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鬼の子  作者: com
一章
2/2

人生の第2章

市川市某所にある倉庫のコンテナ内での出来事。

壁時計の針は5時頃を示している。

俺の前には部下と少年の死体がある。

夏の季節となるとこの時間帯にはもう空も少しながら明るく、俺は一仕事を終えてコンテナから外に出ては一服をした。


五感に優れた俺たちの種族は手首や腕に付着した血の匂いとタバコの煙が本能が疼く。

ちなみにさっきまで少年に命を吹き込むためにちょっとした手術をしていたのだ。


ではここで手術をする事になった原因を前話のあらすじを兼ねて教えよう。



事の始まりは前日の深夜帯。

本来なら俺が会長を務める団体に所属する幹部を臨海公園に集合させ本日中に全員で仕事を済ませる予定だったのだが集合場より数㎞外れた場所で一方的な乱闘があった。ちなみに今の例えは臨海公園から感じる五感の話である。

面白い事に24時に集合だが俺は臨海公園から10㎞ほど離れた場所でパチンコ屋で遊んでいたもんで閉店まで打ってはノンビリと集合場に向かっていた時にすぐ近くで事件が起きたんだ。

さて、行ってみるも面白い事に倒れている少年と人の死体を食べ散らかす部下が居るもんで話しかけてみたんだ。

もう末期かな、経験を元に俺は部下を殺しては2つの死体を掴んでその場を後にした。


これが前回の大まかなあらすじだ。

それにしても人間というのは進化が目覚しい生き物だ、携帯電話なんて実に素晴らしい。

俺は幹部に事情を説明しては隠れ家の今の場所に着いた。


時刻は24時20分、事が起きてから40分が経過している。

まぁ即死の少年には時間の経過は関係ないか。

ちなみに少年の死因は右胸辺りに直径3.5㎝程の突かれた突き傷からの出血多量と考えるのが妥当だろう、まぁ死因は関係ないや。

後、先に言っておくが俺はただ四神青龍の能力を消失しない為に少年の身体を仮置きとして使うだけだ。不幸中の幸いと言うべきか、人間の生身では四神の力には耐えれず肉体がボロボロになるのに対して少年の場合は青龍によって肺を突かれた時に暴れたのか殆どの臓器もダメになっているのだ。

俺の計画は青龍と少年の臓器を移し替えた後に自分の持つ能力で魂を吹き込む。


って事で手術をしてから約5時間後で今に至る。


「さて、上手く目を覚ましてくれれば良いんだがな…」

京葉工業地帯、騒めく工場は眠る事を知らない。

「ある日を境に突然“鬼”になってたなんて知ったら『あらビックリ!』じゃ済まないよな…なんて言ってやれば良いんだろうな…」

今は21世紀、怒涛の発展に停まる事を知らない。



手術から3日後、事件から4日後に少年の物語は第2章が始まる。


〜〜〜〜〜



ここは天国か?

目を覚ましてから恐らくは3時間が経つ。それは壁時計と空間の溢れて差し込む日の傾きが教えてくれた。

腐った臭いが充満していて身体が地味な痛みに襲われ、あの世に分岐が2つあるなら僕は地獄の方に来たのか。


さて、困った事に腹が減った。


それもそのはずだ、丸3日間何も食べてないんだから。

力の抜けた声で僕は「お腹減った」と言っては寝込む事にした。


時刻は正午、ガチャンと音が聞こえた。

僕は音のする方へ首を向け矢先を見据えた。

背丈は180cm前後か?

ただ記憶の途切れる前に見た怪物とは違って細身で結構ハンサムだ。

別に僕は同性愛者ではない、ただモデルでも俳優でも通用する紳士のような人だ。

しかしながら拷問部屋のような所に僕が居るのも不可解だが相手も来るのだから何かしらの問題点でもあるんだろう。

「はぁ…無事に目を覚ましたか、おはよう」

「…っ」

喉もカラッカラで声が出ない。

しかし日が昇っていて12時ならおはようよりこんにちはじゃないか?

まぁ目が覚めたらおはようってのが常識なのかな。

「ん?声出せないのか…?」

霞んだ目を相手に飛ばす。

「もしや手術に失敗しちゃったのかな、なら面倒な事になる前に殺しとくか」

手術、失敗、殺す?

いや待て待て、もし仮に手術に失敗したとしても生きてるんだから殺さないでよ。

僕の中で全力を出して首を振り命乞いをする事にした。

「まだ正常な意識があるんだな、しかしながら目を覚ましてから既に人間らしさが無いとなると俺の計画に支障を来すからな」

もう訳わかんないや、取り敢えず今を生きたい。

神は僕を味方したのか。

お腹が空腹の音を立てた。

首を絞められているが力が入ってない、次に相手は口を開いた。

「どうやら腹減ってんだな…?最後の晩餐なら用意してやるよ」

半分助かったか?

最後の晩餐となると食べ終えたら殺されるのか?

実権は相手が握っている、死ぬも生きるも相手が握っているのだ。

僕は頷き相手は僕をベットに突き倒して外に出た。

「あー助かった…」

なぜ今声が出る、今殺したくなるほど自分が嫌になった。


寝ていたのか、肩を叩かれる感触を感じて目を覚ます。

「飯だ…食いたきゃ食えよ」

なんだこの人、神様かよ。

どうやらこのベットは病院で使われている物なのかリモコン操作で上半身が起き上がり、太もも辺りの上に敷かれた机の上にはお粥とスプーン。

「腹が減って声が出なかっただけか、まぁ4日間寝たきりじゃ仕方ないよな」

僕は頷きながら震えた手でスプーンを掴んでお粥を食べた。

だいぶ手が震えていて胸元がご飯だらけで汚れていたが相手は怒る表情とは真逆で微笑みながら見守ってくれた。

完食した、僕からしたらもう完食してしまった。食べたりないや。

「どうだ?美味かったか?」

「美味しかったです…おかわり…」

本当に美味しかった、不意に涙が出てくるくらい美味しかった。

相手はツボに入ったのか腹を抱えながらベットの手すりを掴んで笑い出した、そして深呼吸しては顔を上げた。

「それは良かった、だがもうねーよ」

またスイッチ入ったのかツボりだした。


その後に共に自己紹介もなく14時頃に19時ここに集合って事でガラケーと2万円の入った財布を貰った。

ガラケーを確認してみるも電話帳には名前が登録されていない電話番号1つだけに財布の中は現金2万円しかない。

相手の説明だと金はいくらでもある分だけ使って構わないらしいが電話だけはその番号以外には掛け無い事、ちなみにその番号は相手の携帯番号と聞いた。

それはさておき驚いたのは僕は丸々3日間市川のコンテナを寝て過ごしていたのだ。

『人生何があるかわからない』を座右の銘にしている僕にとっては仕方の無い事としてナビで線路沿いに向かっては駅前のコンビニで弁当を3つ買っては食べ、電車に乗っては近場で楽しめるだろうって事で船橋方面に向かったりとかして時間を潰していた。

残念な事に家に帰るも路線が違うために面倒だったので行くのはやめた。


平和に時間を潰して余裕を持って30分前に到着、18時半に例のコンテナの壁に寄りかかって週刊誌を読みながら待つ事にした。

いや、待つ予定だったのだが同時に相手から電話が来た。

『もしもし、聞こえるか?』

「聞こえますよー」

『今どこにいるんだ?』

「もう着いてます」

『ん…あっ、居たわ』

電話が切れた。

ため息をつきながら周りを見渡すと僕がいるコンテナの方へ鉄道コンテナがバックしながらやってくる。

鉄道コンテナと呼ばれるトラックはコンテナから10m離れた場所で停り、運転席から相手が降りてきた。

「よし、今から俺ん所の事務所に行くから助手席に座っとけ」

「うっす」

人は見た目じゃない、それを思い知らされる。

助手席の窓から外を眺めるとフォークリフトで僕が長らく寝ていたコンテナを詰めに乗せて台車に乗せてはフォークリフトを乗り捨ててトラックの運転席に乗り込んで前進する。


10分程で首都高湾岸線に入り運転している相手が口を開いた。

「そういや自己紹介がまだだったな、俺の名前は風切東かざきり あすまだ」

突然だなぁ…まぁ名前を知れただけ良かったのかな。

「言っとくけど俺の事を兄貴と呼んでくれよ水蓮」

「?兄貴っすね、わかりました」

なぜ僕の名前を知っているんだ。

「顔に出てるぞ、まぁお前が寝ている間に色々と調べておいたからな。横須賀水蓮、東京第一高校3学年の取柄のない普通の少年」

「全部筒抜っすね…」

取柄のない普通の少年って酷いなぁ…こう見えて僕はこの作品の主人公だから。

「そんな普通の少年が今月の10日金曜日未明に“横須賀水蓮失踪事件”として行方不明になっている」

「そうなんす…じゃない!!行方不明になっているなら今すぐ帰らせてくれよ!!」

風切東の左腕の服を両手で掴んで揺さぶるも一点も動かない。

「んで翌々日の12日の日曜日に胴体だけが千葉県君津市の港で流れているのが見つかったとの事、不思議だと思うが死体解剖の結果本人と断定。死体に大量に付着していた肉片より犯人または関係者のものとして捜査してるんだ」

人生何があるかわからないじゃ済まされない出来事だ、何がなんだかわからない。

それに風切東はその事件に関わってるとしか思えない。

「まぁ先に言ってやるよ、善人悪人お前がどう決めるがわからないが臓器のほとんどが機能を失って死にかけてたもんだから犯人の臓器と入れ替えて海に捨てたんだ。今となってはその事件の犯人は俺に移り変わったって訳だ、許せないならハンドルでもいじって事故らせて殺すんだな」

まぁそんな事すれば生き延びれたお前も死ぬんだけどなと言われた。

「僕はこれからどうすればいいんだよ…」

「あとこれが一番大事だ、お前はもう人じゃない。“鬼”だ」

「ここに生きている僕が死んだ事にされてるんだからもう何も驚きやしないよ」

風切東は咥えてたタバコを灰皿に押し付けため息をついた

「まぁこれは強制させて貰うがこれから俺とお前とで兄弟の盃をしてもらう、そして俺が会長を務める“大和会の構成員”として所属してもらう」

嫌ならさっき言ったようにハンドルをいじって一緒に死ぬしかないなと後から押してくる。

「…ここまで来たなら引き返せないしな。所で大和会ってのは何をすればいいんですか?」

風切東は息を吸い込む

考えに考えた言葉を口にする

「俺もお前も大和会の過半数は鬼なんだ、世の中では公にされないが俺たちは昔も今も迫害を受けいると思ってくれ」

「嘘みたいな話っすね」

「まぁ人はそう言うだろうな、しかしながら鬼も鬼で悪い所もあるし人には人の汚点があるんだ。ただ俺は共存する為に戦っているんだ」

鬼と言うのはどんなのか知らないが今となっては人間が一方的に差別視しているなら許せない話かな、そんな中で僕が仲介の架け橋になれるんなら風切東に着いて行くのも一手かな。

それに昔の事をいくつか思い出したんだ。

「色々考え事しているようだが今のお前に拒否権は死ぬ事以外に無いって事だ、品川に着くまで考えて置け」

僕は目の前に移る日が沈む夕焼けを眺めながら言った。

「もう迷いは無いです、風切さんの思想に僕の力が役に立つなら是非とも大和会に入れさせて欲しいです。是非とも共存の夢を叶えさせてください…風切さん、いや兄貴」

「あぁ、着いてきてくれ」


ここから横須賀水蓮の人生の第2章が始まる。

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