表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おさんぽ部ダイアリー 浅川円の内緒事  作者: 黒十二色


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/39

第三十九話 その横顔は(終)

 ある晴れた日の放課後。僕らは散歩していた。


 オブジェを見ながら進むコースは、僕らのまちあるき定番ルートに組み込まれていた。


「めぐる先輩から教えてもらったお店、すごくおいしかったです」


「そうでしょ。あそこのレモンパイ、おいしいのよ」


 他愛のない話をしながら、四人で歩いていた。


 お菓子の話題から、さやかちゃんが、僕に振ってきた。


「あゆむ先輩は、特に好きなお菓子とかありますか?」


 僕は何と答えようかと考えた末に、


「甘いものはそんなに好きじゃないかな」


 と答えた。


「嘘つき」と浅川が甘い笑いを抑えながら言った。


 僕らのトーテムが見えたとき、僕らは驚いた。けれども平静を装った。


 僕らと同じくらいの年頃の、知らない人たちがいた。四人で、トーテムを囲んでいた。


 小さなホワイトボードを片手に、あれこれと考え事をしているようだ。


 僕らは雑談を中断して、その横を、歩くペースを変えずに通り抜ける。


 前にいる二人、きらりちゃんとさやかちゃんは、声を出さずに笑いあっていた。


 後ろに僕と浅川が続いた。


 僕はリラックスしていたけれど、浅川の横顔には緊張が見られた。


 少年少女たちは、「なんだろうなこれ」と言って、頭を悩ませていた。


 ちょうど横に差し掛かったあたりで、そのうちの一人が、僕らに声をかけてきた。


「すみません。おれたち、まちのなぞ解き同好会ってのをやってるんですけど、この像について何かご存じですか?」


 ご存じもなにも。


 だけど、僕はしらばっくれる。


「いやあ、なんなんですかね、これ。僕らもよくここを通るんですけど」


 そしてそのまま、四人で通過した。


 やがて、その僕らとよく似た集団のうち、一人の男子が、こういった。


「まじ意味わかんねーな。このくそダサい像」


 その言葉に、浅川めぐるは勢いよく振り返った。


 あまりにも険しい表情だった。今にも飛び出していきそうだ。


「めぐる」


 僕は彼女の手を握った。


 彼女は前に向き直り、顔を真っ赤にしながら俯いて、


「忘れて」


 そうは言うけれど、この時の浅川めぐるの横顔も、僕は一生わすれないだろう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ