シーズン2 1
シーズン2、開幕です。
二日間のメンテナンスが終わった日、その日は、学校が終わると、まっすぐ帰宅し、自室のパソコンの前に座り込んだ。幸い、課題は出ていないので、寝るまでの間ゆっくりできる。
そういえば、新シーズンの開幕日はちゃんと見ていたが、領地の施設のレベルやカードの扱いについては見てなかったことを思い出し、プレイ中のサーバーにアクセスすると、まず、今シーズンの盟主を務める十二人の英雄が紹介された。
戦国時代の雄にして革新的な改革を行った織田信長。イングランドの女王として君臨し、スペインの無敵艦隊を破り大英帝国の礎を築いたエリザベス一世。
唐王朝第九代皇帝で、のちに開元の治と呼ばれる善政で知られる玄宗皇帝。三国鼎立時代の呉の創始者、孫権の父で三国鼎立以前の江東に覇を唱えた孫堅。
平氏を倒し、鎌倉に幕府を開き武家政治の礎を築いた源頼朝。イングランド・アンジュー朝の第二代の王で、生涯の大部分を戦場で過ごし獅子心王とも呼ばれるリチャード一世。
ローマ帝国五代皇帝で暴君として知られるネロ。源氏物語に並ぶ古典SF小説、竹取物語の主人公かぐや姫。
古代イスラエルの王にして、多くの悪魔を従え、動植物との会話をしたとされるソロモン王。口伝だった古事記を書物にまとめ、日本の国の始まりを明らかにした稗田阿礼。
壬生浪士(新撰組)の初代局長であったが、その放埓な態度で周囲の反感を買った芹沢鴨。ギリシャ神話の最高神にして、たくさんの女性と浮名を流したゼウスがシーズン1の盟主英雄を選んだ時と同じように、額に入った十二人の盟主英雄の肖像画風のイラストが出てくる。そして、カーソルで仕える英雄を選ぶ。その人物の全身像とエピソードやスキルとそのスキルのおおまかな内容が表示される。
(あ、盟主は変わるんだ・・・。前シーズンはアマテラス、女性を選んだから・・・今回は、男性を選んでみよう。うん。リチャード一世にしよう)
と思い、リチャード一世をクリックした。すると全身像に変化し、そして、
『我に仕えし者はお前か。共にこの世界に巣食う歪な者どもを共に蹴散らそうではないか』
という勇ましいメッセージが表示され、領地の画面に切り替わった。
領地の施設はそのままで、英雄のレベルなどもそのままだった。
なにより、施設のレベルが前シーズン終了した時と同じでレベルがリセットされたり、一から建て直しということではなかったのは良かったと思ったのだが、前シーズの初めからプレイしている人は、もしかして、マックス近くになっているのでは、と妙な心配をした。ただ、訓練してきた兵科と募集した兵士たちがリセットされていたのは残念だった。
(ま、それくらいは無いとプレイヤーを横一列にできないよねぇ…)
施設のレベルを上げるにせよ、兵士を募集するにせよ、まずは資源がないと始まらないので、資源を貯めるため、とりあえず、翌日帰宅するまで放置だ。
領主館や資源地など施設が映し出されるメイン画面を取り囲むように、資源の現在の量や貯めておける数値、内政や軍事といったメニューにあるメッセージの欄が点滅していたので、私はその項目をクリックし中を開いてみた。すると、運営からの『前シーズの褒章』という項目名でメッセージが来ていたので、さっそく中を開いてみるとそこには、前シーズンの私のランキングと獲得した褒章が記載されていた。
まず私の順位だが、1877位と下から数えるほうが早い。でも、これは登録したタイミングが、シーズン終了間際の最後の二週間に登録したこともあるので仕方のないところだろう。
シーズン終了間際の三日間の間に学校からとんでもない量の課題を出され、それを終わらせるためにがんばっていたので、最後の方はゲームにインできていなかったので、最終順位を知ることができてありがたかった。
次に褒章だが、チケットクジ三枚とゲーム内通貨の10,000バーシルだった。
さっそくこの10,000バーシルの一部を使い十枚一斉クジを引いてみる。このクジは一回だけ引く100バーシルくじより一回1,000バーシルで十一人の英雄を手にすることができるので、一回分お得なのである。薄暗く反転した画面中央に、抽選機(いわゆるガラポン)が現れ、抽選機がくるくると回りポンポンポンと十個の珠を吐き出す。内訳は、白三個、赤三個、金色が二個。そして、緑が三個となかなか、運が良いようだ。その珠がカード状に変形し、十個の珠が現れて、登場した人物は、白珠が杜甫、玉旛竿孟康、諸葛亮。赤珠が諸葛謹、ボオルチュ、チャガタイ。金色珠がヒポクラテス、井伊直正、緑珠が魯粛にジュチ、稲富一夢だ。
(うーん、一人を除いてみんなアジア人・・・。でも、内政要員っぽい人も獲れたから良しとしよう)
そして、各人のスキルを見てみると、玉旛竿孟康の【船大工】というスキルが、河川を越えて移動できるという。私の盟主拠点の南にある河川やそこを超えた南側に遠征するために、いつかは欲しかったスキルだったので、これで、遠征に行ける範囲が格段に広がった。
さっそく、玉旛竿孟康を試してみたいのだが、河川の相手の陣形がわからないので、偵察を兼ねて、アマテラスを大将にして、孟康や諸葛亮など、一緒に手にした英雄たちと少人数で軍を仕立て、軍事訓練に送り出した。時間は、片道六分。そこそこの時間だ。
河川に着き、軍事訓練の報告が入る。報告を読むと、
「げっ!相手の陣形、弱点の竜渦やん。戦果もそんなに良くないし、体力もめちゃ減ってる。戻ってきたら、すぐホテル直行だね。こりゃ」
と思わず声に出てしまう程の惨状だった。
(うーん、もしかして、河川の陣形って、発展陣形ばかりなのかな?)
そんなことを思った私は、しばらく、河川の陣形を調べるため時間を使おうと考えた。
その後、河川の陣形を調べてみたら、出撃した場所だけではなく、すべての場所が竜渦の陣だった。どうやら、河川は竜渦で固定されているようだ。
改めて、手元の英雄たち陣形スキルをチェックしてみる。
陣形には、基本陣形とそれを発展させた発展陣形がある。そして、陣形スキルを持っている英雄とそうでない英雄の二種類。その基本陣形スキルも、以前、話題にした鋒矢や鉤行のほかに、部隊がひとつずつ位置を変えて斜めに並ぶ雁行の陣や大将と副将が中心にいて、前衛と後衛の部隊がそれぞれ円を描くように取り囲む方円の陣。そして、各部隊が互い違いに並ぶ衝軛の陣、大将が前衛を務め副将以下が、中衛となる三角形のような魚鱗の陣がある。
この基本陣形も、ゲームのヘルプにも書かれているのだが、英雄のクラスがAまで上がると、盟主英雄が始めから持っている鉤行や竜渦の陣のように発展陣形へと変化する。アマテラスを除いた最も強い英雄は徳川家康で、彼は鶴翼の字を持っている。鶴翼の陣は、発展すると三国志の諸葛亮が編み出したとされる八卦という大将と副将が中衛になり、前衛と後衛にが三人ずつという陣形になるようだ。ただ、注意しなければいけないのは、他の陣形と違い、第三部隊から第五部隊が後衛になり、第六部隊から第八部隊が前衛と並びが逆になるということ。子の陣形は八卦という名前通り、最大人数が八人で固定されている。
次は、魚鱗の陣形が発展した陣形として、北斗七星の天啓を得て生み出されたいわれる七星の陣。魚鱗と違い、大将である第一部隊は中衛となり、第二部隊が一人で前衛を行い、中衛が第一から第二部隊を除く四部隊となり、後衛に、第六、第七部隊と魚鱗さらに大きくしたような三角形の陣形となる。七星という名称どおり七人で組む陣形なので、先に紹介した八卦と同じく、他の十人で組める陣形よりも部隊数が少ないので攻撃力などの各数値が下がってしまうので、それを補える英雄で組み立てる必要がある。
他にも、手持ち英雄では、玉麒麟盧俊義の長蛇の陣は握奇の陣と臥龍の陣のどちらかに変化する。これは、いつも頼りにしているまとめサイトによると、長蛇陣持ちの英雄ごとに決まっていて、プレイヤーがどちらかを選ぶというわけではないようだ。果たして、盧俊義はどちらになるのか、今から楽しみである。
あと、変化に二パターンある陣形と言えば、初めに思いがけない痛手を負わされた、ある意味、思い出深い陣形の鋒矢の陣である。ひとつは鋒矢の陣が更に縦長に大きくなったような錐形の陣で前衛五部隊、中衛三部隊、後衛二部隊の陣形だ。そして、もう一つは、集密の陣といい、古代スパルタの集団で固まるファランクスを思わせるような、第一部隊を残りの九部隊で囲んで守るような陣形だ。この集密の陣、ゲームのヘルプ内の情報によると、基本陣形のすべてと相性が悪く、逆に鉤行の陣を除く発展陣形すべてと相性が良いというこれまた不思議な陣形。
(強いんだか、弱いんだかわからないな・・・)
と思いつつも、もし手に入ったら、一度くらいは使ってみてもいいかなと考えたりもしている。幸い、手元には鋒矢の陣持ちが何人かいる。彼らを育ててみれば、誰かが持っているかもしれない。
そして、最後にたったいま大ダメージを食らった竜渦の陣だ。
この陣形は、軍を互い違いに配置する衝軛の陣の発展陣形で、大将である第一軍を中心にして渦を描くように前衛に三軍、中衛に大将の軍も含めて五軍、そして後衛に二軍が配置される陣形で、文字通り、渦状に身体をくねらせる竜のようだ。
怪我をしていない状態での休養は、チュートリアルの最後に病院と共に建てたリゾートホテルである。
体力が減っている状態なので、ホテルで寝て過ごすということなのだろうか?それとも、体力というより、遊んで気力を回復させるということだろうか。リゾートホテルと言えば、大きなプールとかジャグジー付きのお風呂やサウナなどをイメージしてしまう。
今回の場合、水着姿に麦藁帽子をかぶり、プールサイドでデッキチェアに寝そべりくつろぐアマテラスや海パン姿でプールを泳ぐ、諸葛兄弟や、ヴュッフェで美味しものをたらふく食べる孟康やヒポクラテスを想像すると、なんか面白い。そういう想像ができるのが、このゲームのウリの一つなんだろうなと私は勝手に考えている。
ところで、ゲーム登録時にもらえる登録した盟主英雄に配布の十人と、とりあえずの頭数をそろえるため、前シーズンに二回、今シーズンで一回とバーシルクジを引いて登場した英雄の中に、いまのところ使い道がない英雄がいる。それは、若紫である。
源氏物語の登場人物の一人で、葵の上亡き後、光源氏の正妻となった女性で、源氏が最も愛した人物。キャラクターのイメージからか、陣形スキルは持たず、回復系のスキルを持っているのだが、光源氏と一緒でないと効果を十分に発揮できないという仕様になっている。光源氏は、前シーズンの盟主英雄の一人で、持っているプレイヤーは少なくとも、前シーズンで、光源氏の領を選んだプレイヤーは持っていると思われるが、もうシーズンが変わってしまっているので、いまのところ、入手するすべがないのである。
もしかしたら、この先シーズンを重ねて、ある時点で、旧盟主復活などと銘打ったクジを販売するかもしれない。そんな時が来れば、使えるのになぁと考えたりしている。
とりあえずは、程々に英雄レベルを上げて、光源氏の再登場を楽しみに待っていようと思う。




