1 一目惚れ
久々の投稿です。
1話1000文字から2000文字全14話です。
読んで戴けたら嬉しいです。
いきなりのどしゃ降り。
潤った空気は緑を鮮やかに彩り、葉から零れる雫が美しいと思える初夏の昼下がり。
智景と流華は出逢った。
流華は雨を避けて塀から競せりだした樹木の大きな枝の下に避難していた。
雨は白く視界を鈍らせ、どうってこと無い住宅街を少し幻想的に魅せている。
流華はそんな雨の風景をぼんやりと眺め、現実から逃避していた。
流華の現実は重い灰色に覆われている。
飲んだくれた母親の佐和子がソファに横たわった姿が流華の脳裏に浮かぶ。
深い溜め息が自然に出てくる。
何処にいても追い駆けて来る現実。
流華は何年も前からその現実にうんざりしていた。
振り払うように足を踏み出す。
濡れても構わない、嫌な現実に汚染されたこの場所から逃げ出したい。
けれど急に雨音が破裂するような音に変わり、手首を捕まれ頭上を何かが覆った。
振り返ると長身の神経質そうな顔の男が流華の腕を掴み頭上に傘を傾け差し出していた。
男は眠たげな表情を浮かべてこちらを見ている。
男の肩を雨が不躾に濡らしていた。
流華は慌てて言った。
「肩、濡れてます! 」
だが男は構わず、ただ流華に見惚れていた。
大き過ぎない目とそれを縁取るはっきりとした二重。
赤ん坊のように無垢な透明感のある口唇が今は雨のせいで紅く熟れている。
そこから零れる真珠のような輝きを放つ白い歯。
中性的で、その曖昧さがより儚くまた妖艶で見る者を惹き付けずにはいられない不思議なオーラを放出している。
男はただただ流華の美しさに魅せられていた。
流華もこの何処か浮世離れした穏やかな雰囲気の男に強く興味を惹かれた。
ほっそりとした身体つきだが、決して弱々しくは無い。
こちらを見詰める男の眼差しは何処か冷たく、そして柔らかい。
そのギャップに流華は自分でもどうしようも無いほど男に惹かれる自分に気付く。
2人は強く惹かれ合い、一瞬で恋に堕ちた。
男の雨が止むまで休んで行きませんか、と言う申し出に流華は迷うこと無く同意した。
読んで戴き有り難うございます。<(_ _*)>
長いインターバルをおいたせいで、小説の書き方をすっかり忘れてしまったんですよお。(T.T)
去年の11月から書き始めたのですが、やっと書き上がりました。
最後までお付き合い戴けたら嬉しいです。




