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魔法異端見聞録  作者: トミー
第2章王都篇
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第64話

王城から魔法省へ戻る道中。


「王様だよ!?」


「本物の王様!」


「凄かった!」


ファウラは興奮冷めやらぬ様子だった。


「お前、さっきからそればっかだな」


「だって王様だよ!?」


「王様だぞ!?」


「知ってる」


ウェントスがため息をつく。


「まあ、いい人そうだったよね」


アクアが微笑む。


「はい」


テラも頷いた。


「優しい方でした」


「……」


アギトはふと振り返る。

玉座の間。

国王ラクニマ。

優しい笑み。

しかし。

ほんの一瞬だけ。

自分を見た時の、あの表情。


(気のせい……かな)


「アギト君?」


「え?」


「どうしたの?」


「いや」


「何でもない」


「変なの」


ファウラが首を傾げる。


「それより!」


「王都見て回ろうよ!」


「賛成!」


「観光だ!」


「食べ歩き!」


「最後だけ本音だろ」


「失礼な!」


「全部本音だ!」


「駄目だこいつ」


アギト達は笑った。

その頃。

魔法省。


「……」


サテラ・ルードスは窓の外を見ていた。


「気になりますか?」


振り返る。

そこにいたのは。


「レガリア」


「ええ」


「少し」


レガリア・サフィラス。


国王直属の護衛。


「英雄」


「ですか?」


「いいえ」


サテラは目を細める。


「子供達です」


「……そうですね」


レガリアも静かに頷く。


「子供です」


「だからこそ」


サテラは小さくため息をついた。


「嫌ですね」


「大人というものは」


【???】


「標的の行動を確認」


暗い部屋。


「現在、護衛なし」


「実行するか?」


男の問いに。


仮面の男は首を横に振った。


「まだだ」


「王都に来たばかりだ」


「騒ぎは起こすな」


「事故」


「あるいは」


「魔物による襲撃」


「そう見せかけろ」


「了解」


男達が消える。


仮面の男は静かに笑った。


「安心しろ」


「英雄様」


「苦しむ間もなく」


「終わらせてやる」


その夜。


「……」


クルデーリスは王都の夜景を眺めていた。


「珍しく難しい顔をしているな」


「アルバートか」


「眠れん」


「ほう?」


「嫌な予感しかしない」


老人は苦笑する。


「相変わらずだな」


「お前の嫌な予感は当たる」


「だから困る」


銀髪の教師は夜空を見上げる。


「平和だな」


「……」


「それを言うな」


「フラグになる」


「何だそれは」


「知らん」


二人は小さく笑った。

しかし。

その笑顔は。

翌日には。

消えることになる。

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