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プロローグ~転生~
俺は清水彰人、23歳。社会人一年目の新人社員だ。都内のIT企業で働いている、ごく普通の会社員。
昼休み。人気のない屋上で、紙コップのコーヒーを飲みながら空を見上げていた。少し苦いその味が、妙に現実感をくれる。
子供の頃、ヒーローになりたいと思っていた。誰かを助けて、感謝されて、必要とされる存在。
でも現実は違う。残業、上司、納期。誰かを救うどころか、自分のことで精一杯だ。
「……はは、何やってんだろうな俺」
自嘲気味に笑って、背中を柵にもたれさせた。
その瞬間だった。
――ミシッ。
嫌な音がした。
次の瞬間、視界が傾く。支えにしていた柵が、根元から折れていた。
「え?」
体が宙に浮く。
ビルの外壁が遠ざかり、空が広がる。風が耳元で唸る。
ああ、落ちてるんだ。
不思議と恐怖はなかった。ただ一つだけ、頭に浮かんだ。
(俺も……誰かを救えるヒーローになれたら良かったな……)
意識が暗闇に沈んでいった。




