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平和な王子生活始めました  作者: サウス・ジュン
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26 秘密兵器と二人のお茶会

婚約の話をした翌日・・・久しぶりにイリナが城に来ると聞いて僕はお菓子の製作に気合いを入れて取り組んでいた。

イリナとはあまりしっかりと話すことがない・・・というか、何故かイリナは僕と長いこと話すのを避けているような気がするんだけど・・・気のせいかな?


婚約の話をイリナからされてから何度か会ってるけど、2人きりでの会話というものがほんとに少ないのだ。

基本的にイリナは僕と会うときにはお姉さんであるエリナさんを連れてくるか、ロイン兄さんに同席を願っているようでだいたいいつも3人か4人でのお茶会になってしまうのだ。


しかし今日はロイン兄さんとエリナさんは何やら用事があるらしくて・・・久しぶりに二人きりでのお茶会になるだろうから、少しいつもとは違う感じのお菓子に挑戦してみてる。


実はお茶会の時には割りと僕の手作りのお菓子を出すことが増えてきているのだけど・・・バリエーションは今のところそこまで多くなくて、クッキーやらタルト系やらまマカロンやらをアレンジしたものばかりなので、今回はなんとか形になってきた僕のお菓子の秘密兵器・・・プリンを用意してみた。


試行錯誤すること数度・・・ようやく美味しいと感じるレベルになったこれを今日はイリナに食べてもらいつつ、もし会話につまるようなことがあれば感想を聞こうという作戦だ。


チーズケーキが思った以上に皆に好評だったので、プリンを出すとどうなるか・・・考えると楽しみでもあり、同時に少し怖くもある。




そうして、準備を終えていつもの庭園で待っていると、ゆっくりイリナが侍女のリュミエルを連れてやってきた。


「お待たせしましたわ。レオン様」


にっこりと笑ってからイリナはいつものように僕の正面の席に座る。

イリナが来たので、僕は冷やしておいたプリンをユーリに持ってきてもらい、テーブルに置いてもらった。

イリナはテーブルに置かれたプリンを見て不思議そうに首を傾げた。


「これは・・・見たことありませんわね。なんてお菓子なんですか?」


「ああ、これはプリンっていうお菓子なんだけど・・・まだ試作中で出来ればイリナに食べて感想を貰いんだけどいいかな?」


「私の感想でいいんですの?」


「出来ればイリナにお願いしたくてね。せっかく今日はイリナと二人きりだから特にね」


「そ、そうですの・・・」


何やら頬を少し赤らめたイリナはしばらくしてから覚悟を決めたように頷いた。


・・・そこまで気張らなくてもいいのに。


そんな僕の考えは出さずにおいて、僕はイリナが食べるのをじっと見つめた。


「あの・・・レオン様。そんなに見つめられては食べにくいのですが・・・」


「え、あ、ごめん」


恥ずかしそうに言われてしまったので、僕も一口プリンを食べる。

味見したから大丈夫だろうとは思ったけど、食感といい、なめらかさといい、今回のはなかなかいい出来だと思えた。


ちらりとイリナの方を見てみると・・・イリナはプリンを食べたままフリーズしていた。


「イリナ?もしかして美味しくなかったかな?」


不安になって聞いてみるとハッとしたようにイリナは首を横にふった。


「違います。ただその・・・あまりの美味しさに思わず衝撃を受けていました」


「本当に?」


「はい。とっても・・・美味しいです」


そう言って微笑んだイリナは年相応に見えて可愛かった。

とはいえ、もちろんそれを言葉にはせずに僕は安堵したような表情を浮かべた。


「よかった・・・美味しくなかったらどうしようかと・・・」


「ふふ・・・大丈夫ですわよ。レオン様が作るものはどれも美味しいですから」


「そう?ならよかった・・・あんまりイリナとは二人きりでは話せないから味の感想とかも聞けなかったしね」


僕がそう言うとイリナは少しバツの悪そうな顔をして呟いた。


「その・・・私にも心の準備がありましたから・・・」


「うん?何?」


「なんでもありませんわ」


にっこりと笑って誤魔化すイリナ。

なにかを呟いていたような気もするんだけど・・・答えてくれないかな?


そうこうしているとあっという間に時間は過ぎて・・・その日のお茶会は楽しく終わった。


帰るときにイリナは笑顔で帰っていったから多分あちらも楽しんでくれたのだろうけど・・・多分大丈夫かな?


ちなみに後日、プリンをお父様達に食べてもらったら案の定チーズケーキの時と同じくらいの騒ぎになって・・・・特にアリシアが物凄くはまったらしくて凄い頻度でねだられるようになった。








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