第5話~得意属性2~
「お主の得意魔法は火力重視の系統だ」
オブスキュリタスさんは腕を組みながら続けた。
「一般的な魔法より一段階強い威力を持つ。扱えれば、だがな」
最後の一言に、少しだけ含みを感じた。
「そうなんですね……ちょっとびっくりです」
正直、まだ実感はない。
でも、胸の奥がじんわり熱い。
そういえば。
一つ気になることがあった。
「あの……オブスキュリタスさんの得意属性って何なんですか?」
俺の質問に、魔王はわずかに口角を上げた。
「闇魔法だ」
短い一言。
でも空気が少し変わった気がした。
「闇は姿を隠し、気配を断つ。故にワシは隠密行動に優れている」
なるほど。
スパイみたいでかっこいい。
やっぱり魔王ってすごい人なんだな。
そんなことを考えていると、先ほどの術師の女性が一歩前に出た。
「では、アギトさん」
柔らかい声だった。
「これから学園の寮で生活していただきます」
寮生活か。
なんか、急に学生っぽくなってきたな。
「入学は今からおよそ二週間後だ」
オブスキュリタスさんが言う。
「それまでに基礎訓練と生活環境に慣れておけ」
基礎訓練。
やっぱり簡単にはいかないらしい。
「……はい」
少し緊張しながら頷くと、魔王は静かに言った。
「安心しろ」
「え?」
「ここにはお主と同じ者しかおらん」
その言葉は短かったけど――
なぜか胸に深く刺さった。
同じ者。
それだけで、救われた気がした。
「案内しよう」
女性に促され、俺は部屋を後にする。
廊下を歩きながら、ふと思う。
家を追い出されて。
死にかけて。
わけも分からないままここに来て。
でも今――
少しだけ前を向けている気がした。
二週間後。
魔王学園に入学する。
俺の新しい人生が、いよいよ始まるんだ。




