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最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。  作者: ほのぼのる500
王都と冒険者

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1211/1212

1120話 知らない間に……

「ランカ、描かれた魔法陣をまだ確かめていないぞ」


ソルの行動に慌てたシファルさんが、ランカさんに声を掛ける。


「あっ。ソル、ちょっとだけ止まって!」


「ぺふ~」


ランカさんの言葉に、不満そうな鳴き声を上げるソル。

ランカさんはソルに謝ると、素早く魔法陣が描かれている板を確かめる。


「さっき見つけた魔法陣と同じだわ。ソル、どうぞ」


ランカさんがソルの頭をなでると、ソルは勢いよく魔法陣に込められた魔力を食べ始めた。


「ぺふっ」


ソルが満足そうに、魔物の前脚を吐き出す。


「凄いですね」


ずっとソルの事を見ていたダズさんが、小さな声で呟くと、仲間のオークスさんとルグルさんが無言で頷く。


「ダズといったわよね」


ランカさんがダズさんを見る。


「はい」


ダズさんは少し緊張した様子でランカさんを見返す。


「少し聞きたい事があるんだけど、いいかしら?」


「はい、もちろんです。なんでしょうか」


「『急に先頭を歩いていた魔物の様子がおかしくなって』と言ったわよね」


「はい」


ランカさんの質問に、真剣な表情で答えるダズさん。

その様子を見ていると、お父さんが私の肩に手を置いた。


「どうしたの?」


「ランカが話を聞いている間に、倒した魔物を確認しよう」


「わかった」


お父さんと一緒に、シファルさんが調べている魔物のところまで行く。


「何かわかったか?」


「3匹中2匹に、問題の紐が絡んでいたみたいだ」


シファルさんが指すほうを見ると、確かに後ろ脚に紐が絡んでいた。


「こっちは……反応していないよな?」


シファルさんの問いに、お父さんがジッと紐を見ると頷く。


「大丈夫だろう。光っている様子はない」


「よかった」


シファルさんが魔物の後ろ脚に絡んだ紐を取ると、紐が一瞬だけ光った。


「うわっ」


シファルさんが慌てて紐から手を離すと、数歩後ろに下がる。


「大丈夫か?」


お父さんが心配そうにシファルさんを見ると、彼は安堵した表情で息を吐き出した。


「焦った~。でも、大丈夫だ」


「ぺふっ?」


後ろからソルの鳴き声が聞こえて振り返ると、ソルがオークスさんを見て体を傾けていた。


「ソル? どうしたの?」


私がソルを呼ぶと、ソルは私を見るが、すぐにオークスさんに視線を戻してしまう。


「彼に何かあるのか?」


「わからない」


お父さんの問いに首を振ると、オークスさんに視線を向ける。

黒い短髪に茶色の瞳をした、少し小柄な男性は、ソルに見られて少し困った表情をしている。


「シファル。魔物は紐以外に異常は見られなかったけど、冒険者ギルドに3匹とも持ち帰ったほうがいいかな?」


ラットルアさんとヌーガさんが2匹の魔物の確認が終わったのか、シファルさんのところへ来る。


「どうしようかな。描かれていた魔法陣はどれも同じみたいだから、1匹だけでいいような気もするけど……」


確認していた魔物から視線を上げて、シファルさんが首を傾げる。


「俺達では判断できないな。3匹とも冒険者ギルドに持って行こうか」


「わかった」


シファルさんの答えに、ラットルアさんが頷く。

ヌーガさんは専用のマジックバッグを準備していた。


「ぺふっ~?」


ソルがオークスさんの周りを飛び跳ねる。

そしてジッとオークスさんを見つめる。


「アイビー、ソルはどうしたの?」


ソルの行動を見守っていたランカさんが、私を見る。


「私にもちょっとわからなくて……」


ソルが反応するのは、魔法陣に込められた魔力だよね?

オークスさんが魔法陣を持っているとか?


「あの、魔法陣が描かれた道具を持っていますか?」


私はランカさんの傍に寄ると、オークスさんに聞く。

オークスさんは、目を少し大きくすると、慌てた様子で首を横に振った。


「俺達がお世話になっている上位冒険者が『あれだけは駄目だ。死ぬぞ』と教えてくれたので、持っていません。森の中で見つけても、報告はしますが、絶対に近付かないようにしています」


オークスさんの説明に、ランカさんは頷く。


「それが正解ね。魔法陣は恐ろしいものだから」


ランカさんが呟くと、オークスさんだけでなくダズさんとルグルさんも頷く。


「ぺふっ!」


ソルが急に大きな鳴き声を上げると、オークスさんに向かって飛び跳ねる。


「えっ、うわっ」


オークスさんは、ソルの行動に驚いた声を上げながら、向かってきたソルを抱きとめた。


「ぺふっ、ぺふっ」


ソルはオークスさんに抱かれると、私に向かって何度も鳴く。

その様子に、私はオークスさんを見る。


「やっぱり、魔法陣を持っているんじゃないか?」


ソルの様子を見ていたお父さんが、オークスさんを見る。

オークスさんはお父さんの言葉に、必死に首を横に振る。


「絶対に持っていないです」


「もしかして、持っている事に気付いていないんじゃないか?」


「えっ?」


魔物をマジックバッグに入れ終えたシファルさんが、私たちのところへ来ると、オークスさんを見る。

オークスさんはシファルさんの言葉に驚いた声を上げる。


「最近、何か買わなかったか?」


シファルさんがオークスさんに聞くと、彼はハッとした表情をした。

そして、自分の手に視線を向けた。


「最近買ったのは、この手袋です。マジックアイテムで攻撃力を少しだけ上げてくれる物だと、店主から説明を受けました。俺は2人より攻撃力が低いから、少しでも上がったらいいなと思って買ったんですけど……」


「見せて」


ランカさんが手を出すと、オークスさんは手袋を脱ぎ、ランカさんに渡した。


「触った感じは問題ないわね。中を確かめたいんだけど……いいかしら?」


ランカさんがオークスさんを見ると、彼は迷う事なく頷く。


「どうぞ」


「もし問題なかったら、新しいのを買うわね」


手袋の中を確かめるという事は、縫い目を解くから使えなくなるもんね。


「いえ、気にしないでください。調べるためには必要な事なので」


ランカさんが紐を切って手袋を分解する。

そして、手袋の内側を確かめるが、魔法陣はどこにも描かれていない。


「違ったみたいね」


「ランカ、その手袋の手のひらの部分。何か張り付いていないか?」


シファルさんの指摘に、ランカさんが手のひらの部分を細かく確かめる。


「本当だわ。布が貼ってある。ちょっと待ってね」


ランカさんが小型ナイフを器用に使い薄い布をはがすと、内側が表になるようにした。

そこには、小さな魔法陣が描かれていた。


「あったな」


シファルさんの呟きに、オークスさんが真っ青になる。


「嘘だろ。俺が……」


オークスさんが泣きそうな表情になると、ダズさんが彼の肩に手を置く。


「あの、それを持っていると狂うって聞いたんですけど、オークスは大丈夫でしょうか?」


ダズさんの問いに、ランカさんがオークスさんを見る。

そして安心させるように笑って頷いた。


「大丈夫よ。それだけ怖がっているんだもの。魅入られているわけがないわ」


ランカさんの言葉に、オークスさんとダズさんがホッとした表情をした。


「これ、どこの店で買ったの?」


ランカさんが分解した手袋をオークスさんに見せる。


「大通りにある「フーファ道具店」という店です。いつもお世話になっているんですけど……」


オークスさんの説明に、ランカさんが険しい表情になる。


「フーファっていえば、老舗じゃないの……」


「急いで王都に戻ろう。老舗が関わっているなら、オークスのように、知らずに手にしている者が他にもいるかもしれない」


お父さんの提案に、ランカさん達が神妙に頷いた。


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― 新着の感想 ―
あれ、もしかしてソルの行動、 ✕→オークスさんに向かって飛び跳ねる 〇→オークスさんの手にはめられた手袋に向かって飛び跳ねる です?あのままだとソルに先に食べられてた可能性が…?
ワハハハッ ソラ同様、魔力に関してはソルも出来る子なのだよ その老舗、手袋に限らずまだあるとかね ソル頑張って
むしろ老舗の方が、教会が力を持っていた当時に取り入ったりしていた可能性があって怪しいんじゃ・・・?
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