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1, 聖女は徐々に、闇へと染まり始める

全7話の作品となっております。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

 もういい。何もかもがどうでもよくなりました。

 婚約なんてもうウンザリです。


 私には縁遠い話だったのでしょう。

 今の私には何もない。

 あるのは婚約者に捨てられたという事実だけ。


 そしてこれだけは言えます。

 また地獄のような日々が、延々と続いていくのでしょうと。


 また母から感情のままに、怒鳴り散らされる日々が始まってしまう。

 一刻も早く私に婚約者をと、望んでいたにも関わらず今回の惨状を知れば、母の逆鱗に触れるのは火を見るよりも明らかです。


 もう正直、あの苦痛の毎日に耐えれる自信はありません。

 それでも母が婚約を焦る理由も、私の不甲斐なさによって怒りをぶつけてくる理由も、今の現状の立場上理解はしているつもりです。



 私の家は俗に言う貴族でありまして、その中でも子爵家としての地位を有しておりました。

 元々父親の家系が何代も前から貴族の血筋で、これまで受け継がれてきたようです。

 私もその恩恵に授かり、衣食住においては何不自由のない生活を送れていました。


 一般の方々からすれば、とても羨ましく感じられるような、生活を送っていると思われがちではあります。

 しかし華やかな部分とは別に、血統を重んじる貴族には重責が伴っていました。


 次世代の後継者の誕生——つまりは男性との結婚後、家督を継ぐ者の誕生を強く望まれていました。

 目的に至るまでの、過程としての第一歩が名家の貴族との婚約なのです。

 それは私とて例外ではありません。


 以前まではごく普通な、幸せな日々を送っていました。

 しかし一定の年齢を超えて以降、母は私に対して婚約を強く望んできました。

 元来、優しかった母の豹変に私は戸惑いました。


 言われるがままに、トントン拍子に婚約成立——すればどんなに良いものか。

 現実はそんなに甘いものではありません。

 恐らくは母が想定していた以上に難航してしまいました。


 失敗の理由は主に二つあります。

 一つは我がラインベル家が、貴族社会においては没落の烙印を押された存在であったこと。

 わざわざ落ち目の一族の娘と婚約しようだなんて思う稀有な方はおられません。

 もう一つは私自身はそこまで婚約に対して乗り気ではなかったこと。

 婚約に興味がなかったわけではありません。

 私には聖女としての務めもあるので、私情を優先するわけにはいかなかったのです。

 とはいえ、何を言っても言い訳にしかなりません。

 不器用な私よりも、上手く立ち振る舞える方なら難なくこなせていたのかも知れませんね。


 そういった点を私の母は、事ある毎に追求してきます。

 別の家と比較され、その子は婚約したことを引き合いに出され、出来ない私は罵倒されました。

 正直、こんな毎日に疲弊し切ってしまいました。


 だから私は願ったのです。

 今までの幸せな日々に戻りたいと——

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