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最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


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第046話「隣人」

 岩棚の上に人間がいる。昨日、帰路で捉えた3つの熱源。あの3人組が戻ってきた。


 主の巡回通過を確認し、泥底へ降りた。岩棚の上には行かない。人間の行動範囲と重なる。泥底を這って南東へ向かう。岩棚の上は人間に、泥底は俺に。住み分けができるなら、狩りは続けられる。


 泥底を進んでいると、振動感知に反応があった。泥は振動を吸うが、距離が近ければ拾える。10メートル先。泥の中から長い影が這い出してきた。節のある胴体。鉤爪の列。


――――――――――――――――――――

種族:アッシュペデス

Lv:5

【スキル】

 泥這い Lv2 / 鉤爪連撃 Lv2 / 酸液 Lv1

――――――――――――――――――――


 俺が沼底百足と呼んでいた種。鉤爪連撃——複数の脚から連続で鉤爪を叩き込むスキル。酸液は初めて見る。Lv5の個体にはこのスキルがあるらしい。


 仕掛ける。だが一つ、条件がある。


 岩棚の上に人間がいる。派手に暴れれば振動が伝わる。降りてくるかどうかは分からない。確かめたくもない。


 静かに殺す。


 アッシュペデスの前方に回った。百足の弱点は頭部だ。胴体は節ごとに独立して動くが、頭を潰せば全身が止まる。


 距離を詰めた。アッシュペデスの頭部が持ち上がった。鉤爪が2対、同時に振り下ろされた。鉤爪連撃。連続ではなく、複数が同時に来る。急旋回で外した。一対は空を切り、一対が泥を抉った。


 外殻粉砕は使えない。衝撃が岩棚に響く。毒牙も、暴れさせる時間が長くなる。


 締め付けで仕留める。


 百足の胴体に巻きついた。頭部から三節目までを締め付けLv2で巻く。沼喰大蛇の体重を乗せて、暴れを封じる。鉤爪が俺の体を引っ掻いた。鱗硬化で弾く。防御61。通らない。


 残った胴体がまだ動いている。尾端の節が持ち上がり、先端から液体が飛んだ。酸液。鱗に当たった。酸耐性Lv1が反応する。皮膚への浸食は止まったが、鱗の表面がわずかに白濁した。


 頭部を巻いた圧を、さらに絞った。百足の殻が外殻粉砕なしでも、締め付けの圧で軋む。蟲の関節は横からの圧に弱い。節と節の隙間が広がり、体液が滲んだ。


 10秒。頭部から三節までの殻が歪み、鉤爪の動きが止まった。15秒で胴体全体が弛緩した。音は立てていない。


 食った。


   ◇ ◇ ◇


 食い終わった直後、岩棚の上で動きがあった。


 熱感知に、一つの熱源が岩棚の端に近づいてくるのが映った。人間が、泥底を覗き込もうとしている。


 体を泥底に伏せた。鱗の色は灰褐色。泥に近い。動かなければ、この距離で気づかれる確率は低い。


 人間が岩棚の端に立った。2本の足。直立。振動感知には軽い靴底の圧が届く。金属を持っている。


 鑑定が起動した。


――――――――――――――――――――

種族:ヒューマン

Lv:12

【スキル】

 剣撃 Lv3 / 盾防御 Lv2 / 体力強化 Lv1

――――――――――――――――――――


 人間にも、レベルとスキルがある。


 Lv12。剣撃Lv3。今の俺はLv3。見つかれば、さっきの百足戦とは全く別の話になる。


 人間が泥底を数秒見下ろしていた。それから岩棚の奥へ戻っていった。足音が遠ざかる。仲間のところへ戻ったらしい。


 息を吐いた。止めていた30秒が長かった。


 泥底に伏せたまま、情報を整理した。鑑定は人間にも有効だ。レベルもスキルも見える。あの死んだ冒険者を食って得た技が、生きている冒険者の情報を読み取れる。あと2人。全員の情報を取りたいが、今日はこれ以上この区間にいるべきではない。


 泥底を這って拠点方向へ戻った。岩棚の上からは見えない経路を選んで。


 拠点の手前で、岩棚の上から音が降ってきた。金属が触れ合う音。何かを組み立てている音。声。意味の分からない言葉が断続的に響いている。


 通過しているのではない。あの3人は、ここに留まるつもりだ。


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