい百足は噛み返そうとするが、通路の幅が狭い。体を丸める前に、俺の牙が入る。


 大型百足と同じ百足でも、サイズが違えば戦い方も違う。


 小型なら狭い入口で止められる。


 大型は、同じ場所だと俺の逃げ場がなくなる。


 同じ百足でも、まとめて考えると危ない。


 2匹目を食べ終わったところで、通知が来た。


『レベルが12に上がりました』


 よし。


 観察だけで終わらず、レベルも伸びた。


 俺は三叉路の岩陰へ戻り、ステータスを開いた。


――――――――――――――――――


【ステータス】


種族:仔蛇


レベル:12


HP:28/28 MP:14/14


攻撃力:13 防御力:12 素早さ:15 知力:12


魔力適性:なし


【スキル】


熱感知 Lv1、毒牙 Lv2、振動感知 Lv2


次の進化まで:65%


――――――――――――――――――


 進化まで65%。


 半分を越えてからも、ちゃんと伸びている。


 振動感知Lv2もスキル欄に入った。


 見える熱だけじゃなく、床の揺れまで読めるなら、暗い通路で先に動ける。


 北西の大型百足は、まだ無理だ。


 だが、大型百足がどこまで来るかは分かった。


 今は東と北東で食って、進化率を先に上げる。


 北西に入るのは、そのあとだ。


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