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愛が狂う時  作者: 楓 海 (The ご老体ズ)
14/14

永遠の愛

 読んで戴けたら嬉しいです。(o´▽`o)ノ

 流華の行方不明がマスコミに騒がれる頃。


 智景は未完のカンバスを見て言った。


「翔と朱音には共通の願望があるんだ」 


 流華は訊いた。


「どんな? 」


「若く美しいまま愛する人と共に死ぬんだ」


 ケージの中の流華も、今は流華の肖像画とすり変わったイーゼルから外され無造作に壁に立て掛けられた未完のカンバスに視線を移した。


「永遠に愛し合う為に? 」


「そう...........

 それはボクの望みでもある」


 絵画の2人の男はそっぽを向いていた。


 だがこの2人の男たちはこの後永遠の愛を誓い毒を呑んで心中すると言う。


 アルゼンチンタンゴに合わせて2人の男たちは踊る。


 情熱的に、そして官能的に。


「智景は僕と死にたいの? 」


 一瞬間を置いて智景は言った。


「ボクは流華と永遠に愛し合っていたい........」


 倖せを知らなかった流華に無償の愛を与えてくれた智景は流華にとって何を置いても優先されるべきことだった。


 流華は鉄格子に指を絡め訴える様に言った。


「僕も!

 僕も智景と永遠に愛し合っていたい! 」


 この妄信的な愛は迷う事を知らない。


 智景にとって死は終わりでは無く始まりだった。


 永遠の愛の始まり。


 それが智景にとって許される死である。


 鉄格子を握る智景の手を流華は向こう側から優しく両手で包んだ。


 



 智景が永遠の愛にこだわるのは、幼少期に見た両親の離婚が起因していた。


 智景の父、正景は食べたいものを与え欲しいものを与えれば女は満足するだろうとそう信じて疑わなかった。


 だが妻の香奈枝は別の男を求めて家を出た。


 そして正景は自分の男としての不甲斐無さを受け入れる事ができず、強い喪失感に耐える事ができずに自らの命を断った。


 この一連の出来事は幼い智景に愛と云う頼りない結び付きを疑わせることになる。


 母親ですら智景を省みる事無く男の元へと去り、父親は智景を育てる役割を放棄して死んだ。


 智景にとって愛は時間と共に消滅し、己れの都合で無視されるものだった。


 それでも人は恋をする。


 それは智景にも例外無く訪れた。


 かつて智景は2度恋をした。


 母親が父に対して体現したように智景にとって恋愛など決して長続きするものでは無い。


 だから2人の恋人は心変わりをする前に自分の手で殺し、庭の片隅に葬った。


 かつての恋人が死ぬ間際に言った。


「死んでも愛してる........」


 この言葉を考える内にその意味は(いびつ)(ゆがめ)られ、やがて智景は一緒に死ぬ事で愛は永遠になると言う思想に取り憑かれる。





 

 智景は美しいまま死ねるよう、また確実に死が訪れるために点滴を2つ用意した。

 

 ペントバルビタール。


 動物に使われる安楽死用の薬でスイスでも自殺(ほう)助に使われている。


「まあ、座ろうよ」


 智景が言うと流華は鉄格子を掴んだままその場に座り込んだ。


 死の恐怖ですら智景と一緒ならば流華にとってはカボチャの馬車に乗るような喜びだった。


 管を指先で叩いて薬を通し、智景は膝を付いて流華の静脈に針を刺し、そして自分の腕にも針を刺した。


 その様を熱心に見ていた流華は瞳を輝かせて言った。


「これから始まるんだね! 

 翔と朱音のように.........」


 智景は優しく微笑み答える。


「ああ」


 誰にも等しく訪れる死。


 神聖な聖域への期待に2人は胸を膨らませた。


「こうしてずっと智景に囚われたまま愛し合えるんだね! 」


 そして2人は始まりのバルブを開いた。



 

 死は終わりなのか始まりなのか。


 カーテンを引いた薄暗いアトリエ。


 色彩を散らすように置かれたカンバス。


 中央に置かれた大きなケージ。


 ケージの中から力無く鉄格子に凭れる流華は細い腕を伸ばしケージの外で横たわる智景の髪を撫でていた。


 流華の頬に涙か伝う。


 しかしその表情は慈しみに溢れ、幸福感さえ感じる。


 愛しい、そして崇敬する智景の髪を流華は飽くことなく撫で続けていた。


 いつまでもいつまでも。


 やがて死は、優しく彼にも舞い降りた。


 そこから先は...........。

 

 

           fin


   

 最後までお付き合い戴き有り難うございました。<(_ _*)>


 作品内に出てきたアンバーパーティーなるものがありますが、これはアメリカのD.Dと言うラッパーがいて元はパフ・ダデイと名乗って活躍していた黒人ミュージシャンが開催していたホワイトパーティーがモデルとなっています。 

 何故ホワイトパーティーなのかと言うと参加する人々は必ず白い服を着るようにと決まっているのだそうで、そのパーティーには作品で書いたように著名な政治家やミュージシャンなんかが参加していて、裏のパーティーに出席すると違法薬物の売買など知られると御用となることをやっていたそうです。

 因みにD.Dは逮捕されました。

 D.Dだったか、エプスタインだったかの逮捕には今のアメリカ大統領トランプが手を回していたそうです。

 で、何故かトランプ大統領、それに付いて公に発表してないそうです。

 発表していたら大統領選挙楽勝だったでしょうに、なんで公にしなかったのですかね。

 それにしてもD.Dの事件、アメリカの芸能界の恐さを物語ってますよね。

 関心のある方は、詳細に付いてはYouTubeで調べてみると面白いかもしれないです。


 最後まで読んで下さり本当に有り難うございます❗<(_ _*)>

 今年は作品をもう少し多く発表できるようにしたいと思っているので、宜しければまたお付き合い戴けたら嬉しいです。

 それではまた~♫(o´▽`o)ノ

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― 新着の感想 ―
死の中でしか永遠の愛は生き続けられなかったのですね(:_;)
うわ~せっかく感想書いたのに、それを送信する前に、ブックマークのボタンを押していない事に気がついて、送信よりも先にブックマークのボタンをポチっと押してしまったら、書いた感想がすべて消えちゃいました( ̄…
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