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戦後処理官(英雄の後始末をしていただけの男)をリストラした王国、なぜか勝利の代償を払う  作者: 鷹宮ロイド


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第100話 何も起きない日

 朝。


 観測室の光が、ゆっくりと立ち上がる。


---


 リュカは、いつもの席に座る。


 端末を起動する。


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 表示されるのは、いつも通りの光点。


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 小さな揺れが、いくつか。


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「おはよう」


 隣から声。


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 エマが立っている。


---


「おはようございます」


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 短い会話。


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 特別なことはない。


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 ミラも入ってくる。


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「状況は?」


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「安定」


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 それで通じる。


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 リュカは画面を見る。


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 北方、小規模揺れ。


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「再評価開始」


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 手は自然に動く。


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 数値を見る。


 波形を見る。


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「見送り」


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 短い判断。


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 波形は収束する。


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 誰も驚かない。


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 西部、小規模揺れ。


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「再評価」


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 同じ流れ。


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「見送り」


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 収束。


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 南方、小規模揺れ。


---


「再評価」


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 少しだけ考える。


---


「限定介入」


---


 数分後。


---


 収束。


---


 被害ゼロ。


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 エマが言う。


---


「いい判断」


---


 リュカは頷く。


---


 特別ではない。


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 だが、間違ってもいない。


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 観測室は、静かだ。


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 誰も騒がない。


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 大きな達成もない。


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 ただ、続いている。


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 ミラが記録を確認する。


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「問題なし」


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 短い言葉。


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 それで十分。


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 外では、都市が動いている。


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 人々は何も知らない。


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 危機があったことも、


 誰かが選んだことも。


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 だが、それでいい。


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 リュカは、画面を見つめる。


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 小さな光点。


 次の揺れ。


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 迷いは、ある。


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 だが、止まらない。


---


 それでいい。


---


 エマは、静かに外を見る。


---


 アレインの姿は、ここにはない。


---


 だが、必要もない。


---


 制度は動いている。


---


 思想は残っている。


---


 誰か一人のものではなくなった。


---


 だから、続く。


---


 その日も、


 世界では何も起きなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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