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剣と魔法の異世界で、最弱の俺は『きのこ』を極めます。~28歳フリーター、異世界で成り上がる~  作者: リーさん


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第9話 危険な匂いだった

月明かりの中、ヒビの入った外殻を眺めるドグラス。


「昔の感覚を取り戻させる為にやったんだが、まさかヒビを入れやがるとはなぁ....」


ドグラスは眠っているマートンを背負い隣の家に向かった。


「ったく、図体ばかりでかくなりやがって」


―――翌日


ヴァールたちが武器屋に迎えに来た。

ドグラスとマートンが向き合っている。


「昨日の感覚、忘れんじゃねぇぞ」

「あぁ」


二人はそれ以上何も言わずとも、分かり合えていた。


「マートンをよろしくな、お前ら」

「〝はい〟」


孝典たちは武器屋を出て、ギルドへ報告に向かった。

すると、普段なら冒険者の笑い声が聞こえるギルド内で、職員が慌てた様子だった。

ヴァールが職員に尋ねた。


「どうかなさったんですか?」

「あ...それは」


奥から、ヴァールたちの気配を感じ取ったバドルが出てきた。


「お前たちちょうど良かった、奥の部屋に来てくれるか」


重い面持ちで歩くバドルに、孝典以外のメンバーはただならぬ事態だと察した。


ガチャン…

扉を閉めソファに全員が座った。

バドルが報告書をテーブルに置き、口を開いた。


「早速だがな、低級冒険者の負傷がここ数日相次いで起こってる。全員重篤な状態だ。通りかかった騎士団が悲鳴を聞いて駆けつけてくれたお陰で命は繋いだ。」

「低級冒険者が?」

「あぁ、それも同じ場所でな」

「どこなんです?」

「カルアの森だ、生息してる魔物はせいぜいF~Cランク。今は封鎖してる」

「魔物じゃなく人だと?」

「恐らくな。近いうちに調査団を派遣する予定だ」

「負傷者が目を覚ましたら、詳しい事情を聞いてみる」

「俺らも向かいます」

「だめだ」


バドルがヴァールの目を見つめる。


「悪いがお前らは席を外してくれねぇか?」


ガチャン…

ヴァール以外の五人が部屋を出た。


「ヴァール、分かってんだろうな。お前は今、タカノリが敵か味方なのか見定めなきゃならねぇ。出来ねぇなら俺の方でやる」

「僕はこの3日間でタカノリさんは敵では無いと判断しました。もう監視は不要です」

「たった3日で何がわかるってんだ?」


バドルはヴァールを睨みつけ、空気が重くなる。

次の瞬間、二人のオーラがぶつかり合い、その圧でアンティークのタンスに亀裂が入った。


「はぁ、、気抜くんじゃねぇぞ」

「わかりました」


ガチャン…

ヴァールは皆の元へ戻って行った。

マートンが心配そうに声をかける。


「大丈夫だったか?」

「うん、詳しいことはまだ分かっていないみたいだ」


俺たちは、マラルフロッグから取れた素材を職員に渡し、報酬を貰った後、カルアの森へ向かうことにした。


「カルアの森なんていつぶりだろうな」


トロイが馬車の荷台の上に乗り話す。


「4、5年くらい前かな」

「懐かしいな〜」


ヴァールとトロイが話している。


「そういえば、〝雷龍の鉤爪〟っていつ結成されたんですか?」


孝典が聞くと、トロイが答えた。


「俺とヴァールとマートンが元々幼馴染なんだ。

三人とも冒険者に憧れててさ、最初は各々ソロでやってたけど、21歳の時にヴァールに誘われてパーティー結成したんだ。」

「そうだったんですね」


メレナが話し始めた。


「私がその一ヶ月後に入って、ミリアが去年入ったんです」

「(ミリアってパーティーに入ってまだ浅かったのか)」


孝典はミリアを見た。


「なによ」


ミリアが孝典を睨んだ。

話していると、辺りに木々が見え始めた。

孝典たちは馬車を降り、トロイは弓を、マートンは盾を持った。


「行きましょう」


ヴァールとマートンが先頭を歩く。


サァァァ…

しばらく進んだが、枝葉が揺れる音はするが魔物の足音や姿は一切見られなかった。


「おかしいな」


マートンが警戒した様子で話した。


「確かに、普通ならこれだけ歩けば魔物に出会うはず」

「俺がみてくる」


そう言うと、トロイは身軽な身のこなしで木の上まで登って行った。


「〝魔力探知〟」

「どうだ?」

「だめだ、1匹も引っかからねぇ」

「異常だね...もう少し奥へ進んでみよう」


孝典たちは森の奥へと歩みを進めた。

すると、前方に狼が一体見えた。


「レッサーウルフ...?」

「おかしいな、レッサーウルフは群れで行動する魔物だ」


こちらに気づいたレッサーウルフが走ってきた。

マートンが前に出る。


「ヴァール、任せてくれ」


するとマートンは、砂を蹴り目眩しをして盾を持ち上げ、尖っている部分をレッサーウルフの背中に突き刺した。


「あんな戦い方久々に見たな」

「ほら、すごいでしょ?マートンは」


トロイとミリアが話した。


「前方注意!」


ヴァールの叫びと同時に不吉な気配が六人を包み、木々の影から、輪郭の定まらない人影が姿を現した。


「あれは...なんでこんな所に......」

「ネームド...『ミストウォーカー』......!」


五人の表情には、絶望の色が浮かんでいた。

孝典は、呼吸をするのも精一杯だった。


「タカノリさん、僕が合図したら来た道を全力で走ってください。そして、ギルドマスターにこのことを伝えてください。」

「で、でも...!」

「足手まといです!!お願いします...」


孝典は、ヴァールの震える手を見た。


「....わかりました」


マートンがミストウォーカーに突進した。


「はぁぁあ!」


ヴァールが背負っていた剣を引き抜き、スキルを発動した。


「〝千龍炎夏〟」


ズドォォン!…


ミストウォーカーからマートンが離れ、ヴァールのスキルが当たる。


「今です!!」


孝典は振り向き、全力で走った。

ミリアは孝典の後ろ姿を確認し、詠唱を始めた。


「〝サイレント・ドーム〟」

「......(この3日間本当に楽しかったです。タカノリさん)」


ハァハァ…

走り続ける孝典の目には、涙が浮かんでいた。


「すみません...ヴァールさん、マートン、トロイ、メレナさん、ミリア!」


サイレント・ドームの中で五人は戦いを始めようとしていた。


「〝雷龍の鉤爪〟覚悟を決めろ!!」


五人の顔にS級冒険者としての誇り、闘志が現れていた。



(つづく)

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《ステータス》

・三田 孝典 (みた たかのり)

・レベル2

・F級冒険者

・【固有職業:きのこマスター】

・【一般級:霧吹き】

【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】

・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】

【会話:レベル1】

==================================

最後まで読んで頂きありがとうございます!

応援、コメントして頂けると励みになります!


〝ネームド、ミストウォーカーの出現に覚悟を決める雷龍の鉤爪。どうなる、、!!〟


次回お楽しみに!

(*・ω・)*_ _)ペコリ

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