遠雷、縫い目、春隣、潮騒
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遠雷
遠く 遠く
憧れが走った
遠く 遠く
雨に紛れた
遠くの 遠くの
雷を見た
遠くへ 遠くへ
届きたくて
叫んだ
遠雷よ 私の衝動よ
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縫い目
思い出す縫い目
貴方と貴方の背中を糸で縫う
誰の頬もない 誰の目もない
思い出す縫い目の歪さ
不恰好で悲惨だ
震う指で背中と背中を縫う
そこに私の証明はない。
ただそこに悲惨な縫い跡だけ
私の足跡にもならない 私が一人
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春隣
冬の隅っこに捨てた春
春が凍って早一年
この頃雪と北風ばかり
しかも息も白く凍る
隅っこに捨てた春
僕の帰りを待っている春
暖かい日溜りと
小鳥の囀りと
柔らかい花弁を用意して
今はずっと眠ってる
すーと寝息を立てながら
僕の帰りを待っている
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潮騒
寄せては返す波の隨に立った音を
心の機微は聴いた
まるで波と心が一つになったような音
胸の詰まりが泡を立てて溶けるような音
無機質な情を慰めるような音
鼓膜を軽やかにくすぐるような音
その音は歌をくれた
都会の喧騒に歌はない
歌がない私に歌をくれた
潮の騒めきよ
この体に宿る一拍の響きを
忘れることはないだろう
波の隨に立つ音
潮の騒めきよ
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