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異世界出張でアフターケアとかなんですか?  作者: 概念ならまだしも実在するわけねーじゃん
5.精霊と神殿

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ということで、焚火のところにやってきた。

まずは遠くから見ようぜって言ったのにも関わらず、風の精霊は焚火のすぐそばまで進軍したから仕方ない。ついていくしかなかった。


「おーい、火の精霊ー、いるぅー?」


思わず、野球しようぜと叫びそうになったがぐっとこらえる。

しかしまあ、なんとも知人の家に訪問した時ような気軽さで声を掛けるものだ。風だったら奇襲するのが一番効率良いと思うんだけど、性格的に無理そうだ。

なお、今回伝えた初期戦術は適当の一言に尽きる。まずは近くまで行って、場合によっては話しかけようというのが第一歩目。戦闘になった場合はその時に指示を出すって言ったらあっさり了承された。

聞いたところの火の精霊の特徴が「熱い?」だけだったんだもん。思った通りだったけど疑問形なんだからさ、まずは様子見したいじゃん。させてくれなかったけど。

行き当たりばったりなんだよなぁ……まずその提案したからやるしかないんだけどさ。


「ああ? なんだ、風の精霊かよ。なんか用か」


「用がなかったら話しかけないよ?」


そりゃそうだ。

風の精霊の目の前に、火の精霊だろう、赤いデフォルメキャラが現れる。

頭部がヒノタケだ。毒キノコやんけ。


「で、何の用だよ」


特にイラついた様子もなく問いかけてくるヒノタケ。

それに対してソラマメは手を差し伸べる。おそらく、指さししての宣戦布告ってやつだろう。指がないからできないんだけど。


「しょぉーぶ! だ!」


「……勝負? 負けに来たのか、殊勝だな」


「で、作戦どうすればいい?」


お、おう。

風の精霊がマイペースだと改めて実感したところで、さてどうしようかと考える。

まあ、思った以上に火の精霊が温厚だったけど、やること自体は変わりない。

まずは様子見だよね。火を操るんだろうけれど、それがどこまでのレベルであるかによって対策が変わる。

というか、火って自然状態じゃ存在しないわけだし、本質的な部分で戦ってこられたら風じゃほとんどどうしようもないんだけど。まあ、水と土の精霊の練度を見る限りはそこまでの使い手じゃないだろう。

ということは、すべきことはただ一つ。


「焚火を消しましょう」


「おっけー!」


「!? ちょっとまて、それは卑怯だぞ!」


相手が動くより早く、強風を吹かせるソラマメ。

慌てて風の精霊と焚火の間に入り込む火の精霊。つまり、あっちが本体だった、ってことだな。

眼鏡を掛けた人間の眼鏡を守る動作に近い。あっちが本体だもん。


「く、くそっ! やめろ!」


「えー? 負けたって言えばやめてあげても良いよ?」


「ああ、負けた! 俺様の負けだ!」


判断が早い。

えー? こんな呆気なく勝敗が決まって良いの?


「やったー! 勝ったぞー!」


両手を上げ、ぶんぶん飛び回りながら喜ぶソラマメ氏。

やっぱ戦法的に卑怯だったろうか。いやしかし、有効であったことは間違いない。

そりゃさ、こんなジメジメした所での唯一の火種だよ? 火を操るんだとしたら、これが消えたらマズいじゃん。目に見えた弱点だよね。


「ねーねー、そんなに弱いって、だいじょーぶなの? 水とか土とか」


あ、そういえばそうか。

他の精霊が移動するかは分からないが、ヒノタケは焚き火のある場所でしか活動できないと判明したわけだ。定点活動である以上、襲われたらひとたまりもないはず。

しかしなんだ、自分のことを俺様と呼ぶようなやつと関わり合いになりたくねぇな。ちょっとしたトラウマがある。


「そりゃ、この火を操って撃退してるからな!」


ああ、なるほどね。


「ふーん、そんなにすごいの?」


「当たり前だろ。見てろよ!」


言うが早いか、焚き火に手をかざすヒノタケ。

毒キノコが暖をとっているようにしか見えない。

しかし、見た目とは裏腹に効果はバツグンのようで、焚き火が火の粉を散らしたと思ったら一気に膨張し、火の鳥というのだろうか、翼を広げた鳳凰、いやなんて言ったら良いか、猛々しくも美しい、猛禽類よりも強い渡り鳥のような、そんな姿を象る。

そいつが天空めがけて飛翔し枝葉の天井をぶち破ると、青空の中で一声鳴いて霧散した。当然、実際に声が聞こえたわけではないけれど。確かにその鳴き声に息が詰まった。


「きれー!」


「すごい……」


「へへっ、俺様の実力を思い知ったかよ」


まあ、確かにすごいが、花火としてみた方が良い。

なんつーか、派手だが実用性が乏しいというか。戦闘で使おうと思ったら隙があって大振りだから命中率低そうだ。

トドメの大技と見れば見栄えは良いんだけど、それだけかな。


「でも役に立たないね!」


そうだなぁ、君は私が遠慮して言わないでおくことをずけずけと仰るなぁ。

風の精霊が自由だって事は分かってる。

もうちょっと気遣いを覚えても良いんじゃないかと思う。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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