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ヘビに転生した俺は、最弱ステータスからスキル補食と進化しながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん
目覚め

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第007話「マッピング」


 7日目。俺はダンジョンを攻略中だ。


 いや、正確に言うと「ダンジョンの中で生きている」だけであり、攻略しているわけではない。出口も目標も分からない。ただ毎日食って、戦って、少し強くなっている。


 ゲームで言えば、オープニングのチュートリアルを終えて最初のフィールドに出た直後の状態——どこへ行けばいいのか分からず、とりあえず北に向かっている段階だ。


 ちなみに北に向かっている理由は「昨日の蜘蛛の部屋の奥に通路があったから」だけであり、戦略的根拠は特にない。MMOプレイヤーとして言わせてもらえば「まず全部のエリアを踏んでからルートを決める」派なので、今は全力で未踏エリアを潰しにいっている。


   ◇ ◇ ◇


 蜘蛛の部屋——昨日倒した洞窟蜘蛛のいた空間——を通り抜けて、奥の通路に入った。


 通路は細いが、短かった。10メートルほど進むと、また空間が広がった。


 今度は、これまでより明らかに広い。


 俺の認識範囲(2メートル)では全体が掴めない。少しずつ進みながら熱感知で空間の輪郭を確かめた——左右に広がる、奥行きもある、天井が高い。池のある空間の倍以上の広さがある。苔の繁殖密度が高く、壁全体が緑がかっている。空気が湿っていて、水滴の音が複数方向から聞こえる。


 分岐している。


 通路が3方向に伸びている。東、北東、北西——大まかな方角はそれくらいだ。どれが主通路でどれが枝道なのか、今の俺には判断できない。


 頭の中に地図を描いた。


 池を起点にして、南の通路は来た方向、北の通路がここまでの道。そして今の三叉路。位置関係を整理しながら移動するのはRPGの基本だ——現実世界の俺には方向音痴の自覚があったが、蛇の体になってから振動感知と熱感知のおかげで空間把握能力が上がった気がする。


 とりあえず東から確認する。


   ◇ ◇ ◇


 東の通路は短くて、行き止まりだった。


 行き止まりの壁面に、岩トカゲが2匹いた。


 昨日の空間で見た個体より大きい——それぞれ体長25〜30センチある。岩の壁に張り付いて、苔を舐めている。俺が近づいても逃げなかった。縄張り意識があるのか、単に鈍いのか。


 食べるものが違う(岩トカゲは苔食い、俺は肉食)から争う必要はない——と昨日は判断したが、今日は別の考えが湧いた。


 これは経験値だ。


 倫理的な葛藤がないではないが、俺が蛇として転生した以上、食物連鎖の中で生きるしかない。岩トカゲは俺の食事になりうる相手だ。昨日は「競合しないなら共存」と判断したが、より大きな視点で言えば「強くなるためには使える経験値源は全部使う」が正解だ。


 2匹同時は難しい——1匹倒している間にもう1匹に逃げられる可能性がある。


 片方をまず狙った。壁に張り付いている岩トカゲの後方に回り込んで、尻尾側から——壁と地面の境目に噛みついた。岩トカゲが跳ねた。もう1匹が動いた——逃走ではなく、俺の方向に来た。縄張りを守ろうとしているのか、それとも仲間を助けようとしているのか。


 どちらでもいい。


 噛んだまま引きずって、岩から引き剥がした。岩トカゲが地面に落ちた。尻尾で脱走を防ぎながら、毒を追加で流し込んだ。


 もう1匹が体に乗り上げてきた——噛みかかってきた。腹に牙が刺さった。HP-6。


 それでも最初の1匹を離さなかった。


 1匹目が動かなくなった。すぐに2匹目に向き直した。2匹目は俺が向き直すと一歩引いた——さっきまでの攻撃的な動きが、仲間が倒れた瞬間に消えた。


 追いかけて噛んだ。2匹目は逃走に切り替えていたせいで、1匹目より抵抗が少なかった。壁まで逃げる前に捕まえて、毒を流した。


 2匹目が止まった。


   ◇ ◇ ◇


 2匹食べて、通知を確認した。


『Lv11になりました』


 HPとMPが全回復した。レベルが上がるたびに回復するのは本当に助かる。設計者に感謝したい。


 進化も確認した。48%になっていた。2匹倒して3%の増加——岩トカゲは水生甲虫や百足より単価が高いらしい。


 三叉路に戻って、次は北東の通路に向かった。


 北東は長かった。50メートル以上ある。途中で2回曲がって、また広い空間に出た。空間は小さめで、中央に浅い水たまりがある。


 百足がいた。体長20センチほどの、これまで何度も狩ってきたサイズだ。1匹ではなく、3匹。水たまりの縁に集まって、水を飲んでいた。


 3匹同時か——と考えた。


 1対1なら問題ない。2対1は難しい。3対1は——試したことがない。


 一番離れた位置にいる1匹を先に狙った。他の2匹から遠い個体。素早く噛んで離れる——素早く離れることが重要だ。百足は複数で固まると連携して挟み込んでくる可能性がある。


 1匹目に噛んで離れた。


 案の定、他の2匹が反応した——しかし水を飲んでいた場所から離れたくないのか、2匹とも俺を追いかけてくるより、俺が戻ってくるのを待つような動きをした。


 待ち構え型か。


 それなら逆に好都合だ。俺が先に動いて相手を引き出せば、1対1の状況を作れる。少し距離を置いて、1匹に向かって突進した。向こうが反応して飛び出してきた——その瞬間に俺が横に逃げて、相手がオーバーランした直後を噛む。


 2匹目が止まった。


 3匹目はすでに毒が回り始めていた最初の1匹だ——ほぼ動けなくなっていた。近づいて仕留めた。


 3匹倒して、食べた。


 進化が52%になった。


   ◇ ◇ ◇


 最後に北西の通路に向かった。


 10メートルほど進んだところで、止まった。


 振動感知が大きな振動を拾った。


 地面を伝わってくる振動のパターンが——今まで感じたどの生き物とも違う。周期が遅い。1ステップが長い。重い。


 大きい、と判断した。


 熱感知で前方を確認した——通路の先、少なくとも10メートル以上離れた場所に、大きな熱源がある。輪郭が複雑で、体の形が蛇でもトカゲでも蜘蛛でもない。多脚——脚が多い。体長が、少なくとも俺の5倍以上はある。


 百足だ。でも今まで見てきた20センチの百足ではない。


 でかい。


 RPG的に言えば、あれはどう見ても「中ボス以上」のオーラを放っている。1メートルを優に超えているはずだ。体が隣の岩を圧迫しているような圧を感じる。


 俺は体をゆっくりと北西の通路から引いた。


 急がずに、音を立てずに、振動を最小限にしながら、1メートル、2メートル、3メートルと後退した。向こうは——動きを止めた。気づいたのか、気づいていないのか判断できない。振動感知が大型熱源の動きを追い続けた。


 10メートル後退したところで、向こうが動いた。


 俺の方向ではなく、別の方向へ——こちらには来ていない。


 三叉路まで一気に引いた。


   ◇ ◇ ◇


 池に戻りながら、今日の情報を整理した。


 東の行き止まりに岩トカゲ2匹(倒した)。北東の空間に百足3匹(倒した)。北西の通路の先に、大型百足(未戦・撤退)。


 あの大型は——問題だ。


 体長1メートル以上の百足が、この北側エリアのどこかを縄張りにしている。東でも北東でもなく、北西の通路の先にいた。でも縄張りの範囲がどこまでかは分からない。東や北東にも踏み込んでくる可能性はある。


 今日は正しい判断をした——あのサイズの相手に、今の俺がどこまでやれるかの見当がついていない状態で突っ込むのは無謀だ。


 「ボスの縄張りが分かった。今日はここまで」という判断だ。ボスの部屋の扉を確認して、装備を整えてから来ることにした段階だ。


 問題は「装備を整える」に相当する行為が、この世界では「レベルを上げる」と「戦い方を磨く」しかないことだが。


 まあ、やることは変わらない。


 池に戻って、水生甲虫を2匹食べた。進化が55%になった。


 着々と積み上がっている。



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