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ヘビに転生した俺は、最弱ステータスからスキル補食と進化しながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん
目覚め

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第015話「右の奥」


 15日目。


 朝の狩りを済ませてから、頭の中でリストを作った。


 今の俺が狩れる場所と獲物:北東エリアの百足・岩トカゲ・蜘蛛、東隙間のネズミ、左奥のイモリ。以上。


 全部の場所で、今の60センチの体は支配的だ。圧倒的に優位だ。——敵が逃げるか、逃げずにいてもワンサイドになる。


 快適すぎて、怖い。


 「快適すぎる」状態が続くと成長が止まる。これはRPGの基本知識だ。適切な難易度の敵を倒し続けることで経験値が積み上がる。弱い敵を百匹倒しても、同じ時間で強い敵を一匹倒した方が効率がいい場合がある。


 だとすれば——今の俺が次に向かう場所は、まだ手をつけていないところだ。


 東の隙間を抜けた先の右のルート、その奥。大型の岩トカゲを倒した空間のさらに先だ。あの時は「今日はここまで」と引き返したが、通路が続いていたのは確認した。


 今日こそ、その先を見る。


   ◇ ◇ ◇


 東の隙間を抜けるのに4分かかった。


 昨日5分だったのが4分になった。体の角度の最適解を少しずつ掴んできている。完全に慣れるまでもう数日かかりそうだが、通れることには違いない。


 大型岩トカゲを倒した空間——今は別の個体が来ていた。同じくらいのサイズ、40センチ程度。岩の上で苔を舐めている。


 そのまま通り過ぎた。


 今日の目的は奥の探索だ。この個体は帰りに相手にすればいい。強敵でもなんでもないが、無駄に消耗してから未知のエリアに進む必要もない。


 大型岩トカゲの背後を通り過ぎた。向こうが俺の気配に気づいて体を固めた。俺は止まらなかった。大型岩トカゲが、俺のサイズを見て判断したのか——攻撃してこなかった。体長差が2対3だ。向こうも「勝てる相手じゃない」と判断したのかもしれない。


 通路の奥へ進んだ。


   ◇ ◇ ◇


 大型岩トカゲの空間から続く通路は、右に大きく折れていた。


 30メートルほど進むと、広い空間に出た。


 これまでで一番広い場所だ。池の2倍はある。天井が高く、複数の水脈が合流しているのか、床に水が集まって本物の浅い川のようになっている。幅1メートルほどの水の流れが空間の中央を横切っていた。


 苔が壁一面を覆っている。発光する苔の量が今まで見てきたどこよりも多く、空間全体が青白い光で照らされていた。暗いダンジョンの中で、ここだけが少し明るい。


 生き物がいた。


 複数。


 振動感知と熱感知を組み合わせて確認した——大型の岩トカゲが3匹。それぞれ40〜50センチ。1匹は水の流れの縁で水を飲んでいる。1匹は壁の高い位置の苔を舐めている。もう1匹は空間の中央で静止している。


 それだけではない。


 熱感知の端に、もう一つ反応がある。岩の陰に隠れて見えないが——かなり大きい。体長50センチ以上はあるだろうか。形状が岩トカゲと違う。


 蜘蛛だ。


 岩の陰に巣を張っている大型の洞窟蜘蛛。これまで会ってきた30センチ前後の個体より明らかに大きい。俺と同じか、少し小さいくらいのサイズだ。


 3匹の岩トカゲと1匹の大型蜘蛛。


 4対1か。


   ◇ ◇ ◇


 正面から全員を相手にするのは悪手だ。数が多い。そして岩トカゲと蜘蛛は種類が違う——岩トカゲが動けば蜘蛛が反応するかもしれないし、しないかもしれない。先に蜘蛛を確認するべきだ。


 空間の入口で止まった。岩の陰の大型蜘蛛を観察した。


 動いていない。巣を張った場所から出てくる気配がない。待ち伏せ型か——こちらが近づかない限りは動かないタイプかもしれない。昨日まで戦ってきた30センチの蜘蛛も、壁に張り付いてから動きが変わった。蜘蛛は基本的に「相手が近づくまで待つ」スタイルだ。


 だとすれば、岩トカゲを先に処理できる。


 水を飲んでいる岩トカゲを最初の標的にした。川の縁にいて、壁からも岩からも遠い。逃げ場が少ない。


 速度を上げて近づいた。岩トカゲが顔を上げた——気づいた瞬間に噛みついた。首の付け根。毒牙Lv3を流した。岩トカゲが暴れた。体を巻き付けた——締め付けLv1。


 力を入れた。


 岩トカゲの抵抗が弱くなった。毒と締め付けが同時に入っていると、相乗効果があるらしい。呼吸を圧迫されながら毒も回っていれば、動きが止まるのが速い。1分かからなかった。


 食べるのは後にした。今は戦闘中だ。


 他の2匹が反応していた。


 壁にいた岩トカゲが降りてきた——仲間がやられたと判断したか、縄張りへの侵入者として反応したか。中央にいた岩トカゲも向き直った。


 2対1になった。


 こちらの方が体長が長い。岩トカゲの40センチに対して60センチ。ただし2対1の数の差がある。


 片方に集中して速攻で仕留めることにした。壁から降りてきた個体——こちらの方が動きが速く、先に攻撃してくる可能性が高い。先手を打つ。


 突進して噛みついた。首の付け根、同じ場所。毒を流した。岩トカゲが噛み返してきた——頭に当たった。HP-9。


 想定内だ。離れずに締め付けた。もう一匹が横から噛みかかってきた——HP-8。


 2匹同時に相手にしながら締め付けていると、巻き付いている岩トカゲの抵抗が弱くなってきた。もう1匹の攻撃が続いている——HP-5。合計22のダメージ。残りHP8割くらいだ。大きくはないが、無視できる量でもない。


 締め付けている岩トカゲが止まった。もう1匹に向き直った。


 毒を使うか、締め付けるか。


 今度は毒だけにした。体への締め付けダメージを避けたかった。素早く噛んで離れた。岩トカゲが追ってきた——追いかけっこになったが、俺の素早さが上だ。壁際まで追い詰めて、もう一度噛んだ。毒を追加で流した。90秒で止まった。


 2匹、仕留めた。


   ◇ ◇ ◇


 大型蜘蛛が動いた。


 岩の陰から出てきた。糸が空間に展開し始めている——岩トカゲの戦闘の振動を感知して、状況を把握しようとしているのか。あるいは獲物が倒れていることに反応したか。


 俺を見た。


 俺も見た。互いに観察した。


 大型蜘蛛の体長は——俺より少し短い、50センチ前後。ただし脚を含めた全幅は俺の幅より圧倒的に広い。8本脚が大きく広がっている。


 今の俺のHPは、22のダメージを受けている。回復していない。戦うのは悪くない選択ではないが——糸の管理が面倒だ。


 大型蜘蛛が糸を飛ばしてきた。


 横に転がった。糸が空を切った。


 次の硬直が来た——糸を飛ばした直後の一瞬の隙。前に進んで、腹側に噛みついた。毒を流した。


 蜘蛛が暴れた。脚が体に絡んだ——HP-12。でかい個体は攻撃力も高い。離れた。


 距離を置いて待った。


 3分後、蜘蛛の脚の動きが鈍くなった。4分後、止まった。


   ◇ ◇ ◇


 全部で4匹、仕留めた。岩トカゲ3匹と大型蜘蛛1匹。


 食べながら、今日の戦闘を振り返った。


 大型蜘蛛——30センチの蜘蛛より脚の力が桁違いだった。HP-12という1発は、これまでの最高ダメージに近い。体が大きくなった分、相手も大きくなってきている。ちょうど均衡が取れている感じがする。


 あと、2対1の状況での締め付けと毒の同時使用——これは有効だった。1匹を完全に拘束している間、もう1匹の攻撃を受け続けるのはリスクだが、拘束した側を早く仕留めれば1対1に持ち込める。


 「締め付けは拘束時間の短縮になる」というのが今日の発見だ。毒だけより速い。毒だけなら2〜3分待つ必要があるが、締め付けを加えると1分を切れる。時間短縮は連続戦闘での消耗を減らす。


 通知が来た。


『Lv6になりました』


 HPとMPが全回復した。一気に6まで上がった。3からのジャンプだ。大型の獲物を複数倒した結果か。


 さらに通知が来た。


『締め付けがLv2になりました』


 今日だけで2つ上がった。いい日だ。


――――――――――――――――――――

【ステータス】

種族:若蛇

レベル:6

HP:26/26 MP:13/13

攻撃力:15 防御力:13 素早さ:18 知力:13

魔力適性:なし


【スキル】

熱感知 Lv1、毒牙 Lv3、振動感知 Lv2、締め付け Lv2


認識範囲:2m

次の進化まで:22%

――――――――――――――――――――


 池に戻る道、入口の大型岩トカゲを追加で仕留めた。帰りに余力があれば、と思っていたやつだ。締め付けと毒で50秒。速い。


 22%。


 まだ先は長いが、今日は想定以上の収穫だった。新しい広い空間を見つけた。大型の蜘蛛がいた。戦えた。締め付けがLv2になった。


 あの広い空間——右奥のあの空間には、また明日も来る。岩トカゲが3匹いたということは、また補充される可能性がある。定期的な狩り場として使えるかもしれない。


 そして。


 あの空間の奥に、まだ通路が続いていた。


 今日は確認できなかったが、あそこがどこに繋がっているのか——次に来た時に確かめる。



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