1話 春の油断
間違えて、今までの小説消してしまいました・・・。
もう一回、同じものを載せました。
春の油断
春は眠い。本当は春に限らず眠いのだが、今日は珍しく、本当に眠かった。仕事中も結構ぼんやりして、編集長に怒鳴られていた。
そして、春男の家のソファにつくなり、寝ていた。しばらくして、自然に目を覚ますと、まだカチカチ打っている音が聞こえている。春男のパソコンのキーボードの音だ。普段から聞いていると、それだけで分かるものなのだろうか。
「まだ、終わらないのか?」
ぼんやりとしながら、春男の後姿に声をかけた。おかしいな、寝る前はもうすぐ終わるようなことを言っていたのに。
「んー。まだ半分かな。」
「あー、半分か。」
ぼんやりとオレは答えたが。
「半分?」
むっくりとオレは起き上がった。目も完全に覚めた。
「お前、だって、もうすぐ終わるって言っていたじゃないか。」
「だって、そのあと、書き直ししているから。」
春男は振り返っていった。
「か、書き直し?なんで?誰の許可を取ったんだ!」
「君のだよ。」
「……おれ?」
「そうだよ。やっぱり気に入らないから書き直していいかって聞いたら、うんって言ったじゃないか。」
さすがの春男もあきれたように言った。
「そりゃ、寝言だろう?」
「そう思って、本当にいいの?って確認がてらに聞いたら、いーよ、いーよって言ったじゃないか!」
「おれが?言ったの?マジ?」
「まじ。目はつぶったままだったけど、あんなにはっきり返事されたら、ただ目をつぶっているくらいにしか思わないよ。君に黙って書き直しすると、怖いからねぇ。ちゃんと聞いたからね。」
オレは言葉もなかった。そんな記憶はまったくない。もちろん、春男が嘘をついている可能性もあるのだが、嘘をつくメリットはない。ついでに、嘘だといえるだけの根拠もなかった。なんてことを言ったのだろう!
「そ、それ、いつ終わるんだ?」
こころなしか、声が上ずってしまう。
「んー。」
「き、今日中に書けるのか?」
時計を見ると、もう夜もふけてきているような時間だ。今日は、あと一時間で終わる。
「僕、もう寝ようかと思っているんだけど。」
春男は、夜、きっちり寝るタイプだ。
「書け!今日中に書け!締め切りは明日なんだぞ?」
珍しく、本当だった。印刷会社の関係で、三日間の猶予が取れなかったのだ。いつもならあるのに、ないときに、こんなことになるなんて!
「えー。」
「えー、じゃない!書け!明日の朝までに終わらせろ!」
夜中だというのに、オレの怒鳴り声が響いた。そして、自分をのろった。なんで言ったんだ!なんで、こんなことになったんだぁぁぁぁ!!!
実際の声よりも、オレの心の中のほうが、おおきな声を荒げていたようだった。




