小春日三姉妹
学校帰りに真朝ちゃんと2人で亮二のお見舞いに行くことになった。
「2日連続で事故に会うなんてあいつもついてないわねぇ。悪霊にでも取り憑かれてるんじゃないのかしら?」
真朝ちゃん鋭い!まさにその通りだ。
「悪霊とか真朝ちゃんも信じるんだね。」
「信じるも何もウチの家系は代々見える家系だからね。」
「真朝ちゃん幽霊とか見えるの?!」
「見えるよ?今はおばあちゃんから貰った指輪を付けてるから全く見えないけどね。」
「そうなんだ…」
意外だった。真朝ちゃんも見える人だったとは。
「亮二には言わないでね。あいつの家複雑だからこういうの知られたくないんだ。」
病院に着いて、元気そうな亮二の顔を見て安心する真朝ちゃん。
そっと指輪を外すと
「…大丈夫みたいね。」
そう言って指輪をまた付けた。
今日あった学校での出来事や、いつもみたいにTVの話などで盛り上がっていたらいつの間にか面会終了の時間が来ていた。
「そろそろ帰るね」
「ああ、悠河もあさこもありがとな」
「別に、アンタのために来てやったんじゃなくて悠河くんに着いてきただけだから…」
「なんだ?あさこツンデレか?」
「うるさいっ!」
真朝ちゃんをなだめつつ病院をあとにする。
「あっ、私これから行くとこあるから今日はここで!」
「そうなんだ、じゃあまた明日!」
「うん、また明日ねっ」
自転車に乗り家に帰ると居間で真昼さんと又助さんが真剣な顔をして座っていた。
「ただいま…2人ともどうしたんですか?」
「あ、悠河くんおかえりっ!…又助さんと話してたんだけど、なんかとてつもなく嫌な予感がしてね…何か悪いモノが近づいているような」
「うむ…この嫌だけど何故か懐かしい感じまさかなぁ…」
そんな話をしているとインターホンが鳴った。
ピンポーン
「はーい」
お客さんかな?と、玄関に行くとそこには真朝ちゃんが立っていた。
「真朝ちゃん!?」
「悠河くん!?」
「あら真朝じゃないどうしたの?」
居間に行くと又助さんが真朝ちゃんに飛びついた。
「まあさー」
「又助さーん」
お互いにラブラブな2人。いつも以上に又助さんのゴロゴロが大きい。
真昼さんからお互いの紹介をされる。
「こっちは真朝わたしの妹、こっちは悠河くん私の婚約者です!」
「い、妹っ!?真昼さんの妹だったの?」
「こ、こ、こ、婚約者ーっ!?え?」
お互いに状況が飲み込めずいたが、真朝ちゃんは深くため息を吐くと
「真昼姉はいつも何考えてるかわからないからなぁ、婚約者が出来てそれが悠河くんだったなんて…おばあには言ったの?」
「言うわけないじゃない」
「でしょうね。」
真朝ちゃんがさらに深いため息を吐く。
「そう言えば真朝は何しにきたの?」
お茶を出しながら問いかける
「あ、そうだった。お土産のカステラと…おばあから聞いたんだけど、明日東京から飛行機で真夜姉が帰ってくるんだってさ」
ガチャン、と湯飲みを落とす真昼さん
「嫌な予感はこれか…真夜姉さんが長崎に…」
「あ…わし明日は遠出しようかにゃ…」
2人の嫌な予感は真夜さんという人が来ることだったらしい。
「じゃあ、用件はそれだけだから。あとおばあにはちゃんと悠河くんの話しなきゃだめよ?」
もはや真昼さんの耳には真朝ちゃんの言葉は入って来なかった。