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とある世界の日本  作者: 高鉢 健太 
らのべっぽいみたいな回想録
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らのべっぽいみたいな回想録 10

 6月18日、今度は英国が香港の危機に対する自衛という名目で対日宣戦布告を行った。


 英国はすでにマルタが風前の灯火で、すぐにも米国の参戦を必要としていた。


 しかし、米国の対日宣戦布告が行われてもドイツは動かなかった。


 すでに日独間で米国による対日開戦があっても、ドイツが自動的に宣戦布告を行う必要が無い事は確認されており、それに従っただけなのだが、自動的に対独参戦が出来ると考えていた米国を慌てさせた。


 そして、未だ日米間で本格的な衝突が始まってもいない中での英国の対日参戦表明が行われた。


 英国にはフィリピンを廻る戦争が起きれば香港が危険にさらされ、支那権益が侵されるという大義名分があった。

 実際、この時点で日本は解放軍打倒のために上海周辺に軍を展開しており、日米が戦えば当然ながら、上海も戦場となってしまう事は自明であった。


 もちろん、だからと言って米国側に立って参戦する理由とはならないのだが、反日機運を十分に扇動した後であったため、疑問に思う者は居なかった。


 この英国の行動によって米国は晴れて対独参戦への道が開け、翌19日に対独宣戦布告を行う。


 米国は日本に対して宣戦布告をしたわけだが、すぐに何かを始めるという事は無かった。


 米国にとっての開戦前である太平洋遭遇戦においていきなり5隻の戦艦を失ったがために選択肢が無かった。

 米国にとって対日開戦は余禄であって本命は対独参戦だったのだから。


 そのため、参戦して半年以内に北アフリカへ上陸を行える準備をこの半年以上続けていた。海戦の時点で、半年どころか3~4か月あれば十分準備が整うだけの事をやっていた。


 北アフリカの戦いが収束するまで半年から1年、日本は太平洋艦隊で抑えて置く腹積もりだった所が、いきなり戦艦5隻喪失という事態に慌てた。


 米国は対独戦では役目がなさそうなアラスカ級やノースカロライナ級と言った新型戦艦を急いで太平洋へと回航した。

 そのかわり、索敵能力が低く、積極的な対艦攻撃もしてこなかった空母部隊の能力は低いと見積もって最低限の防空のためにレキシントンとヨークタウンのみを残して空母を大西洋へと回航することにした。



 今から考えるとあり得ない判断に思うが、当時としては大間違いという訳ではない。英国は対日参戦に際して4隻もの戦艦をインド洋から南シナ海へと向かわせていた。米国に倣う様に空母は北アフリカ作戦のために移動している。


 こうした移動が行われていたため、米国は9月まで目立った動きをしていない。


 日本側も最終判断を9月1日としていたため、8月に入るまで戦争体制が整ってはいなかった。


 まず動いたのは日本側で、散発的な在フィリピン米軍との小競り合いから一転、本格的な攻略へとシフトしていく。


 8月13日には4隻の空母をもってフィリピンへ来襲し、台湾からは空軍爆撃機も参加し、大規模な航空作戦を行いながら、陸戦隊による橋頭保の確保とそれに続く陸軍の上陸が行われた。


 9月8日には日本が想定してきたように米太平洋艦隊がハワイを出港し、マリアナへと進路を取った。


 まず、米艦隊の迎撃に当たったのは空軍だったが、海軍陸攻隊が対艦攻撃のために魚雷を扱っていたのに対し、空軍では魚雷を扱う部隊は数を減らしていた


 新型機は爆撃に特化した四発重爆撃機である二式重爆が配備を始めており、海軍から引き継いだ九六陸攻あらため、九六中爆は陳腐化が目立ち、そろそろ後方任務へと追いやられているところだった。


 それでも海軍から移籍した将校たちは海軍や陸軍出身将校の警告を聞き入れずに出撃を命じる。


 出撃した九六中爆部隊は悲惨だった。


 すでに多くの艦艇がレーダーを備え、不完全とはいえ航空管制が出来る米艦隊に対して旧式機で攻撃を加えた結果、艦隊までたどり着けた機体は半数を切っていた。


 さらに、米国は日本の対米作戦を想定しており、第一波として大型双発機が来襲することを念頭に備えを施していた。


 まさに、飛んで火に入る夏の蟲だった。


 雷撃まで至った九六中爆は出撃機の二割。主砲を用いた牽制射撃などもあって射線に付けたのは10機に満たないほどに撃ち減らされており、戦果は2発の命中によって駆逐艦1隻、軽巡洋艦1隻の撃沈だけでしかなかった。大型艦には損害を与える事すらできていなかった。


 艦隊はアラスカ級3隻、ノースカロライナ級2隻、サウスダコダ級1隻を基幹としており常識的に考えて、日本側と同等以上の戦闘が可能なはずだった。

 アラスカ級巡洋戦艦は日本が33cm砲を装備した事から、36cm砲で設計されており、十分に砲力において圧倒できると思われていた。ノースカロライナ級やサウスダコダ級は40cm砲であり、遭遇戦で撃沈破された旧式戦艦とは格が違うと思われていた。速度があまりにも違い過ぎる事から旧式戦艦は同行していない。

 この時点で日本側は大和型2隻、金剛型3隻が実戦配備についている状態であった。


 日本側は空軍の無謀な攻撃の戦果はあまり期待していなかった。旧式艦ならともかく、米国の新型戦艦は駆逐艦に採用されている両用砲を副砲にしており、対空火力が空軍が考える数倍上だと知っていたためとされる。


 結果はその通りとなった。


 海戦は海軍が常々考えていた様に、マリアナで迎え撃つ形となった。


 遭遇戦時と違い、索敵には地上と空母から行い、旧式化していた水上機による索敵を行っていない。


 空母や地上の機体にはここ2年程度で配備され始めた電気機械式のエニグマ暗号機に近い装置を用いた暗号無線装置が備えられており、水上機の旧式の通信機と暗号表を用いた場合、戦場の緊張による暗号の取違や打電のミスが起きやすかったのに対し、新型通信機では事前に決まった操作をするだけで第一報を送信可能なため、航法による位置確認さえ間違わなければ誤報を伝える可能性が大幅に低くなっていた。


 そのため、空軍の攻撃自体も位置情報のミスはなく、連合艦隊も大きな混乱なく米艦隊と会敵するに至る。


 日本側は艦隊に空母3隻を従えていたため、米艦隊の航空攻撃を退け、索敵の目を潰す事にも成功している。


 日本側はそれ以上積極的に航空攻撃を加えることなく、艦隊砲戦を選択した。


 米側にとっては小口径砲による攻撃など意に介していなかった。


 旧式戦艦が多数撃沈破されたのも、新型弾の性能が36cm砲弾並の威力を持つからだと推定していた。40cm砲を備える3隻にとっては脅威度が低く、アラスカ級も対36cm防御ならば備えがあった。


 しかし、彼らの予想を超えることが起きることとなる。


 日本側が使っているのは音速の6倍を超える初速を持つ特殊な砲弾だった。初速が音速の3倍以下でしかない従来の砲弾とはその着弾時間も物理的な威力もまるで異なったのだが、米側にそれを知るすべは在りはしなかった。


 日本側が30kmから砲撃を開始しても米艦隊は慌てることなく整然としていた。発砲煙を認めて20秒は。

 しかし、20秒少々という時間で米艦隊は水柱に包まれてしまう。更に40秒後には第2射が襲う。


 日本側が発砲して僅か1分20秒後、先頭を行くアラスカ級2番艦、グアムは命中弾が誘爆、大爆発と供に沈んでしまう。アラスカも僅か40秒後にはその後を追い、ハワイもほぼ同時に艦中央に命中弾を受けて機関が停止してしまう。


 米側は慌てて発砲するが、十分な観測と修正射撃をする間もなく日本側に一方的に撃ち込まれ、開戦の趨勢は僅か20分で決してしまう。

 戦闘開始30分後に戦闘能力を残した米戦艦は存在していなかった。あまりにその砲力が隔絶しすぎていた。


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] APFSDSの有効射程距離的に30キロはあり得るのか? 炸薬が入っているのか? といった疑問が少々 [一言] 林譲治先生のゲルリッヒ砲大和を思い出す戦闘 向こうは戦争にならないように日…
[良い点] 空軍のやっちゃった感が、出来立ての組織っぽい感じがしましたね。 [気になる点] 前々から気になってたんですけど、ところどころに誤字が散見するくらいですかね。 [一言] ルーズベルト自慢の米…
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