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17.釘を刺された

遠征から戻り心配して釘を刺すお話です。

 宰相との会話


「それで裸の女が近づいてきたのでエレーヌが攻撃したと。」

「はい、エレーヌも裸だったので魔法で攻撃をしたと思われます。」

「雷の魔法で?」

「確認はできませんが他の魔法だと思います。

 風呂場で濡れた状態ですから雷だと自身も危なかったかと。

 現場にも痕跡はありませんでした。

 相手の女の証言では『凄い力でぶっ飛ばされた』となってます。

 空気か水でしょうか。」

「なるほど。」

「相手は衝撃で飛ばされて気絶してまして、そのせいで記憶が少しあいまいな状態でした。

 エレーヌが直ぐに治療したので怪我は無く女は怪我がないのを不思議に思ってました。」

「雷以外の攻撃魔法を使っただろうということだな。」

「はい。」


「いったいいくつ切り札を持っておるのか。」

「想像できません。」

「そうじゃな。しかし凄いな大半の魔法使いとやらのは攻撃とは呼べないものだからな。」

「牽制にしか使えません。」

「国でも研究しておるが実戦では使えないのが普通なんじゃが。」

「本人はケロッとしてますが。

 仕方ないのでやってしまいましたと言ってました。」

「もしかして騎士団で最強かもしれんぞ。」

「その可能性もあります。」

「彼女のその力を借りねばならない事態が起きなければ良いが。」

「そうならないよう願うしかないですね。」

「そうなると彼女に興味を持つ者が増えるな。」

「ええ。」

「内密に話をしてみるか、そして釘を刺しておく。

 いや君から話したほうがよいな、釘を刺しておけばよい。」

「わかりました。」



 ルーメル男爵家

 団長は城へ報告があるとかなので別の騎士が馬車で送ってくれた。


「これ、お土産です。」

「ありがとう。それで温泉旅行はどうだったの?」

「それがちょっとあって・・・。」

「アレンが何かを?」

「いえ現地の人とゴタゴタがあって。」

「そう残念だったわね。」

「お茶にしましょ。」


 少しお茶して帰った。



「エレーヌ内密に話がある。」

「はいルーメル様。」

「君の攻撃魔法についてだが、ひとつ心配な事がある。」

「はい。」

「仮の話だが、君が強力な力を持っているとしてそれが公になればどうなるか。」

「どうなるんでしょう。」

「君に興味を持つ者が増える。」

「命を狙われると?」

「仮の話だが、目的はそれぞれ違う。」

「ありがとう。」


 とにかくばれないように注意しろということだな。

 しかしフラグが立ったような気がする。


「それから君宛にいっぱい手紙が来ている。

 貴族が大半だがほとんどがパーティーやお茶会への招待だろう。

 受け取るか?」

「いえ、預かっておいて下さい。」

「危険なものがないか調べてもいいかな?」

「はい、お任せします。」

「君は貴族じゃないからそんなものに出席する義務も義理もないからな。

 放置するのが得策だね。

 手紙も検分して必要があれば伝えることにしよう。」

「はい。」

「何かあっても受け取ってなければ角が立たない。

 君は受け取ってないと言えばいい。」

「お手間をかけます。」

「仕事だから。」



「頑張ってるね。」

「ニール様。」

「今度は魔物?」

「ええ盗賊は分析が進まないので一旦お休みして、魔物についても分析を初めてます。」

「煮詰まったら切り替えるのもいいかもね。」

「はい。」


「前に討伐したビーストタイガーのような強力な魔物ってよく出没するんですか?」

「いやいやそんなわけないよ。Bランクの魔物は滅多に出てこない。

 たまに目撃されても街道や人の住む場所から遠く離れたところだね。

 そういうのは放置だよ。下手に刺激して出てこられたら厄介だから。」

「前回は街道に近いから討伐することになったんだ。

 街道の安全を確保するのは国の責任だからね。」

「ドラゴンとかは?」

「へっそれは伝説の存在だよ。

 人の住む世界からは遠く離れた山の向こうとかにいるかもね。

 目撃されたのは遠い昔の話だよ。」

「ドラゴンはAランクなんですか?」

「Sランクかな。そんなのが来たら国が亡ぶよ。

 Aランクだとドラゴンスネイクがごくたまに目撃されるくらいか。」

「やはり強いんですよね。」

「そうだよ、鱗が硬くて剣で切れない槍も矢も通らないと言われてる。」

「そんな魔物をどうやって退治するんですか?」

「退治なんて無理だね、森ごと焼き払うような火責めにする。

 退治とは言えないよね。」

「そういうものなんですか。」

「そうだね。」

「なるほど。」



「盗賊について詳しく教えて下さい。」

「彼らは悪さをして街にいられなくなったとか、

 縄張り争いに負けて街を追い出されたとか、

 そういう人達だな。」

「元々は街に住んでたんですね。」

「いろいろな理由で街にいられなくなったんだな。

 元から悪い事してた連中さ。

 普通は他の街へ行って出直すものだろ?

 森の生活は厳しいからね。」

「そういう人達ってどうやって仲間を増やすんですか?」

「外で出会うとかが多いみたいだ。

 たまに顔が知られてない奴が街へいった時に知り合ったとかもあるかな。」

「野営してる人を見つけて仲間にするとかですか。」

「そうだね。襲うつもりが同じ盗賊だったんだな。

 俺達は襲われたことないけどね。」

「それは馬車を見れば騎士団だとわかりますから。」

「そりゃそうだ、ははは。騎士団を襲うほど馬鹿じゃなかったか。」

「普通の馬車で遠征したら襲われるかもしれないですね。」

「・・・・いい考えかも。」

「え。」

「普通の馬車。」

「おとりか。」

「ダメ元でやってみるか。団長に提案してみる。」


「普通の馬車で遠征か。」

「団長ーダメ元でやってみましょう。

 引っかかる馬鹿がいるかもしれないっす。」

「そうだな、やってみるか。ニール準備は任せる。」

「了解。」


 おとり作戦を実行することが決まった。

 だが帰って来たばかりなので次の遠征はまだ先になる。


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