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最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


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第063話「飽和」

 狩りのルーティンが完成した。


 朝、亀裂の拠点を出る。反響定位で通路を読み、壁面を這って狩り場に向かう。ロッククローラーには反響撃で石殻の内側を共鳴させてから外殻粉砕で割る。クラックリザードには毒霧を当てて壁面から落とす。ストーンワームは反響定位で壁中を追い、出現直後に締め付ける。


 6日間で、ロッククローラーを3体、クラックリザードを5体、ストーンワームを4体食った。


 5日目の夜、通知が来た。


『レベルが上がりました Lv10 → Lv11』


 全回復。この層に来てから、レベルアップの全回復が唯一の完全な休息になっている。進化率は92パーセント。あと少し。


   ◇ ◇ ◇


(68日目)


 拠点から南西の通路を這った。ここ数日入っていなかった区画だ。反響定位を飛ばすと、通路の先に硬い反応が2つ。丸い輪郭。石殻。


 ロッククローラーが2体、並んでいる。


 通路の幅は俺の体長の2倍ほど。2体が横に並ぶとほぼ塞がる。正面から行けば、両方の反響撃を同時に受ける。


 1体ずつ釣り出すか。いや、この通路は直線だ。片方だけを引き離す地形がない。


 反響撃を試す。


 壁面から1体目に向けて反響撃Lv1を放った。音波が石殻に当たり、殻の内側で共鳴する。1体目が衝撃で身を縮めた。


 ———跳ねた。


 1体目の石殻から漏れた音波が、隣の2体目の石殻に当たった。2体目の殻の中でも共鳴が起きている。


 石殻が2つ並んでいると、音が殻と殻の間を往復する。狭い通路の壁面にも反射して、音圧が重なっていく。


 もう1発。


 2発目の反響撃を1体目に当てた。1体目の殻で増幅された音が2体目に跳ね、2体目からまた1体目に返る。通路全体が低い振動で鳴った。2体とも動きが止まっている。


 壁面を走って頭上に出た。1体目の石殻の亀裂に外殻粉砕Lv2を叩き込んだ。反響撃で内側から痛めつけられていた殻が、大きく裂けた。中身が露出する。毒牙を突き込んだ。7秒。


 2体目が回復しかけた。岩砕きの体勢に入ろうとしている。距離を取って、もう1発反響撃を当てた。1体だけの石殻でも共鳴は起きる。だが、さっきの連鎖ほどの威力はない。


 壁走りで回り込んだ。2体目が岩砕きを壁面に叩き込んだ。壁が砕けた。だが俺は既に反対側に移動している。


 天井から反響撃。石殻の頂部に音波が入り、殻内で上下に反射する。2体目の動きが再び鈍った。外殻粉砕で亀裂を広げ、毒牙を通した。9秒。


 2体とも食った。


『レベルが上がりました Lv11 → Lv12』


 全回復。体の中で何かが満ちていく感覚がある。レベルアップの全回復とは違う。もっと奥の方で、何かが飽和している。


――――――――――――――――――――

種族:沼喰大蛇

Lv:12

HP:124 / MP:39

攻撃力:58 / 防御力:88

素早さ:31 / 知力:32

【スキル】

 捕食継承 Lv1 / 毒牙 Lv3 / 締め付け Lv2

 鱗硬化 Lv2 / 壁走り Lv3 / 振動感知 Lv3

 熱感知 Lv2 / 外殻粉砕 Lv2 / 毒液圧縮 Lv1

 酸耐性 Lv1 / 粘着無効 Lv1 / 毒霧 Lv1

 鱗弾き Lv1 / 急旋回 Lv1 / 嗅覚強化 Lv1

 反響定位 Lv2 / 鑑定 Lv2 / 反響撃 Lv1

次の進化まで:100%

――――――――――――――――――――


 防御力88。この体で出せる数字としては、もう十分だ。問題はMPの39。ずっと見えてた。ずっと触れなかった。12回レベルを上げて、3回進化して、一度もだ。いい加減使わせてくれよ。


 通知が来た。


『進化条件を満たしました』

『進化先を選択してください』


 視界に、2つの選択肢が浮かんだ。


『岩鎧大蛇——物理防御特化。石殻の要素を取り込み、防御力と耐久力がさらに上昇する。素早さは低下』

『魔蛇——魔力覚醒型。魔力操作スキルを獲得し、既存スキルに魔力を付与できるようになる。物理防御は低下』


 岩鎧大蛇。この層に適応する進化だ。石殻Lv3すら砕けない防御力を手に入れられるかもしれない。今の路線の延長。


 魔蛇。物理防御が落ちる。この層で防御を捨てるのは自殺行為に見える。だが、魔力操作スキル。ステータスにずっと載っていて一度も使えなかったMPが、もし使えるようになるなら。


 あの竜骨のことを考えた。石化しかけた太古の遺骸。外殻粉砕では届かなかった硬さ。物理で届かないなら、別のアプローチがいる。


 理屈はそうだ。ただ、食いたいだけなんだが。


 選んだ。


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