表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界出張でアフターケアとかなんですか?  作者: 概念ならまだしも実在するわけねーじゃん
5.精霊と神殿

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/311

水でできた高台から降りてこないブルーベリー氏。

まあ、ともかく勝負は決したんだろうと、火の精霊の所へ近付いていく。ヒノタケは、表情があったら満面の笑みでも浮かべていただろう機嫌の良さを雰囲気一つで表現しながらこちらを振り返った。


「さすが俺様の家来だ!」


「はいはい」


「プックク! あしらわれてるよ火の精霊!」


思わず感情のまま発言してしまったが、風の精霊のツボだったらしい。

ちょっと慌てたが、火の精霊が仕方ないと苦笑い調で頰を掻くような動作をしたから胸をなで下ろす。こいつが思った以上に大人で良かった。いや、大人が自分を俺様とか言うのか?


「下僕じゃないの! なんで火の精霊に味方してんのよ!!」


「いや、下僕じゃないです」


「俺様の家来だ」


「僕の弟子だよー」


「私の下僕よ!」


おう、モテ期か。

できるならもうちょっと尊んで貰いたい。


「それよりも、火の精霊様の勝ちですか?」


「ああ、鼻っ柱を折ってやったぜ!」


「ふん!」


いや、折れてはないかな。

見下せるようにか、高い位置をキープしてるし。


「ずるいわよ! 火が水に勝つなんてあり得ないわ!」


「だが、結果は出ただろう? これが事実、火は水にも勝る!」


「うっさいわね、川の側なら負けないわ! その緑のクソ坊主がいなけりゃ、こんな所に来たりしなかったんだから!」


「でも追ってきたでしょー? やっすい挑発に乗っちゃってさー、そーいうところがオバサンだよねー」


「こ、このチビ……!」


未だに挑発をやめない風の精霊パネェ。

作戦勝ちっちゃそうだけど、応用が利くかどうかが勝敗の分かれ目だった気がする。

火と水は反発するより協力した方が使い勝手が良いと思うんだけどな。分かり易く言えば、氷。夏場のかき氷の美味しさは異常。


「それよりも、アンタよ、アンタ! 下僕、何をしたの!!」


そしてここで話を振ってくるオバサンブルーベリー。その髪型どうにかならんのか。


「下僕じゃないですが、なんでしょうか」


「コイツらの味方するってどういう了見よ! それに……このお馬鹿さん達が私に勝つなんて、アンタが手引きしたわね?」


「ふふん、そうだよ! 僕の弟子はすごいんだから!」


「俺の家来は主上思いだからな!」


だから! 違う!

否定するのも面倒だから放っておくけど、何故コイツらはいつまでも私を目下に見てくるんだ。そういうオーラでも出てるのかな……。

それにしても、なんで君達のが得意そうなんだね?


「コイツらが言うなら信じてあげても良いわ。下僕、私を土の精霊に勝てるようにしなさい」


なんかまたよく分からんことを言われたんだけど。

うーん、今までの流れからすると、弱点属性に挑んでいく感じ? 水の弱点が土、ねえ? わからん、相性が良いとしか思えん。

ああ、だからか? 親和性が高いから、馴染んじゃって水としての操作ができなくなるのか。え、その程度の操作力しかないの? それでどうやって勝とうとしていたんだ。物量? 確かに、水源さえあれば焚き火なんて一瞬だもんなぁ。


しかし、質より量では土には勝てない。

言うなれば大陸対海って事でしょ? 地盤が違うわ。惑星の表面は海がほとんどかもしれないけど、土台は土の独壇場だもん。

規模が大きい話になったけど、結局はそういう事だ。この場所で川と地面ではどっちの方が表面積が多いかって置き換えたら分かり易い。


「勝てるかは分かりませんが、質を向上させたらいけるんじゃないかと」


「質?」


「そうですね、つまり……圧縮です」


水を自在に操れるなら、それこそ状態変化させて搦め手で動いた方が戦略の幅は拡がるんだけど……火の精霊にその説明をした手前、同じモノを伝えるのはまだ早い。

すぐに力関係の逆転をされては水の精霊が権勢を強めてしまう。

ということで、今まで通り、戦術面での優位性で適当にまとめてしまおう。


「水圧といいまして、こう、ぎゅっと絞るんです」


あ、でも説明が難しかった。

怪訝な雰囲気が伝わってくる。


「圧力をかけるんです! 水鉄砲です! 表面積は同じで質量を上げるんです、圧縮した水を打ち出すんです!」


わからん! 伝わっているのかすら怪しい!


「ぎゅぎゅってするのー? こうかなー?」


いや、なんで風の精霊がやってるんですか。

しかしグッジョブだ。落ち葉が渦巻く風に巻き込まれ、中心部に近付きながらくしゃくしゃに丸まっていく。

しばらくして疲れたのか飽きたのか、私達の手で持てるくらいの大きさになった枯れ葉がポトリと落ちてきた。

火の精霊がそれを持ち上げようとして驚いている。片手では無理だったようで、両手で挟み腰に力を入れて少しだけ浮き上がらせていた。


「これ、重いな。表面がツルツルしているし」


「それが圧縮です。無理矢理押し固めるので、小さいですが、巻き込まれた落ち葉の分だけ重いんです」


「……なるほどね」


理解したのか、足下の水をすんなり圧縮させると、水の精霊は近くの大木に向けて打ち出した。

水の弾丸は樹木を貫通し、空中で弾けてぼたぼたと落ちる。どんな威力だよ。


「これは良いわね、あの小汚いジジイの鉄板くらい楽勝で貫けるわ」


……土の精霊は死ぬかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ