シーズン3 2
初戦の相手は、越後の龍と称され己を毘沙門天の化身とし、戦と酒を愛した武将、上杉謙信領だ。シーズン1の盟主英雄、武田信玄とは現在の長野県にある川中島で五度の戦いを繰り広げ、キラ星の如くいる戦国時代武将たちの中でもトップクラスにその名が知れ渡っている。
(うーん。所属してる人、結構、多そう・・・)
金曜日の準備日の私の領地の周りに拠点を作った人が複数人いたからだ。
私の領地は北の僻地といっていい場所なので、わざわざ、そんな場所にいる人までターゲットにするということは所属人数が多いことが予想される。
(とりあえず、ナポレオンを実戦投入したいので、次元の歪みでポイントを獲るか・・・)
そんなことを考えながら、迎えた初日。私はとんでもなく、バカなことをやってしまった。実戦投入したナポレオンの使い勝手の良さに酔いしれ、うっかり、次元の歪みをプレイできなくなる三万ポイントを超えるポイントを獲得してしまったのだ。
こうなると初心者が外れてしまい、今シーズンの次元の歪みでのポイント獲得はできなくなってしまった。
(初戦から、何やってんだろ・・・私・・・)
いつもなら、そばにメモ帳と電卓を置いて、ポイントを計算しながら、29,000ポイント台を狙って進めるのに今期は初戦から大失敗をしてしまった。
(この失敗、絶対後を引くなぁ・・・)
二日間の上杉謙信領との対戦が終わり、月曜日になった。土曜日の初日に大失敗してゲームの画面を見るのも嫌になっていたので、昨日はインしていない。
土曜日のげんなりした気分を引きずりながら、登校する。学校で何か元気の出ることが起こればいいのだが、そうそう、起こるはずもなく、授業や補講を終え、下校した。
自宅から学校までは、バスを乗り継ぎほぼ一時間。
(気分転換になるようなこともなかったなぁ・・・)
私はバスに揺られながら、そんなことを考える。まだ、十八年の人生でも、そうそう、ゲームのようにイベントが起こるはずもないので、どうやって、気分転換をするかずっと考えている。
バスを降りて、自宅までの道すがら、
(とりあえずは、順位の確認だけしておこう・・・)
まだ誰も帰っていない自宅に、一番に帰宅する。
靴を脱ぎ自室に行き、制服から私服へと着かえる。そして、うがいと手洗いを済ませパソコンを立ち上げ、ゲームにアクセスし、昨日までの盟主戦の結果や各陣営の散らばりを確認する。
やはりというか当然というか、私の予想は的中した。陣営の規模は、昨日まで戦った上杉謙信領が最も多く、次に雑賀孫一領と続き、以下、立花誾千代領、甲斐姫領と続き、私たちお市の方領と続く。そして、長宗我部元親領、黒田官兵衛領、毛利元就領、足利義昭領、長谷川等伯領、千利休領、津軽為信領と続く。
そして、順位は上杉謙信領、立花誾千代領、毛利元就領、長宗我部元親領、黒田官兵衛領、長谷川等伯領と第一戦目なので勝利した領が順に並び以下敗れた残りの六領が続く。
(プレイヤー人数としては五番目か・・・。私は今シーズン、休んだりするつもりだからちょうどいいかもしれない)
次に、全体の自分の順位を確認する。自身としては、皮肉にも初めて300位を切った、283位という場所にいた。
(ミスったせいで、こんな場所にいるとは喜べない。それに今期は後半は休む予定だし)
と自分の境遇を呪った。
大失敗から四日。
私はいまだに立ち直れないでいた。たかが、ゲームでの失敗に何を深刻になっているのかと思われるかもしれないが、私にとっては、プレイする時間があまりとれなくても、日々の癒しや潤いのようになりつつあったタイミングでの失敗なので、ずっと、心の中におもりがぶら下がったような気分なのである。
勉強の方もいまいち集中できていないので、このままでは受験に失敗するかもしれない。そんなことを考えることが多くなってきた。
(マジでヤバイかもしれない・・・)
私はそんなことを思いながら、反省と焦燥の毎日を送っている。




