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第7話「領主の館(1)」

翌日、ヨルをミナに預け、俺はと言うと領主の館の入口に立っていた。

イーストウィッチの領主の建物はちょっとした中世貴族の家のような広めの庭を持つもので

鉄門の前に2名の兵を配置している。


「こんにちは、領主に会いたいんだが開けてくれるか?」


そう話しかけても反応が無い。よく見たら前回訪れた時とは違う衛兵のようだ。


「お~い、返事しとくれ~?」


もう一度声をかけたところで鋭く睨まれたかと思えば槍を突き付けられた。


「ちょ、いきなりなんだよ・・・」


「お前のような一般市民が会えるような方じゃない。今すぐ立ち去れ」


「な・・・これを見てもまだそう言えるのかよ?」


俺は懐中時計を見せたが・・・すぐに嫌な予感が走った。


「なんだこれ?懐中時計?」


「そんな古臭い時計じゃ通せんな!?ほら、帰った帰った」


番兵二人はゲラ笑いでこちらを馬鹿にする。

どうやら今の領主はこの時計の重要性を衛兵にすら周知していないようだ・・・。


不快な笑い声を背に元来た道の反対方向へ進む。

その先に衛兵の詰め所や屋敷の使用人達の住居がある。

少しでも情報を得ようとそこへ向かってある程度進んだところで声が掛かった。


「マナトさん?マナトさんかい!?」


「ん?」


声のする方を見ると敷地内から老齢の衛兵がこちらを見ていた。


「ランドか?久しぶりだな!!門にいないから引退したのかと思ったぞ」


「新領主になってから敷地内の見回りに回されちまってな・・・そうだ、詰所に向かってくれ!説明は後でする!!」


「あ、あぁ、わかった」


「門の連中に気取られないようにな!じゃあ、後で!」


そう言われ後ろを見たが、門の衛兵達は落ち着きを取り戻したのか正面を見ていた。

この隙にと足早に外壁の角を回った先にある詰所入口付近へ急いだ。

到着とほぼ同時に入口が開いて招かれると見知った顔ぶれが揃っていた。


「いやぁ、マナトさんとまた会えるとは嬉しい限りだよ!!」


「今屋敷内で噂になってる謎の男はマナトさんなんだろ?」


「あんなことできるのはあんた位なもんだしな!」


皆口々に・・・なんか鬱憤を晴らすみたいに話しかけてきた。


「皆も息災で何よりだよ!門番が変わってたからてっきり衛兵全員新領主の手駒に切り替わったもんだと思ってたよ」


「それなんですが・・・」


ランドが苦虫を嚙み潰したような表情で続ける。


「マナトさん、トレイル様を助けてはくれませんか!!」


「え?」

「ちょっと待て、どういう事だ?」


「実は数か月前からトレイル様の体調が優れず、かかりつけ医の治療でもよくならない状態が続いたんだ」

「暫くして息子のアスター様が別の医者を連れてきて診てもらったんだが一旦良くなった。アスター様の意見もあり新しい医者がそのままかかりつけに・・」

「でも、それから数日も経たずに倒れられてしまって・・・そこから面会謝絶で会えないんだ」

「で、3ヶ月位前にアスター様から領主交代した旨を伝えられ・・・」


「そうか・・・」


それで、少しでも抵抗するべく衛兵の刷新をなんとか言いくるめて現在門番だけに留めてはいるもののそう長くは持たない状況で俺が来たというわけだ。

うん、すごく胡散臭い。


「そういえば、アイナはどうしてる?」


「それが・・・アイナ様もトレイル様と同時期にお見かけすることがなくなってしまって・・・」


「ふむ、じゃぁ、ちょっと探ってみよう」


そう言って俺は目を瞑り意識を広げた。


「これは・・・アスターだな、あぁ、ふんぞり返ってまぁ・・・」

「他は・・・使用人達と役人と・・・ん、離れか?」


本館の地下トンネルと繋がってる離れがある。


「居たっ!」


「「「「おぉ!」」」」


周囲で歓声が上がる。


「多分トレイルとアイナだな、離れに幽閉されてるようだ・・身の回りを世話するメイド数名と一緒だな」

「トレイルのマナの流れが不安定になっている・・・直接診ないとわからんがこりゃ人為的っぽいな・・・」


「なんてこった・・・」


ランドが悔しそうに呟く。


「どうにかなりそうですか?」


別の衛兵に尋ねられて俺はこう答えた。


「誰に言ってんだ?なんとかするに決まってるじゃないか!」


周囲が湧き上がる。


「マナトさん、宜しくお願いします!」


ランドに続き皆頭を下げてきた。


「どんと任せなさい!」


そう言って俺はドン!と胸を叩いて咽るのだった。

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