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16.湯煙殺人事件

今回は待望の温泉旅行、じゃなくて騎士団の巡回遠征に同行するお話です。

湯煙をバックにいや~んなお話になります。

「今日も綺麗だね。」

「ニール様、ありがとう。」

「団長の実家?」

「はい、昨日行って来ました。」

「メイドさんが欲しい?」

「いえ、それはちょっと考えますね、危ない事に巻き込みそうで。

 ここにいると感じないけど私狙われてるんですよね。」

 秘密とかばれそうだしな。



 今日は待望の温泉旅行、じゃなくて騎士団の巡回遠征に出発だ。

 湯煙の中に見える入浴中の女達、ふふふ楽しみだ。


「楽しそうだね。」

「それはもう楽しみにしてました。」

 温泉露天風呂を前にして興奮しない男がいる訳がない。

 これからは堂々と女湯に入れるのだー。


 あれ、なんだかニールの目が血走ってる気がするぞ。

 まさか覗きにくるつもりじゃないだろうな。

 それとも変な想像してるとか?

 俺もこいつに言える身ではないが、いや俺はもう女だ。

 お巡りさんに連行されることもない。

 こいつですーと指を指されることもないのだ。


 これからは俺じゃなく私で統一しよう。

 じゃないと思考と言葉がずれて混乱してしまう。


 馬車に乗り露天風呂目指して王都を出た。

 冒険者風の皮鎧と短剣を装備し馬車から出るときはコートも着用する。

 油断すると命にかかわるから気を付けている。


 マップに赤い点は見えないから問題ないと思うが赤い点についてはまだ確証がない。

 どの時点で人間が赤い点になるのかわからないので用心しようと思っている。



 温泉宿の外観は古びた洋風の廃校になった小さな小学校という雰囲気の建物だった。


「なんか出そう。」幽霊が。

「何が?」

「なんでもないです。」

 マップを確認したが赤い点はない、幽霊がいたら表示されるのかな。

 出くわしたら『ターンアンデッド』をおみまいしよう。

 やったことないから出来るかわからんが定番だからな。 


「いくよ。」

「はい。」

 中は普通の古い宿だった。

「さっそくお風呂に入ろう。」

「ああミレーヌはちょっと待った。」

「はい。」

「貸し切りの交渉をするから。」

 そんなの要らない湯煙の女達が・・・。

 結局混浴露天風呂を1時間貸し切りとなった。


「はー広いお風呂はいいわー癒される。」

 他に若い女がいたらもっと良かったけど。

 あれ誰か入って来た。

 マップはー青い点か、しかし貸し切りのはずなのに警戒するべき?

 入って来たのは女だった。


 出るしかないか。隅に移動し近づかないように出た。

「なんか避けられてない?」

「何か問題が?」

「避けてる?」

「はい。」

「何故?」

「出ていくだけですよ。」

「だからなんで避けてんのよ。」

「私は命を狙われてるからです。」

「ふざけてるの?」

「大まじめです。」

 近寄ってきた。

「止まってください。これ以上近づいたら攻撃します。」

「うるせー。」ずんずんと近づいてくる。

 マップの点が赤に変わっている。

「警告はしましたよ、はー仕方ないやるしかないか。」

『エアバレット』バシッ ドンッ

「ぐはっ。」ドタンバタン

 凄い音がして女は倒れて転がる。

 うわっ痛そう手加減してこれか、まさか死んでないよな。


 それからドタドタと足音がして人がやってくる。

「やばっ。」

 慌ててバスタオルを体に巻き女にもバスタオルをかけた。

「エレーヌ大丈夫か!」

「もーなんで人が入って来るの! 侵入者よ。」

『ヒール』をかけておいた。

「服を着るから出て。」

「了解。」

 急いで服を着た、生足とかめっちゃ見られた。

「もう大丈夫です。」

「何があった。」

「女が入って来たから出ようとしたら因縁かけてきて、

それで警告はしましたが聞かなかったのでやってしまいました。」

「殺し屋かな。」

「どうでしょうか、素手というか裸ですし。

 暴力的な感じで迫ってきました。」

「起きたら尋問する。」

「怪我してるかな、治療はしたけど。」

「何か持ってないか調べろ。」

「了解お任せ下さい。」

 ニールが喜んで女を調べてるひっくり返したりして丹念に。

 そして別の騎士が服を調べている。

「何もありません。」

「武器は持ってなかったか。」


「おい起きろ。」ペシペシ顔を叩いている。

「はっ、ほえ、なんで・・・。きゃー裸っ!」

「服を着ろ。」

「何っいったいあんたらは。」

「王国第三騎士団の者だ、まず服を着ろ。」

「着るから出ていって。」

「だめだ、おまえは拘束されている。」

「そんなー。」

「早く服を着ろ。」


「われわれの護衛対象である女性に暴力をふるおうとしたな。」

「あの女か、いやちょっとやきをいれようと。」

「暴力をふるおうとしたのは認めるな。」

「でもまだ何にもしてない。」

「しようとしたと。」

「団長ーこいつ反省してないっすよ。

 面倒だから山で切り捨てた方がいいよ。」

「はっまさかそんなことできるわけない。」

「いや出来るんだなーこれが、上からそう命令されてるから。」

「事実だ、命令されている。」

「上の人なんて言ってたっけ『彼女に害なす者は切り捨てろ』だっけ。」

「『誰であろうと』が抜けてるぞ。」

「そうそう『誰であろうと切り捨てろ』だったな。」

「そんな怪我したのはこっちなのに。」

「どこを怪我したって?」

「えっと、あれ、すげー痛かったのに。

 あの女何しやがったんだ、すげー力でぶっ飛ばされたような。」

「どこも怪我してないじゃないか。

 それに彼女は警告したと言ってるぞ。」

「いやだって、あんなの信じるわけない。」

「おまえがアホだからだろ。

 はーこんな頭悪いの相手にしたら疲れるっすよ。」

「今回は警告にしておこう、次は無いぞ。

 ニール身元を確認しておけ。」

「ばっちり全身確認済みです。」

「いや全身じゃなくて身元。」

「了解。」


「はっ、いやー全身見られちゃったー。」女の絶叫が響いた。



「暗殺じゃなかったな。」

「あんな頭悪い暗殺者なんていないっすよ。」

「ミレーヌ、暗殺じゃなかったよ。」

「良かったです、しかし疲れました。」

「そうです、疲れましたよホント。」

 おまえは随分と堪能してただろ、他人だからどうでもいいけど。

「部屋で休んでくれ、食事は運ばせよう。」



 昨日は散々だったがニールは朝からご機嫌で時々思い出したようにニマニマしている。

 こっちは温泉をゆっくり堪能できなかったのに腹立つ。


「そういえば昨日なんであの女性が入ってきたんですか。

 貸し切りだったんですよね。」

「宿側の通知の不足と警備に不手際があった。」

「女性側の入り口の監視がゆるかったんだ。」

「なるほど。」

「すまんこっちのミスだ。」

「いえ、いいんです。

 あの人覚えてるかな私が何したか。」

「気絶して記憶が少しあいまいだったみたいだ。」

「良かった、生きてたし。」

「えっ。」

「手加減とか苦手で、死んだかと・・・。」

 危うく湯煙殺人事件になるところだった。

「起きたらピンピンしてたっすよ。」

「ふふふ、頑丈そうな人でしたね。」

「・・・・。」



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