2-32.イケメン ヨーク、ホストの才能。
結局、ケイシーは、マフィンを1個、供出することになった。
でもね、そのマフィン、 私のモノになったわけではない。 うーん。 納得いかない。 ただ、もう1個 ケイシーに出すように脅迫しても、絶対にイヤって、言い張って、出さなかったのだから 仕方ない。
1個を出させるだけでも、ケイシーは、不満気だったから 無理だろうなぁって 思ってたけれども・・・。
まぁ、ルナの提案が、あまりにも 合理的で、かつ、私たちにメリットが ありそうだったため、反対意見を言う隙が 無かったのだ。
「あああああ、私のマフィンが、4個に なっちゃったぁぁぁぁ。」
なにやら、窓際で、外に向かって 奇声をあげている 見知らぬ女がいるけれども、私は、半分の2個しかないんだから、無視!
あぁ、さもしいっ!
[風と水の魔法使い] 【 2-32.アメちゃんとナイちん 】
「あれ? ルナ、何してるの?」
ケイシーと 追いかけっこをしていると、ルナが、なにやら 作業を始めたのが 見えた。
「え? ほら、ナイチ先生に、1個 持っていこうかな? って。」
小さい紙箱をに、アーモンドのマフィンを 1個詰めながら、ルナが答える。 ……あっ、それ、考えてなかった。 お世話になってるんだから、そういうの、私が、やるべきだったかも。
「えー、ナイチ先生に、渡すくらいだったら、私に ちょうだいよっ。」
ケイシー、あなた、手に持っている 木箱の中に5個も 入ってるでしょ。 どれだけ、さもしいのよっ!
「あとね、アメリア先生にも、1個 持っていこうと思うんだけれど、こっちの箱に、赤のリボンでいいかな?」
「あっ、そっか。 あっちに 渡すなら、アメちゃんにも 渡しておかないと、ダメよね。」
アメちゃんって、ケイシーは、アメリア先生を 舐め過ぎだ・・・。 酸っぱくて、甘くなさそうな 飴だけれども。
「っていうか、ケイシーが1個、出しなさいよ。 アメリア先生に持って行く分。 一人だけ、5個も 持ってるんだからっ。」
「えー。 じゃぁ、ジェイコブの1個、減らそうかな?」
こらこら、自分の分からは、出さないんかいっ。 それにしても、ジェイコブ、悲惨だな。
「あぁ、ダメだっ。 この可愛い小箱は、同じデザインのが、もう無いんだよね? テープを剥がしちゃったら、箱が ダメになっちゃう。 うーん・・・ オリヴィアっ、1個、ちょうだいっ!」
「なんでよっ。 自分の出しなさいよ。 あっ、ルナは、出しちゃダメよ。 ケイシーは、5個 持ってるんだから。」
私と、ケイシーが、争っていると、ルナが、自分の木箱から もう1個マフィンを出そうとしていた。 うん。 さすがに それは、ダメ。 あっ、ルナの木箱も、私が、作ってあげてたのだ。 保存のペーパーを使って。
私に、じりっじりっと にじり寄られ、追い詰められたケイシーは、ジト目で、こちらを見ながら 小さな声で呟いた・・・。
「私の、マフィンなのに・・・ もぉ、1個だけだよ。」
しぶしぶ といった感じで、マフィンを1個差し出す。 あっ、なんにも入っていない、ノーマルプレーンマフィン。 ……チョコとか、アーモンドが入っているヤツじゃないんだ。 そこは譲れないみたいね。
こうして、用意できたのは、ナイチ先生用の 白い箱に緑のリボンのアーモンドマフィンの小箱と、アメリア先生のための 銀の箱に赤リボンの ノーマルプレーンフィンの箱っ。
「ん-と、ナイちんのは、ルナが、渡すんだよね?」
ナイちんって、誰よ。 初めて聞いたわっ。 そんなことを思っていたら、ルナが、恥ずかしそうに うなずいて 言う。
「うん。 ほら、『ヨハネ・ゲンフライ・グーテンの活版書店』っ。 また 街に出かけられる休日があったら、付き添ってくれるって、約束してくれたから、その お礼ね。」
あぁ、私だけじゃないか。 ナイチ先生にお世話になってる のって。 ルナも、結構、ご面倒をおかけ してるんだねぇ。
「でも、アメリア先生は、誰が渡すの? これも、ルナが行く?」
あぁ、アメリア先生かぁ・・・ 私は、行きたくないな。 あっ、ケイシーも嫌そう・・・ って、ルナ。
なんと、珍しく、ルナが、イヤそうな表情をした。 一瞬だけどね。
「うん。 私が、行くよっ。」
そうして、一瞬のうちに、その表情を 笑顔に変えるルナ。 こわいわぁ。 でもね、私もそうだけれども、ケイシーだって、そういうことには、敏感っ。 スグに気づいちゃうっ。
「ダメよ。 イヤなら、イヤって言わなきゃ。 今回は、もっといい人が居るから、大丈夫っ。」
ちょっと待って、私、イヤよ。 絶対、私に振る気よね? 自分の意思が、きちんとケイシーに伝わるように、『絶対にイヤ!』の表情を作って、ケイシーの顔を見る。
「ちょっと、オリヴィア、警戒し過ぎっ。 違うわよっ。 あのね、こういう時の ヨークでしょ? お気に入りなんだから、ヨークが持っていけば、アメちゃんなんて、イチコロよ。」
アメちゃん イチコロ? 何? ケイシーは、何を 求めてるのかしら? まぁ、適材適所。 仕方ない。 持ち主として、私のヨークの 貸し出しを 認めましょう。
「ヨーク、押し付けて、怒らないかな?」
ルナが、心配そうな声を あげる。
「大丈夫だって。 オリヴィア、いけるよね?」
「うん、いいよー。 貸し出し 認めるっ。」
「はいっ、けってーい。 安心して ルナッ。 まぁ、ヨークなら、ホストの才能も 有りそうだから、大丈夫よ。 おバァちゃんを 手の平で、コロコロなんて、簡単に出来るはずっ。」
ケイシー・・・ 言いすぎっ。 ルナは、どう答えていいか分からずに、、目を白黒させオロオロしている。
「じゃぁ、調理実習室を 借りていられる時間も、そろそろだし、このお部屋を片づけて、カギを閉めましょ。 職員室に 帰せばいいんだよね? カギって。」
「うん。 午前中の予定で借りてるから、まだ、十分に 時間は あるよ。」
と、いうことで、ちょっぴり ひろがってしまい、ちょっぴり白い粉が散らばってしまった 調理実習室を 3人で お片付け。 そうして、オーブン前の 白い粉の拭き掃除・・・ ちょっぴり 大変。
「じゃぁ、返すのは、2人でやるよ。 ルナは、準備してくれたんだものね。 この台車も、職員室でいいのよね?」
「あっ、いいのに。一応、全部、職員室に返すことになってるけど、私、行くよ?」
「じゃ、一緒に行こっか?」
ルナが カギを持ち、私とケイシーは、それぞれ1台ずつ 台車を押す。 調理実習室のカギを閉めた私たちは、仲良く3人で、職員室へ 向かうのであった。
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そろそろ、2000字くらい書いたかなぁ・・・範囲指定して、切り取ろうとした所、書いた文章が、「X」一文字になる大惨事が・・・。
CtrL+Xは、危険です。
しかも、CtrL+Zで、戻そうとすると、何も書かれていない真っ白の画面になった時には、こっちの頭まで、白紙になりそうに・・・。
保存してるところまで、さかのぼって書きましたけれども、全部書き直しなりそうなら、寝ちゃおうかと思いました。ホント・・・。