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第74話:衝撃と粉砕

アルゴとグラディウスが空間魔法で姿を消してから数分。

俺たちは休む間もなくその後を追っていた。

「未来予知は?」

走りながらカレンが叫ぶ。

俺は歯を食いしばる。

「断片的にしか見えない!」

連戦続きで集中力も削られている。

それでも見える。

四秒先。

崩壊した通路。

砕けた研究区画。

その先へ続く赤い光。

「こっちだ!」

俺たちはブラッドチェイン本拠地のさらに奥へと駆け抜けた。

第五師団長ですら使っていなかった区域。

放棄された実験施設。

巨大な魔導装置。

意味不明なコードが流れるスクリーン。

まるで別世界だった。

「何よここ……」

メグが周囲を見回す。

その時。

広大な地下空洞へと辿り着いた。

中央には巨大な赤い魔法陣。

そして。

その前に二つの人影が立っていた。

「来たか」

アルゴ。

そしてグラディウス。

二人は最初から待っていたかのように俺たちを見ている。

「逃げるんじゃなかったのか」

闇風が短剣を構える。

アルゴは小さく笑った。

「逃げた?」

眼鏡を押し上げる。

「違うよ」

赤いログが浮かぶ。

【解析進行率:91%】

「必要な位置まで移動しただけさ」

嫌な予感がした。

アルゴは俺たちではなく背後の巨大魔法陣を見上げる。

「もう少しだ」

そう呟く。

何がもう少しなのかは分からない。

だが確実に何かを進めている。

「アルゴ」

グラディウスが口を開く。

「ここからは俺がやる」

「ああ」

アルゴは頷いた。

「頼むよ」

その瞬間。

空間が裂けた。

青白い亀裂が広がる。

「また逃げる気か!」

カレンが前へ出る。

しかし。

グラディウスが一歩前に出た。

その瞬間だった。

ドゴォォォォォン!!

足元が爆発した。

「っ!?」

全員が反射的に飛び退く。

ただ踏み込んだだけ。

それだけで床が砕けた。

グラディウスが笑う。

「お前らの相手は俺だ」

アルゴは既に空間の裂け目へ半身を沈めていた。

「また会おう、青真」

俺を見ながら言う。

その目には余裕しかない。

「その頃には解析も終わっているだろうね」

そして。

空間が閉じる。

アルゴの姿は完全に消えた。

残されたのは一人。

巨大な体躯を持つ男。

「改めて名乗っておくか」

拳を握る。

空気が震える。

「四神傑第三席」

「グラディウス」

その瞬間。

未来予知が警鐘を鳴らした。

四秒後。

闇風が吹き飛ばされる。

六秒後。

カレンの剣が砕かれる。

八秒後。

ルシウスの障壁が崩壊する。

見えた未来は敗北だった。

「全員構えろ!」

俺は叫ぶ。

だが。

グラディウスは獰猛に笑うだけだった。

「安心しろ」

背中の大剣を引き抜く。

重い金属音が地下空洞に響いた。

「一瞬で終わらせたりはしねぇ」

その全身から凄まじい圧力が放たれる。

そして赤いログが浮かび上がった。

【神の術式起動】

【衝撃と粉砕】

「せっかくだ」

グラディウスが大剣を肩に担ぐ。

「四神傑の力ってやつを見せてやるよ」

次の瞬間。

未来予知が真っ赤に染まった。

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