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異世界出張でアフターケアとかなんですか?  作者: 概念ならまだしも実在するわけねーじゃん
5.精霊と神殿

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武器、というか必殺技は決まった。

これもしかして火も風も当たったら死ぬんじゃね? とか思ったけど、ブルーベリーは土の精霊のみロックオンしているみたいだったから気付かないふりをしておた。時には語らないことが優しさになることもある。


「そんで、土の精霊をどうやっておびき出す?」


「出不精だからな、川べりに連れてくのは骨が折れるぞ」


「私の時と同じようにすれば良いじゃない」


「土のは単純じゃないよー。馬鹿にしたくらいじゃ鼻で笑われて終わるって」


時々毒を吐くソラマメ氏だが、その人物鑑定力はお墨付きだ。

そう言うならそうなんだろう。

じゃあ、次はどうするかって話になる。


んー。

そうだよなぁ。土の精霊だけを目の敵にしているっていうのなら、伝えても問題ないだろう。

そもそも、圧縮作戦自体は物量作戦の側面を持ってる。こんなの資本がなきゃやってらんない。しかし川に行けない。つまり水源がない。

ならば、作ってしまえば良いだけだ。


「風の精霊様、周辺の空気を全てここまで運んで来てください」


「えー? なんで?」


「集めたらわかります。火の精霊様は冷却して下さい」


「うん? まあ、お前が言うなら」


懐疑的ではあるが、こちらの言うことに従ってくれる。

作戦成功の経験が生きたかな。少なくとも、私に協力すれば損にはならないと刷り込みする事に対しての。

ということで、数分後には足下に水たまりができあがっていた。雨上がりの苔庭って感じかな、苔生した岩場の窪みにじんわりと透明な膜が浮かび上がっている。ああ、祇王寺の苔庭見に行きたい。

量は、さっきの水の椅子の三倍程度か。浸透してしまったから目には見えないが、なんとかして絞りだそう。


「水が……現れたわ……」


そして何やら驚いている水の精霊。

いつの間にか目線が同じ高さになっている。

っていうか近い。なんで隣に来た?


「ほへー、ふっしぎー!」


釣られるように、風の精霊もやってくる。


「何もないところから出てきたな」


火の精霊もやってきた。

普通に考えて、これだけジメジメしてたら、かき集めりゃそれなりの量になるって分かりそうなもんなんだけどな。

木の中にも水の管が通っているはずなので、さらにそこから徴収すれば量は増える、はず。

なんなら、火の精霊の能力で地中から水を引っ張ってこれる。水の精霊は水源を感知できるだろうし、風の精霊は振動を覚えたら採掘に使えそうだし。

まあ、掘るのであれば土の精霊の協力があればもっと簡単だろう。


やっぱり、四属性で反発し合うと考えるより利用し合った方が色々できるよなぁ。

などと考えていたら。


「ふぎゃ!?」


「へっ」


「石つぶて?!」


「散開! 敵襲だ!!」


ソラマメが悲鳴を上げて水たまりに突っ伏した。

原因は後頭部を直撃した小石。つまり、土の精霊が近くに居ると考えた方が良い。

そりゃそうか! ターゲットがこれだけ集まってるんだ、襲いにもくるか!

人数の劣勢を奇襲で補完する、悪くない戦術だ。というか、そういう腹づもりでやってるなら土の精霊はこの三人よりも明晰だ。真ジャガぁ……!


「貴方の相手は私ですわ! 姿を現しなさい、土くれジジイ!!」


叫んだブルーベリーの足下の土が盛り上がる。

バランスを崩した水の精霊が、周囲の水を操ったのか空中に飛び上がる。風の精霊がよく飛んでいる高さだ。

彼女がバタバタと手を振って空中を泳ごうとしている。いや、この世界も重力があるから無駄な動きなんだけど……と思っていたら、四方八方から糸のようなモノが彼女の足下に伸びてきて、足場を作り上げた。

ピンチに陥って覚醒でもしたのか、それこそ空中から、地面から、木々から水分を徴発している。まさかの主人公体質かよぉ。


「んあー、なんだおめー、空飛べたで?」


「ふん、私がいつまでも貴方達と同じレベルな訳ないじゃない」


「てっ」


いずこかのちょっとのんびりした方言口調とは裏腹に、風よりも速い速度で石つぶてが水の精霊の足場を形作る水の糸目がけて射出される。

彼女がどうやって体勢を立て直したのかちゃんと見てたんだろう。さすがに自由自在に動けるわけじゃないらしく、石ころは全ての糸へと的中。

しかし、ブルーベリーは別の場所から新しい水源を伸ばし、その糸を頼りに移動を開始した。


そうなれば戦い方も変わってくる。空間のどこからでも水を引っ張ってこれ、かつ移動にも使えるのだから、それこそ風のと同じように空中を縦横無尽に動き始めた。

足場がないと落下してしまう事と、はじめたばかりで動きがぎこちない事を除けば、完全にソラマメ氏のお株を奪ったことになる。コイツは予想外だぜ。目を覚ましたソラマメ氏が絶望する顔を想像して思わずにんまりしてしまった。


「ぬう、厄介だで……風のを眠らせたに」


眠らせたっつーか、後頭部一撃とか脳みそつまってたら結構危ないことしてたけど。

いや別に風の精霊が頭スッカラカンとか言ってるわけじゃなくてね?

というか、やはり、土の精霊にとっては空が弱点のようだ。投擲なんてしてるくらいだから対応策はあるみたいだけど。


「んなら、こうずれ!」


「速射……連射! 大砲!」


広範囲速射攻撃とは!

水の精霊が居る方に向かって、岩をいくつも投げ飛ばす。やはり物量がものを言うなぁ!

でも、そんなものじゃ威力が足りない。ここで水の精霊は初めて木の裏に移動することで難を逃れた。姿を見せてかわし続けることで意識をずらしていたのだろう。拙いが、それに相手がハマったので結果的に良策だ。


「んなっ……!?」


「ふん、食らいなさい!」


水の精霊の言葉に呼応するように、さっき作った水たまりから水弾が三つ飛び出した。うーん、やはり水流ビームの方が迫力あるし、次はそっちを見せて貰おう。

土の精霊は咄嗟に壁を形成、防御に回る。っていうか鈍色だ。マジで鉄かなんか生成してんのかよ。

これ、誰のアドバイスも無しにやってるとしたら土の精霊が一番強いのでは?


私が考える内に、水の弾は鉄板を貫通した。

ゆっくりと壁が降りていく。果たしてその向こうには、土手っ腹に三つの穴が開いた真ジャガが佇んでいたのだった。


……あれ?

もしかして、殺してたら依頼未達成じゃない……?


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