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七番目の殺人  作者: 金帽子


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第一話 七番目

目を覚ました。

長い間眠っていたような感覚とともに、若干の頭痛がする。


「……どこだ、ここ」


身体を起こして、周囲を見渡す。

白い壁。白い床。窓はない。

俺はしばらく黙ったまま、周囲を見回した。

ここが、何なのかそしてどうしてここにいるのかはわからない。


「……なんだよ」


ポケットに手を入れると、スマートフォンも財布も、時計すらない。

不安が、遅れて込み上げてきた。

どうやら夢ではないようだ。

頬をつねると、普通に痛かった。

部屋を隅々まで調べたが、出口らしきものは一つしかなかった。


部屋の隅に扉を見つけた。

俺はゆっくりと近づき、取っ手に手をかける。

鍵はかかっていなかったので、扉を開けた。


ガチャッ

「……え?」


そこには、俺と同じように白い壁に囲まれた広い空間があった。


 

そして……人がいた。

俺を含めて、六人。

全員が一斉にこちらを見る。


眼鏡をかけた女。

屈強な体格の男。

高校生くらいの少年。

大学生くらいの女。

剃り込みの深い、強面の男。


誰も俺を歓迎しなかった。

むしろ、何かを警戒しているようだった。


「……誰?」


眼鏡の女が尋ねる。


「いや、それはこっちの台詞なんだけど」


俺が答えると、大柄な男が鼻を鳴らした。


「お前も何も覚えてないのか?」

「何もって?」

「ここに来た理由だよ」

「分からない」


五人がそれぞれ目を合わせ、部外者を見る目でこちらを見つめてきた。


「……そう」


眼鏡の女が言った。


「なら、仕方ないわね」

「何が?」

「まず、この場所について説明するわ」


女が立ち上がった。

そのとき、俺の目に一枚の紙が入った。

廊下の突き当たり。

そこだけ、他の扉とは明らかに違っていた。

重そうな鉄製の扉。

その中央に、赤い文字で紙が貼られている。


――侵入禁止。


「なあ」


俺は扉を指差した。


「あそこは?」


全員が一瞬、黙った。

眼鏡の女が答える。


「知らない」

「知らない?」

「ええ」


大柄な男も頷いた。


「入るなって書いてあるんだから、入らなきゃいいだろ」


「いや、でも……」


俺は扉に近づこうとした。

すると少年が、少し強い口調で言った。


「やめた方がいいと思うよ」

「……っ、なんで?」

「侵入禁止だから」

「それだけ?」


少年は答えなかった。

大学生くらいの女も、視線を逸らしている。

妙だった。


「なぁ、俺はツバサって言うんだけど、お前たちは、誰なんだ?協力するかもしれない関係なら、自己紹介くらいした方がいいんじゃないか?」


眼鏡の女が、ため息を漏らしながら答える。

「私は、ユカ。あなた達も、言ってあげて」


「俺はコウヘイだ。よろしく」

「僕はヨウスケ」

屈強な男と高校生くらいの少年だ。


「わ、私はサキです……」

「ゲンジだ。」

大学生の女と強面の男が次に話した。


「協力も何も、出られないわよ。全ての部屋を見たけど、出口につながるようなものは何も無い。嘘だと思うなら確かめてみなさい。」


ユカが命令口調で、淡々と述べた。


「悪いがそうさせてもらう。疑っているわけじゃないが、状況が状況なんでね。」


俺は、片っ端から捜索することにした。まずは侵入禁止の部屋から近づく。


グッグッ

扉はびくともしない。少なくとも触れるのは禁止ではないようだ。そして、侵入禁止の部屋から中央の共有広場のようなところへ戻り、自分がいた方の部屋へ戻る。


七番目と書いてある扉があった。

「何だ?七番目?」


「俺らの部屋にもそれぞれ数字が振られていたぜ」

コウヘイがにっこりとコチラを見て微笑む。


確かに廊下が長く伸びていて、七つほど部屋がある。七番目と書かれているのは、どうやら俺が最初に目を覚ました部屋のようだ。そこから、順に六、五、四と続いて、一番奥の部屋は一と書いてあるのを確認した。


「一人いなくないか?全部で部屋は七つだろ?」

「俺たちが目を覚ました時も、一人足りなかったんだ」

「つまり、最初から俺を含め六人しかいなかったということか」

「そういうことだ。納得したか?」


ゲンジが冷たい目つきで俺を睨む。


「中に入ってもいいか?ダメなら言ってくれ」

「はぁ……、いいわよ。何にもないからね」


若干怪しいとは思いつつ、俺は順に部屋の捜索を続けた。捜索して分かったのは、各部屋にはベッドと時計、ペンが一つ、そしてノートが各自一冊あるだけだった。ノートは見るところを見られたら、ただでさえ歓迎ムードではないこの雰囲気が、更に悪化する気がしたのでやめておいた。


「ないな、本当に。素晴らしいほど何も無い」

虱潰しに部屋を見たが、攫われた手掛かりや、脱出に繋がる物は何も無かった。


「取り敢えず、部屋に戻らない?ここに居ても何も起きないでしょ。部屋の時計が夜の八時になったらまた集まりましょう。そこで作戦会議でもすればいいかしら」

「賛成だ」

「わ、私も賛成です」

コウヘイとサキが答えた。遠くでゲンジも頷いている。


「わかったそうしよう」

俺もそう答えて、広場を後にした。


この部屋は密室。それと同じ状況の部屋が七つと広場。そして……侵入禁止の部屋がある。


状況を整理しようと俺はベットに寝転がった。今は、昼の二時を指している。目を覚ました時の記憶は無かった。そして、俺は……七番目。

何かの実験施設だろうか。殺し合いでもして、残った一人を出すのなら俺は間違いなく勝てない。体格的にコウヘイか、手段を選ばなさそうなゲンジ。そう思ったら、気が遠くなったので俺は一度寝ることにした。


ーー目が覚めた。

時計を見ると、ちょうど八時前の集合時間だった。ベッドから飛び起きて広場へ向かった。


広場へ向かうと不可思議なことが起きている。そこにいたのは、ユカ、サキ、コウヘイ、ゲンジ。ヨウスケがいない。


代わりにいたのは、先ほどはいなかったはずの中年の親父であった。


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