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最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


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第071話「再び」


 第4層の入口から30メートルほど手前の通路に、見たことのない形が溶岩の縁に張り付いていた。


 鑑定を使った。


スコーチクラブ Lv6

殻硬化Lv3/爪撃Lv2/熱抵抗Lv1


 蟹だ。甲殻に覆われた大型の蟹。大きさはマグマリザードの半分ほどだが、甲殻が分厚い。爪は岩を握れそうなサイズがある。移動速度は遅い。あの重さで素早く動ける設計ではない。


 マグマリザードとまったく逆の作りだ。あちらは速くて脆い。こちらは硬くて遅い。


 天井から腹面を見下ろした。そこだけ甲殻がない。柔らかい。


   ◇ ◇ ◇


 噛みつく直前だけ熱体を使う。前に試した用途だ。接触して毒牙を通すまでの一瞬、体表温度の差を縮める。それ以上でも以下でもない。


 天井から落下した。腹面に着地、熱体を発動しながら即座に噛みつき、毒牙を通して、離脱。スコーチクラブの爪が振るわれる前に体は天井へ戻っていた。


 2分待った。毒が回った。


 捕食継承が動いた。


『殻硬化 Lv1 を習得しました』


 ……蛇が殻硬化を持った。


 体のどこに適用されるのか。試しに意識を向けてみた。何も起きない。もう一度。何も起きない。3回目も変わらなかった。


 甲殻がない。殻を硬化させる殻がない。


 使えはするが使わない、ならまだいい。「何を硬化させるのか」の段階から詰まっているのは種類が違う。強いスキルなのは分かる。分かるが、体に合わない。今はそういうものを持っている、というだけの話だ。


   ◇ ◇ ◇


 熱体の使い道が確定した。火力ではない。接触初撃の熱負荷を下げる補助スキルだ。噛みつき直前に発動して、毒牙が通るまでの接触を成立させる。それだけだ。


 第4層の相手に使える型がひとつ決まった。


   ◇ ◇ ◇


 第3層との境目まで戻ったところで、振動感知が反応した。


 2本脚のリズム。複数。距離は70メートルほど。


 通路脇の亀裂に体を滑り込ませた。幅30センチの裂け目だ。体のほとんどは収まる。


 3人来た。


 先頭の足音に覚えがあった。以前、二層の岩棚の上で見かけた剣使いだ。あの時の体格と重心の置き方が同じ。後ろの2人も、細身のエルフと別の人間——3人組の構成も変わっていない。ただ、あの時は3人しかいなかった。重い4人目は今日が初めてだ。


 鑑定を走らせた。


ヒューマン Lv14 【剣撃Lv4/盾防御Lv3/体力強化Lv2】

エルフ Lv12 【弓撃Lv4/風矢Lv2/探知Lv3】

ヒューマン Lv11 【回復術Lv4/結界Lv2/光球Lv2】


 3人ともレベルが上がっている。あの岩棚から30日近く経っている。当然か。


 探知Lv3がいる。俺が動けば気づかれる可能性がある。動かない。


 足音は本来4つ分あったはずだった。今来たのは3人だ。もう1人分の重い足音は先の方から聞こえる。先を確認しに行っているのか。その足音は重い。他の3人とは重さの桁が違う。


   ◇ ◇ ◇


 3人が立ち止まった。壁際に寄って、ずんぐりした男が背中から何かを広げた。羊皮紙のような材質だ。地図か、記録か。


 剣使いの男が何か言った。言葉の意味は分からない。音の流れだけが届く。


 女性が答えた。指先が下を向いた——第4層の方向だ。


 ずんぐりした男が広げた紙面の一点を押さえた。剣使いが頷いた。また言葉の流れが来た。「——白い——」という音の断片があった気がした。「——王座——」という音も続いた気がする。


 おかしい。言葉の意味は分からないはずだ。だがその2つの音だけ、ひっかかるように残った。竜の因子が何かに反応しているのか。うまく説明できないが、聞き流せる感触ではなかった。


 女性が首を少し横に振った。慎重な口調だった。剣使いが短く笑って答えた。


 意味は何一つ分からなかった。


 だが、分かることがある。こいつらは下を目指している。今、第3層と第4層の境目にいて、地図を広げて、第4層の方向を指している。


 もうここまで来ている。


   ◇ ◇ ◇


 遠くにあった重い足音が戻ってきた。3人の方へ向かっている。4人が合流した。言葉が短くなった。動き出した。方向は——下だ。


 足音が振動感知の端から消えた。


 裂け目から出た。


 第4層の奥にインフェルノリザードがいる。層主だ。あいつを越えなければ先へは進めない。そしてあの人間たちも、同じ先を目指している。


 先に越えなければならない。あいつらが来る前に。


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