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久々にやってられんと思った。
見事にスパイスカレーを作った私であるが、ついでにソースも作成した。香辛料が無いとできない他のピリ辛フードもいくつか用意したし、下味用のスープやストック用の漬け床も作ってみた。
そしたらミハル君、これでコピーのレパートリー増えたって喜んでさ。よくよく聞いたら、オリジナルレシピと同じ材料があれば複製可能なんだってさ。つまりあれだ、錬金術ゲームにある、一回作ったら材料あればいくつでも作れるぜってやつらしい。
私が頑張って大量に作った意味よ。お前……そういう事は早く言ってくれない!?
「どうしたんだよラス、そんなに拗ねるなよ」
機嫌悪くもなるでしょうよ。
「コピーってもオリジナルが無いとできないんだしさ、ラスには本当感謝してるって! 料理が得意で助かったよ!」
まあ、そうだよね。
この子は悪くないよ、悪いのはそんな能力を与えたこの世界の神様だ。お前は許さない。
「それにリタだって上手そうに食ってただろ。お代わり十二杯もしてたしな」
そうだよね、気に入って貰えたみたいで何よりだった。
食い過ぎじゃねぇかと心配にはなったけど。慣れない香辛料で内臓が荒れてるんじゃないかと思ったけど翌日は朝から爽やかな顔してた。むしろ憑きものが取れたみたいな爽快さだった。逆に心配になった。
「それより食材どうする?」
今はミハル君と市場の端にいる。
下準備のためですね。ここでいろんなものを仕入れようって事なんだけど……うーん、いまいち物価が分からん。それにミハル君の所持金も。
チート能力者っていうと、とんでもない借金持ってるか金貨を蓄えてるかってイメージしかないんだけど、コイツはどっちだ。国から依頼されるって事は後者かな。
「ああ、金なら心配しなくて良いぞ。この通りを買い占めるくらいならできるからな」
じゃあそれでいいんじゃないか?
調理済みのものをボックスに入れておけば作る手間もないわけだし。腐らないんだから大量に持ってたって良いんだし。
という顔をしたんだが、渋られてしまった。
「使い方がわかんない食材も多くてさ……買ったって無駄になるだろ? それにアミが偏食だし」
意外と主婦的な考え方もしてた。
まあ、ある程度ならどんな料理にも応用できると思うし大丈夫だよ。食材以外が売られてたら知らんけど。
「ああそうか、じゃあ、片っ端から買い占めしてくか」
善し悪しはあるだろうし、私でも使い方は不明なものはあるからね。
それを避けていけば良いんじゃないかな。
「おっけ、わかった。じゃあラスの指示で購入してくな。交渉は任せておけよ」
ミハル君は私のステータスと表情から何が言いたいのかを読み取ってくれてるらしい。
スライムと会話できるとか、他の人から見たら幻聴聞こえてるとしか思えないよね。っていうかそんな頻繁に変わるのかよステータスって。進化じゃなくて今の気持ちを表すための表記変更かよ。
「おいラス、これはどうだ?」
愚痴ってる暇はないか。
ちゃちゃっと仕事を終わらせましょうかね。
ということで、三日間は市場通いで材料の購入を行った。
拠点では毎日これでもかと飯を作り、ミハル君のコピーレパートリーを増やし続けた。あとは水。これは国家認定商人と呼ばれる人を介してリタさんが樽を二百四十三個用意してくれたのでくめるだけくんでいくことにした。樽一個で一人分の一日の生活用水らしい。四で割った数の日数くらいはなんとかなるって事か。多いのでは。
あとは塩。砂漠の民と交渉するなら塩が良いらしい。ということで、岩塩二トン、海塩三十七トン、これらを武器に戦うことになった。この量って一体どこから精製されたものなのか……というどうやって手に入れたのか。日本の食用塩の年間消費量くらいはあるじゃねーの?
色々な準備が終わって拠点に集合した四人衆、プラス私。
荷物は全てボックスに入っているので見た目は軽装であるが、打てる手は全て打っている。
これで駄目なら諦めるしかないというくらいの装備だ。
スポンサーがついていると金に困らなくて良いね。その代わりに成果を出さないといけないけどね。提案したのは私かもしれないけど実行するのは人間であるこの四人だ。私は単なるスライムですし。悪いスライムじゃないよぷるぷる。
「そうだラス」
出発は明日にしようと話し合っている折に何故か呼ばれた。
タイミングがアレでビックリしてぷるぷるした。笑ってつつかれた。バレたわけじゃないらしい。
「帰ってきたら味噌と醤油作ってくれよ」
新手のプロポーズかと思ったわ。俺のために毎朝味噌汁を作ってくれないかっていう台詞の亜種かと。
けど、普通に考えて食材の製作だね。了解です。帰ったら味噌と醤油を作るよ。日本食は保存しやすいんだよな、これこそ先に作っておけば良かった。いやぁ失敗。
「じゃあ風呂にでも入って寝るかな」
「ではミハル様、お背中を流しいたしますわ」
「おー、って言うか! 一人で入るわ!」
「ラスちゃんはアミと入ろーね!」
待ってましたァ!!
嬉々としてアミちゃんの腕の中に飛び乗ろうとしたらミハル君に阻止された。
がっちり掴まれた。
くっ、自分が球体スライムであることが悔やまれる! べとべとの体型だったら!
「ラスは俺と入るんだよ」
「なっ……ミハル様! 私というものがありながらスライムとですってぇ!?」
「あー、聞いたことあるよぉ、だんしこーせーとしょくしゅスライム!」
ちょっと待ってどこで聞いてきた単語だそれ!?
こっちを変な目で見るなミハル君、私が伝えた言葉じゃないぞ!
むしろお前だよ! やらかしてるとしたらお前だよ!!
「なんだそれは? どこで聞いたんだ」
リタさん掘り下げないでください。
「んー……? まえね、家に来た商人さんが女の人から聞いたとかどうとか……?」
他にも転生者いるんかい!
毎回複数人確認できるんですけど異世界の神様とやらはちょっと誘拐事件起こしすぎじゃないですかね?
「い、いやとにかく! そういうのじゃないからな!」
「そーいうの? よくわかんないけどわかった! んじゃお風呂行ってくるねぇ」
爆弾落とすだけ落として去りよるわ。
これだから天然っ娘は、と思っていたらアミちゃんが転けた瞬間に体の一部が破裂した。だからタイミングよ!
「それでミハル様? 私よりラスを取るとはどういう事ですの?」
「え、いや、ただコイツが男ってだけで……」
「男が良いんですの!? なら私も今から男になりますわ!!」
「無茶言うな」
「はあ、おいミハル。ラスを寄越せ」
「んぇ?」
返事する前にリタさんが私をぶんどる。
力強いですわ。
「ラスなら風呂に入らずとも問題ないだろう。どうしてもというなら私が面倒を見る。それでいいだろう」
なるほど。
リタさんは見る限り胸はないが、アミちゃんみたいに大暴発はしないだろう。しっかりさんだしタワシも使わないはずだ。
全面的に否定なし。
ミハル君を見ればため息をついた。
「まあ、リタなら良いか……頼むな」
「承知した」
少し嬉しそうなリタさん。
わーい、今日から女騎士の従魔だ。ヘタレより楽しそうだな。
よろしくの意味で肩に飛び乗りばよばよすれば叩かれた。
「無駄に騒ぐな。大人しくしていろ」
この人はこの人で難儀なようです。
牛すじ肉のスープを作ってみました。
ちゃんとあくを取らないと駄目ですね。油がすごくて…
料理シーンを書くたびにレパートリー増えるんだろうか俺。
お読み頂きありがとうございます。




